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2004年8月8日(日) テーマは『息切れ』

今週のドクター今週のドクターは、
水谷内科呼吸器科クリニック
水谷 清二先生



【略歴】

'77年

名古屋市立大学医学部卒業。結核予防会複十字病院呼吸器内科部長を経て、
'01年 練馬区にてクリニック開設。
'02年 呼吸器レントゲン診断のためヘリカルCTをクリニックに設置

【ドクターの一言】
地域での呼吸器専門医として質の高い医療の提供を目指す。今の医学ではまだ治せない病気も近い内に治療法が見つかります。それまで共に焦らず、今以上に悪化させないように努力を継続しましょう。

【著書】
「結核医療の基本とその解説」 結核予防会
「非結核性抗酸菌症」 結核予防会
「図説病態内科講座」 共同執筆 Medical View社

CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

Medical Topics時代と共に大きく変化した食生活。大人だけでなく子供の体にまで影響が及び始めています。関西医大の研究グループが今年3月、心筋梗塞や脳梗塞を起こす高コレステロール低年齢化していると報告しました。研究グループは静岡県の小学5年生Medical Topics9158名を対象に、1993年〜2001年まで8年間にわたる調査結果をまとめました。’93年にBMIが20.2以上で肥満とされた男子は全体の13%でしたが、2001年には15%に上昇。女子も10〜12%に上昇していました。更に総コレステロールでも、危険数値200以上の男子が11〜16%Medical Topicsに上昇。女子では9〜19%と何と2倍以上に増えていました。現在、日本における心筋梗塞などの死亡率はアメリカの三分の一ですが、いずれその差も縮まるのでは?と危惧されています。
肥満が原因とされていたMedical Topics睡眠時無呼吸症候群。しかし、実は顔立ちが鍵を握っていました。これは東邦大学呼吸器内科が中心となった研究です。睡眠時無呼吸症候群患者を調べてみたところ、そのうちの三割は肥満ではなく、むしろ、痩せていることが分かったのです。肥満以外の原因とは何なのか?注目したのが、顔立ち!研究チームは重症の睡眠時無呼吸症候群患者71名と、健常な方12名の顔写真を分析Medical Topicsそれぞれの平均的な顔立ちを現す顔画像を作成しました。それぞれの顔立ちを比較すると・・右が健康な方。左が重症の患者さん。睡眠時無呼吸の場合、Medical Topics眉から口までが長い面長で、しかも顎が小さく引っ込んでいるのが特徴!研究チームは顔が長く、顎が小さいと、喉の奥の咽頭腔が狭くなり気道も塞がりやすくなるため、と分析しています。面長で顎が小さく、いびきをかく方は、要注意です!
Medical Topics様々な病の引き金となるもの。それがストレス。でも、ストレスを数値で現す事は非常に困難なこと。しかしそんな中で、ヤマハ発動機と富山大学が中心となって開発を進めているのが、Medical Topicsこのストレス測定キット。しかし、一体何を元に計測するのでしょう?血液?体温?脳波?実は唾液だったのです!研究グループが今回目をつけたのは唾液の中に含まれる酵素、アミラーゼ。アミラーゼは本来、澱粉を糖へと変え、Medical Topics消化を助ける働きのある消化酵素。このアミラーゼには、ストレスがかかり交感神経が興奮すると濃度が高くなる性質があったのです。そこで、このアミラーゼの濃度からストレスの程度を測定しようという訳です。まず、唾液採取具を30秒ほど口に含みます。そして、アミラーゼに反応する試験紙が取り付けられた部分に唾液をよくしみこませます。Medical Topicsストレスで交感神経が興奮して、アミラーゼの濃度が高まると試験紙の色が黄色く変化します。この試験紙の黄色が濃いほどストレスが強く懸かっている訳です。勿論、ストレスが弱ければ色は変わりません。しかし、このままでの状態では心身にかかるストレスの強さがまだ明確には分かりません。そこでストレスを数値化するために唾液のついた採取器具をキットに取り付けます。Medical Topicsキットは変化した試験紙に青色発光ダイオードを当てます。この光に対する反応で、アミラーゼによって生じた色の変化を数値に置き換えます。2〜3秒で結果が出ます。こうして現された数値が高いほど、ストレスも強くかかっているという訳です!現在は様々な状況におけるストレスの度合いを計測してデータの精度を高めています。ジェットコースターを好きな人と嫌いな人では、ストレスにどんな違いがあるか調べました。ジェットコースターが好きな人は、Medical Topics乗車中、全くストレスを感じませんでした。嫌いな人は、強いストレスがかかっていることが分かりました。アミラーゼ濃度がストレス測定に有効なことがよく分かります。また、こんな違いも検査しました。上はペーパードライバーの方が車を運転した際のストレス。後部座席に座っていた方とはストレスの懸かり方が大分違いますね。この研究、今後は、長距離運転時のストレスによる事故防止や鬱病の予防治療などに役立つ事が期待されています。

EXAMINATION 検査
Sign of Illnessたとえば、急いで走った時、階段を上ったときなどに起きる息切れ。普段の生活の中でも皆さんよく経験される事ですよね。でも、なぜ息切れは起こるのでしょう?そもそも私たち人間はSign of Illness生きるため、片時も休まず、脳や臓器、体中の筋肉に酸素を供給しなければなりません。その役目を担っているのが肺と心臓。呼吸をすると肺は収縮と拡張を繰り返し、空気を吸い込んだり、吐き出したりします。この時、重要な役割をしているのがSign of Illness肺の中に何億とある肺胞です。ここで呼吸した酸素と、血液が運んできた二酸化炭素を交換します。こうして酸素を含んだ血液が、心臓によって体中に送られるのです。息切れは、この血液中の酸素量と密接な関係があります。大脳と脊髄にある中枢神経では、体内を流れる血液が含むSign of Illness酸素と二酸化炭素のバランスを常にチェックしています。もし酸素が少なくなれば、呼吸を速めて酸素を大量に取りこめと呼吸中枢に命じるために呼吸は速くなります。これが息切れになるのです。皆さんが走った後などに起こす息切れ。これは筋肉が急激に酸素を消費した結果、酸素を取り込もうとして呼吸が速くなったもの。血液中の酸素量が元に戻ればすぐに収まります。このように、Sign of Illness体を激しく動かした時に起こる息切れは正常な反応なのです。ただし、少し体を動かした程度や安静にしているのに息切れが起きるようなら、何らかの病気による可能性が疑われます。この時、まず疑われるのが気管支や肺の病気です。たとえば、安静時の息切れに咳を伴う。痰が出る、発熱がある、といった場合には気管支炎の可能性があります!犯人は風邪のSign of Illness原因でもあるライノウイルスやインフルエンザウイルスなど。気管支炎は、気管支にウイルスや様々な細菌が付着・感染する事で、炎症の起きる病気なのです。この時、炎症による腫れが起こります。さらに粘液が異常分泌されて気管が狭くなり、空気が通りにくくなります。すると通常の呼吸では肺に十分な酸素が送れず息切れが起きます。ウイルスや細菌感染が原因となる病気がもう一つあります。Sign of Illness症状は気管支炎と同様、息切れに加えて咳や痰、発熱。それは肺炎です。肺炎はウイルスや細菌が気管よりも先にある肺胞に感染します。すると、肺は炎症を起こします。これが肺炎を起こした人のレントゲン画像。Sign of Illness丸で囲んだところが炎症を起こしている場所です。肺胞は酸素と二酸化炭素を交換している場所。そのため、この部分が炎症を起こすと酸素を十分に取り入れられなくなり・・・血液中の酸素が不足。息切れを起こすのです。その特徴とは息切れの際に生じる音。ヒューヒュー、ゼーゼーとまるで、土管の中を風が通るような音がします。それがSign of Illness肺気腫(はいきしゅ)です!肺気腫は、呼吸する際に伸び縮みをする肺胞の弾力が失われ、やがては肺胞そのものが破壊される病気。肺胞が破壊された部分では気管支も縮んで狭くなってしまいます。そのため息をするたび、ヒューヒュー、ゼーゼー、音がするのです。Sign of Illnessこれが肺気腫のCT画像。赤丸のところが肺胞の破壊によって空気が溜まった部分です。肺気腫の原因はまだ不明ですが、患者の8割以上が喫煙者である事は、データとして明らかになっています。息切れに激しい胸の痛みを伴う病気もあります。それが気胸(ききょう)です。肺は、Sign of Illness胸腔(きょうくう)と呼ばれる空間にぴたりと収まるように浮かんでいます。しかし、肺の表面に穴が開いて空気が漏れると、胸腔と肺の間に溜まった空気に圧迫され、肺が小さくなります。これが気胸です。でも、なぜ肺に穴が開くのでしょう?まず気管支の先の弱い部分から、空気が漏れると、そこにSign of Illness風船のような膨らみが出来ます。この膨らみが何らかの原因で破裂して、肺に穴が開く訳です。気胸も原因ははっきり分かっていませんが、肺気腫や喫煙の習慣が引き金と考えられています。このように息切れには様々な肺や気管支の病気が隠れている可能性があります。更に心臓疾患でも息切れが!その病気が心不全!心不全とは、心臓の働きが弱まり、正常に血液を送り出せなくなる病気。そのため十分な酸素を体中に送れなくなってしまいます。そこで体の活動に必要な酸素量を、呼吸数を増やして補おうとするため、息切れが起きるのです。息切れ自体は酸素不足を補おうとする活動。でも、そこには正常な体の反応から、危険な心臓の病気まで幅広い原因があるという訳です。

Sign of Illness
EXAMINATION 検査

Self Medication
Self Medication

FRONTIER 最先端技術
The serious息切れには、恐ろしい病気が隠れています。安静時の息切れや息苦しさを感じるだけでなく、手足にむくみが出ている。更に動悸や頻脈といった症状も現れている。そんな場合には・・・心臓の病気、中でも心不全の可能性があります!心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して、体が必要とする血液を送り出せなくなっている状態のこと。The serious超音波エコーで検査をした正常な心臓と心不全を起こしている心臓。正常な心臓は、規則正しく動いていますね。一方、心不全の心臓は鼓動が一定ではなく、心臓の筋力も弱まっています。心臓の機能が低下して、血液を上手く送れなくなると、体内のあちこちで酸素が不足。それが動悸や息切れの原因となるのです。ただし、心不全といっても、初期の症状は運動をした時にだけ息切れが起きるくらいです。しかし症状が進むに連れて、動悸や頻脈、むくみが現れ、そして安静にしていても、息切れを起すようになってきます。また、就寝後一時間ほどで急に息切れを起こす場合もありえます。心臓の機能が衰えてくるとThe serious、全身に血液が滞ります。睡眠時など、体を長い時間横にすると、肺の中に滞った血液から水分が滲み出して肺に溜まってしまうのです。しかし心不全が悪化、心臓が殆ど働かなくなれば、当然生命に関わる危険な状態に陥ります。また、心不全のほかにも、激しい息切れから始まり、やがて急速に進行して発作状態となり、命に関わる危険な病気があります。それが肺梗塞!肺梗塞の特徴的な症状は、激しい息切れ、そして強い胸の痛みです。こんな症状を起す肺梗塞とは一体どんな病気なのでしょうか?The serious実は肺梗塞と密接な関係にある病気があります。それは深部静脈血栓症、以前はエコノミークラス症候群と言われていました。長時間同じ姿勢を取っていると足の静脈の中に血栓が出来ます。この血栓が移動して肺動脈に詰まると、詰The seriousまった血管の先には血が通わなくなり、周囲の細胞は壊死してしまいます。もし運悪く、血栓が血管の根本に詰まれば、殆どの肺の細胞が壊死を起します。それが元でショック状態に陥れば、命の危険に直結します。体を休めているのに息苦しさが治まらない、突然強烈な胸の痛みと激しい息切れに襲われた!そんな息切れが命に関わる病気のサインである事を覚えておいて下さい!

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