今週のドクターは、 大船田園眼科内科 佐野 雄太先生
【略歴】
【ドクターの一言】 常に患者さんの立場にたった医療を実践し続けていきたいと思っています。その上で、最新かつ最善の治療を追及していきたいと心がけています。 【著書】
メスで切らずに体内を見られる便利な内視鏡検査。胃や食道の病気の検査に広く使われていますね。しかし、この内視鏡検査には弱点が!それは内視鏡を飲み込む際、どうしても舌の付け根を刺激するため、嘔吐反射が起きて、吐き気を催してしまう事。しかし今回、苦痛の少ない新たな検査法が登場しました。この検査法、実は・・口からではなく、鼻から内視鏡を入れるのです!鼻から入れれば、舌の付け根を通りません。そこで吐き気も起こらず、患者さんの負担が少なくて済むのです。実はこの内視鏡、直径が6ミリと従来の約半分しかないため、鼻から入れる事が可能となったのです。この内視鏡を使用する前には、綿棒を使って鼻粘膜に麻酔をします。そして内視鏡を鼻の中へ・・・。内視鏡は鼻から気道へとスムースに通り、胃の中へ。嘔吐は全く起こりません。勿論、普通の内視鏡と同じように、病気のチェックも万全です!更にこの内視鏡、嘔吐反射を起こさない他にもメリットがあります!従来の内視鏡は、口を開けっ放しにしていなくてはならないため、検査中に大量の唾液が出て、気管に入りむせてしまう事がありました。しかし、この検査ならそんな事もなく、喋るのもOK。検査中、医師と話も出来るため、安心して検査が受けられるのです。 わが国でも年々死亡者数が増え続けている大腸癌。しかし、ある飲み物がその大腸癌予防に効果があったのです!!アメリカ、ハーバード大学公衆衛生大学院がヨーロッパやアメリカで約53万人を対象とした大規模調査をした結果、その事実が明らかとなりました。その飲み物を、一日50cc未満しか飲まない人と250cc、およそコップ一杯飲む人を比べると何と沢山飲む人は、大腸癌になる割合が15%も低かったのです!大腸癌予防に効果がある その飲み物とは!何と牛乳!この予防効果、主に牛乳に含まれているカルシウムの働きではないかと考えられています。カルシウムには、大腸の粘膜細胞が異常増殖するのを防ぐ作用があり、そこから、癌の予防にも効果があると推測されたのです。このように、カルシウムによる大腸癌の予防効果が53万人もの大規模調査によって示されたのは、今回が初めてです。
どうも目がかゆい!起き抜けに目がムズムズする。コンタクトレンズを外すと、なぜか目がかゆくなってしまう。でも、そういうかゆみは目ヤニやコンタクトが原因で、目が感じた異物への反応ですのでご安心下さい。しかし、気をつけて下さい。中には病気が原因で起こるかゆみがあります!代表的な病気がこの3つです。たとえば、まぶたがかゆくてゴロゴロする。そう感じる時、まぶたがプックリ腫れているようなら…これは皆さんもお馴染みの「ものもらい」、正しくは「麦粒腫」(ばくりゅうしゅ)という病気です。では、なぜ麦粒腫になってしまうのでしょうか?私たちの目には、まつ毛の根元に、目を守るための脂を分泌するマイボーム腺が約80もあります。このマイボーム腺の一つに、細菌が感染して起こる化膿性の炎症。それがものもらいなのです。この犯人となる細菌、それは… この「ブドウ球菌」!ブドウ球菌は私たちの皮膚に常にいる細菌。その皮膚にいる細菌がどうして、突然目に感染するのか…?その原因は免疫力の低下にあります!体力が落ちて免疫力が低下した時、目を手で触ったり擦ったりすると・・まぶたや手に付いていたブドウ球菌がマイボーム腺に感染。その後、菌がマイボーム腺の中で増殖して炎症を引き起こすのです。やがて症状が進むと、腫れも大きくなり、瞬きをしただけでも痛みを感じるようになってしまいます。症状が更に進むと、腫れの内部に膿が溜まり始めます。やがて腫れが破れ、膿が外に流れ出ます。ただし、膿が出てしまえば、急速に症状は改善されます!ものもらいはよく人に移ると言われますが、それは迷信。実は移らない病気なのです!続いての病気は眼瞼炎(がんけんえん)!眼瞼炎の初期症状は…、かゆみが強く、まぶたが赤くなって、腫れも出ます。更にカサカサした目ヤ二が出るようになるのが特徴。この眼瞼炎は、ものもらい同様ブドウ球菌が原因で炎症が起きる場合と…マイボーム腺などから出た脂が原因の場合があります。眼瞼炎の炎症はマイボーム腺があるまぶたの先 全体に広がります。ポツポツと見えるのは、マイボーム腺の出口です。炎症によって脂が腺の中に溜まり、このように見えるのです。眼瞼炎が悪化するとまぶたの先全体が腫れてしまいます。麦粒腫と比べて 広い範囲が炎症を起こすため、症状が重く、治りも遅い厄介な病気なのです。続いての病気は、皆さんも耳なじみのある結膜炎!その症状は目のかゆみと共に痛みが出る。白目は真っ赤に充血して、黄色い粘り気のある目ヤ二も出ます。この結膜炎は文字通り結膜の炎症。結膜とは目の表面を覆っている薄い透明な粘膜のこと。黒目の周りの白目の表面と、目蓋の裏を覆うこの青い部分が結膜です。結膜には、目に侵入した様々な細菌やウイルスなどによる感染を防ぐ働きがあります。しかし、体力が落ちるなどして体の免疫力が低下すると結膜の働きは弱まり病原菌による炎症が起きてしまうのです。白目が充血するだけでなくまぶたの裏も真っ赤になり、膿が入った白いポツポツも出来ます。結膜炎は、細菌やウイルスによる感染が原因で起こるのですが、中でも面倒なのはアデノウイルスが原因の場合です。この結膜炎は、俗に昔から「はやり目」と呼ばれているように、すぐに伝染するのが特徴!伝染の仕方は感染者が触れたものに触っておきる接触感染。たとえば家族に感染者がいて、同じタオルを使う事で感染したり、また、感染者が入った後のお風呂やプールに入っても、お湯や水を介してウィルスに感染してしまうのです。目のかゆみを起こす病気は、ほとんどが細菌やウィルスが原因です。体力が落ちている時には特に気を付けましょう。