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2005年1月9日(日)テーマは『胸痛』

今週のドクター今週のドクターは、
虎の門病院循環器センター
内科部長
百村 伸一先生



【略歴】

’76年   東京大学医学部卒業後東大病院で研修
’82〜85年  

ハーバード大学医学部留学。
その後東京大学医学部助手を経て

’98年より   虎の門病院循環器センター内科部長、
救急センター長も併任

【ドクターの一言】
「医学への精進と貢献、病者への献身と奉仕を旨としその時代時代になしうる最良の医療を提供すること」という虎の門病院の理念に沿った診療を心がけています。

【著書】
「血圧が高いといわれたときに読む本」 主婦と生活社
「図解・心臓病の治し方」 監修:百村伸一 主婦の友社
「ホスピタル」 監修:秋山洋 経済界
「心不全治療」 
監修:矢崎義雄、編集:山沖和秀・百村伸一
メジカルビュー社

 

CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

Medical Topics年を取るに従って、骨や筋肉は、どうしても衰えてしまいます。歩く時にこすれ続けている股関節は、特にダメージを受けやすく、悪化して、変形が酷くなると歩けなくなり、車いすでの生活を強いられてしまいます!!毎年、手術を受ける方が3万人もいます。変形した股関節を人工関節と入れ替え、歩けるようにする、最新の人工関節手術が登場しました!この手術は、Medical Topics日本初の人工関節専門病院として開院した、「湘南鎌倉人工関節センター」で行われています。股関節の人工関節手術では、足の付け根を切開します。最新の手術では、切開部分は従来の半分以下の6〜8センチ。実は、最新の医療器具をメーカーと共同開発することで可能となったのです。たとえば、新しい器具は、Medical Topics小さな切り口でも、中が確認出来ます。これは、切開部の固定に用いる器具の先端にライトをつけることで可能となりました。傷ついて壊れた関節を、切り取るために使う電動のこぎりも小型軽量化され、狭い切開部からの手術でも使いやすくなりました。Medical Topicsこれは切り取られた関節。表面が削れて変形しているのが分かるでしょうか?関節を切り取った後を、これらの人工関節と入れ替える訳です。人工関節の取り付け器具も、以前は真っ直ぐでしたが、開発された器具は婉曲して、小さな切り口に、入れ易くなっています。差し込んだ人工関節は、大腿骨に固定します。この間、わずか40分。切開した所を縫い合わせる前に取り付けた人工関節が、足を動かしても脱臼しないかを確認Medical Topicsします。そして切開部を縫い合わせて手術は終了。人工関節は、すっかり安定しています。壊れていた関節が人工関節に置き換わり、これで歩けるようになるのです。切開部分の小ささから、手術時間・入院期間・痛みと、患者さんの負担が軽減されるのです。
Medical Topicsある日突然発症し、命の危険に関わる、狭心症や心筋梗塞。この心臓疾患の最大の原因、それは、心臓を取り巻いている冠動脈に、動脈硬化が起きてしまう事!動脈硬化といえば、中高年の病気という印象を皆さんもお持ちではありませんか?しかし若者諸君!君たちも注意が必要なんですよ!!1980年代前半と90年代前半に調査した、40歳未満 1000人の冠動脈を比較した所、こんな結果が!20代〜30代の男性に関して、冠動脈に動脈硬化の起きる割合が、何と、10年間で2倍以上も増えMedical Topicsていたのです!岡山理科大・由谷教授らの、発表データを細かく見ると、動脈硬化を起こす人の割合は、20代男性で約2.4倍、30代男性では、約2.3倍にも、上昇していました。その原因に関して、由谷教授はMedical Topics「子供の頃から、動物性脂肪を過剰に摂取している食生活が原因」と言います。同時に、これからは、若者の狭心症や心筋梗塞は増え続けると、予想しています。食生活の欧米化は、若者の平均身長を伸ばし、体格も向上させましたが、どうやらいい事ばかりではなかったようです!

Sign of Illness

Sign of Illness胸が痛い!」、それは正しく体の危険信号。しかし、胸が痛むといっても、肋骨の辺りに鋭い痛みが走る。ピリピリと痛む。胸の奥がギューッと締めつけられる!心臓が押しつぶされるように痛む!など、痛む所や痛み具合で、原因となる病気は様々なのです。たとえば上体を曲げた時、胸の片側、特に肋骨の辺りに鋭い痛みを感じる、こんな経験のある方はいらっしゃいませんか?Sign of Illness肋間神経痛」かもしれません。肋間神経は、背中から肋骨に沿って走る、左右12本ずつの神経。この神経が刺激されると、痛みが発生します。「肋間神経痛」の原因で、最も多いのは、上半身をひねるといった不自然な姿勢を長時間続ける事。すると肋間神経が、肋骨や筋肉の間に挟まれてしまい、痛みが起きるのです。そのほか、肺炎などの肺の病気や、脊椎の異常などがあると、肋間神経痛を起こすことがあります。また、発症のメカニズムは不明ですが、ストレスが引き金で起きる「肋間神経痛」もあります。この「肋間神経痛」、心臓病ではないかと思い込み、病院で診断を受けて、初めて肋間神経痛と分かる患者さんが少なくありません。鋭く、ピリピリと、刺すような胸の痛みを感じるSign of Illness咳やくしゃみをした時や、深く息を吸った時に痛みが増す。もしその際、38度前後の発熱があるようなら・・・それは「胸膜炎」かもしれません!私たちの肺は、胸膜という2枚の薄い膜で覆われています。この「胸膜」に、風邪や、インフルエンザのウイルスが感染すると炎症が起こります。この炎症が、「胸膜」にある神経を刺激するために痛みが感じられる訳ですSign of Illness。また、炎症が起きると、「胸膜」の血管から、水分が滲み出して、2枚の膜の間に、水が溜まる事もあります。炎症が酷いと、この水は、1リットル以上になる事があります。その場合は、肺が水で圧迫されて、息苦しさを伴うようになります。胸から左肩にかけて、鋭い痛みが感じられる。しかも、左側を下にして、Sign of Illness体を横にした時や、咳をした時、また大きく息を吸った時に、痛みが悪化する。その上、発熱もあるようだ。これは、「心膜炎」の典型的な症状です!「心膜」とは、字の通り、心臓を包む膜の事。心臓を正しい位置に保ち、心臓で血液が一杯になりすぎるのを防ぎます。また胸部感染症の危険から心臓を守る。これが「心膜」の役目です。しかし、体の免疫力が低下すると、「心膜」自体に、インフルエンザウイルスなどのウイルス、ブドウ球菌や連鎖球菌といった、Sign of Illness細菌が感染します。すると、「心膜」に炎症が起きて、神経を刺激。痛みが起きるのです。この炎症が悪化すると、「心膜」と心臓の間にも、水が溜まり、心臓の動きを圧迫します。そのため、心臓は体に十分な血液を送り出せなくなります。この時、ショック状態になり、生命の危険にさらされることもあるのです。胸の痛みを引き起こす病気のうち、最も注意を必要とするもの。それは、狭心症と心筋梗塞胸の奥が締めつけられるように痛む。その状態が、2〜3分、長い場合は15分程度続く。この症状は、狭心症の疑いがあります!Sign of Illness我々の心臓の周りを、取り巻くように走る「冠動脈」。この「冠動脈」は、心筋に酸素と栄養を運ぶ大切な動脈です。この「冠動脈」が狭くなり、心臓に酸素と栄養が十分行き渡らなくなる病気。それが狭心症。その原因が、動脈硬化です!「冠動脈」の内壁に、コレステロールが溜まる動脈硬化。Sign of Illness当然、血管の中は狭くなります。もちろん、酸素や栄養の供給も不足して、心臓は正常な働きができなくなります。この時上げる心臓の悲鳴こそ、狭心症の痛みなのです。また、コレステロールが溜まると内膜が傷つきやすくなります。そこに、血栓が付着します。この血栓は次第に大きくなり、やがて血管を塞いでしまいます。そうなると、心臓が押し潰されるような激痛が!!このまま死んでしまうのではないか! と思うほどの痛みが襲います。これが、心筋梗塞です!激しい痛みが、Sign of Illness何と30分以上も続きます。これは心筋梗塞を起こした「冠動脈」の画像。丸で囲ったのが、血管が完全に塞がっている所です。右側は治療後。比べると、血流がとだえていたのがよく分かります。もし、「冠動脈」が完全に塞がると、15分程で、心臓の筋肉に壊死が始まり、そのまま、6時間放置すると、心筋の壊死は回復不能に陥ります。また、壊死の範囲が広いと、心室細動やショック状態を起こして、死に繋がります。胸の痛みのポイントは、痛み方と痛む場所。もし、激しい胸の痛みを感じて、しかも中々収まらなかったら、我慢は絶対禁物。直ぐ、病院を訪ねましょう。

Sign of Illness
Self Medication

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The serious
The serious激しい胸の痛みが突然貴方を襲う!心筋梗塞と並んで、死に直結しやすい危険な胸の痛み!それが「大動脈解離」による胸痛!これが「大動脈解離」を起こした、動脈の断面画像。血管が裂けて、血液の通り道が2つに分かれています。その引き金になるのが、高血圧!高血圧になると、The seriousその圧力の強い血流によって、まず大動脈の内膜に傷がつきます。そこに圧力の強い血流が更にぶつかると・・・その勢いで、血管壁の中膜が裂けてしまいます。まずこの時、胸や背中に、突如、激しい痛みが走ります時には裂け目の先に穴があき、本来の血液の流れに並行した、もう1つの血流を作る。これが「大動脈解離」です。この「大動脈解離」は、高血圧の人、そして、先天的に血管の脆い人に、起こりやすい事が分かっています。The seriousそして最も恐ろしい特徴は、突然死に至る可能性が、非常に高い事。心臓に近い動脈に裂け目が出来ると、心臓の弁を圧迫。そして膨らんだ血管が、脳への血流を止めて、死を招きます。また、中膜が裂け、薄くなった血管が破裂すれば、大出血を引き起こします。すると、激しい痛みと共に、全身が急激なショック症状に陥り、突然死に繋がるのです!健康診断などでも、チェックが出来ず、或る日突然発症する、「大動脈解離」。早期に発見する方法はないのでしょうか。

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