今週のドクターは、 済生会福岡総合病院 循環器科 山本 雄祐先生
【略歴】
九州大学医学部卒業
英国ロンドン大学ハマースミス病院に留学
【ドクターの一言】 よりよい医療を行うには信頼関係をどう築くかです。もっとセカンドオピニオンやインターネットを活用して頂きその上で信頼できる医師とご相談されればより納得のいく医療を受けられると思います。 【著書】
〜ロボット?〜年をとると、筋肉や骨が衰え、歩くことさえ不自由になります。衰えた脚力を補って歩行を助けてくれるものがあれば・・・という声にお答えしたのが筑波大学で機械工学を研究する山海嘉之教授らが開発したHybrid Assistive Limb、『HAL』と呼ばれるロボットスーツです。「HAL」は主に3つの働きをする部分から成り立っています。1つ目は、太ももに直接貼り付ける表面筋電位センサ。2つ目が背中のバックパック。そして3つ目は両足のサイドに伸びるフレームの関節部分に取り付けられたアクチュエータです。では表面筋電位センサの働きから説明していきましょう。人が足を動かすとき、脳からの「足を動かせ」という信号が神経によって足に伝えられて動きます。そのとき、皮膚の表面に予備動作の信号が現れるのです。それをいち早く読み取るのが表面筋電位センサー。ここに目をつけたのが「HAL」の大きな特徴。センサが読み取った信号は、背中のバックパックに送られます。ここでは、センサが感じた予備動作の信号を分析し、足のフレームを動かすための指令を瞬時に送り出します。バックパックはいわば、「HAL」の頭脳。予備動作の信号から、実際の歩行の動作を予測するため、足のフレームが実際の動作よりも早く動き始めます。その役割を担うのが、アクチュエータ。ここには、モーターが内蔵されていて股関節と膝関節の動きを助けてくれます。「HAL」はこうして歩行を助けているのです。『HAL』は最大180キロもの重みを支えられるほどの力をそなえています。そのため、歩行だけでなく、つらい階段の上り下りも助けてくれるのです。でも、この装置、重くないのでしょうか?背中のコンピュータ、足のフレームなど、すべてを合わせた重さは25キロとかなりずっしり!しかし、装置自身が自立するので、つけている人は体への負担を全く感じないのです!これだけの装置の重さを感じないですむならば、お年寄りでも利用することはできますね。また、動作を記憶させ、再現する能力もあるので、今、自力で歩くことができなくても神経さえ働いていれば、この装置を使ってもう一度歩くことができるのです。一般の利用者第一号は脊椎損傷で下半身の一部が麻痺した方。今後、より幅広く利用される準備が着々と整っています。 〜明日は、雨かな?〜「手の関節が痛む」「膝が痛い」そんな時、「明日はきっと雨がふるよ」なんておばあちゃんが言ってたっけ。天気と関節の痛みは、医学的に本当に関係があったんです。名古屋大学環境医学研究所の佐藤純助教授らのグループは・・・後ろ足に、人間の関節炎やリウマチにあたる炎症をもつねずみを使って、気圧の変化に対する反応を調べました。ねずみを入れた実験室を、2時間かけて通常の気圧から20ヘクトパスカル低下させます。これは、ちょうど大型台風が近づいたときのような気圧の変化に相当しますこうやって、硬めのテグスのような特殊な繊維を使って、ねずみの足の裏を刺激しました。もし、痛みを感じたらねずみは足をあげたり振ったりして逃げようとします。この逃げた回数を痛みの基準としてカウントします。炎症をもつねずみと健康なねずみ。10回刺激して逃げた回数を比べてみると・・・関節に炎症をもつねずみは、普通の気圧のときは2回。低気圧になると4回逃げました。これに対し、健康なねずみは、逃げた回数に変化がありませんでした。さらに、炎症を持つネズミが、どのくらいの強さの刺激によって逃げるのか調べてみると、普通の気圧のときは、51グラムの刺激で反応。気圧が下がると、4分の1以下、わずか12グラムの強さで反応することがわかりました。つまり、低気圧になると関節炎の痛みが激しくなることが証明されたのです。佐藤助教授は、天候という新しい要素を取り入れた治療の確立を目指しています。