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2004年7月11日(日) テーマは『倦怠感』

今週のドクター 今週のドクターは、
かたやま内科クリニック
片山 隆司
先生


【略歴】

’88年

東京慈恵会医学大学卒業

現在 同大学糖尿・代謝・内分泌内科医長兼
かたやま内科クリニック(狛江)委員長。認定内科医、糖尿病専門医、糖尿病研修指導医

【ドクターの一言】
生活習慣全般分野においてEBM(科学的根拠に基く医療)を実践し、最先端の医療を提供すると共に、地域診療と大学・基幹病院の橋渡しを円滑に行う体制作りに取り組んでいる。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

Medical Topicsがんに続く日本人の死因。それは、脳梗塞を始めとする「脳血管」の疾患。そして、死因第3位は「心筋梗塞」などの心臓の疾患です。これらはすべて、動脈硬化が原因。この動脈硬化こそ、血管の老化現象なのです。もし、動脈硬化の進み具合をきちんと把握できていたら脳梗塞や心筋梗塞を未然Medical Topicsに防げるかもしれない。そんな声にこたえて開発されたのがこの血圧脈波検査装置キャビー。これで、血管年齢がわかるのです。脈波というのは、心臓から血液が送り出される時に血管に伝わる振動のこと。血管が硬いほど、脈波は速くなることがわかっています。Medical Topicsこの脈波を調べれば動脈硬化の度合いを把握することが可能になるわけで、これまでにも同じような装置が開発されてきました。しかし、従来のものは血圧の影響を大きく受けてしまうため正確な計測が出来ない事もあったのです。今回開発されたこのMedical Topicsキャビーは血圧に左右されずに動脈硬化の度合いを測ることができるという画期的なもの。検査はまず、コンピューターに年齢や性別、身長、体重を入力することから始まります。Medical Topics足首と二の腕に血圧測定用のバンドを巻きつける。手首に脈を探知する装置を、そして、胸には心音を探知するマイクを取り付けます。さらに、脈波のスピードを割り出すためにMedical Topics心臓から足首までの距離を測ります。このキャビーの優れた点は、首から足首までの動脈すべてを調べられる事です。すべての数字を入力したら待つこと、わずか4分!プリンターから測定せれたデータが出てきました!この用紙にはMedical Topics実際の年齢と血管年齢の差がわかりやすくグラフになって表示されています。この方の血管年齢は実年齢と同じ。正常のようですね。黒い曲線は正常値。赤い線を越えると、動脈硬化が実際のMedical Topics年齢より進行しているということになります。格段の進化をとげた血圧脈波検査装置。あなたも自分の血管年齢、知りたくないですか?
Medical Topics世界一の長寿国、ニッポン。この長生きのカギを握るのが、魚!魚を食べる、という食生活が長寿に大きく貢献していることが京都女子大学、中村教授らのグループの長年にわたる調査で明らかになったのです。全国の30〜64歳までの人、およそ10000人を対象になんと19年間もかけて行ったMedical Topics大規模な食生活の調査。そこで、魚をどのくらい食べるかという事と脳卒中、心筋梗塞、そしてその他の死因との原因が調査されました。結果はこちら。魚を食べる頻度が、週に1回未満の人が死亡する危険度を「1」とすると、「2日に1回」食べる人は0.7、「1日に2回」の人は0.67と頻繁にMedical Topics魚を食べる人の方が死亡するリスクが下がる事が明らかになったのです。病気別では、週に2回魚を食べていると心筋梗塞は0・9、脳梗塞は0・75と死亡率が低くなる傾向にあることがわかりました。19年間追跡し続けた今回の調査で魚を食べる事は改めて長寿の理由のひとつであることが証明されたのです。長生きしたいなら、魚中心の食生活。あなたも実行してみてはいかがですか?

EXAMINATION 検査
Sign of Illness熟睡したつもりなのに、目覚めた時に疲れがとれない。すっきりせず、だるい・・・日中、ちょっとした事ですぐに疲れてしまう・・・体が鉛のようにだるくて、重くて、疲れやすい・・・倦怠感。この、倦怠感とは一体、何なのでしょうか?私たちが体を動かすと、Sign of Illness必ず疲労物質、乳酸が作られます。この乳酸は、まずは、筋肉に溜まり始めます。乳酸が増えていくうちに、今度は血液中へと送られます。血液の中の乳酸が増えてくると、脳が、「体のエネルギーが切れた」と判断して、休みなさいという指令を出します。これがいわゆる疲れの正体。倦怠感の始まりなのです。Sign of Illnessここで脳の指令を無視して、休息をとらないでいると・・・乳酸の量は、さらに増加します。すると今度は、脳の視床下部が、「ストレスを受けた」と判断します。すると、ストレスに対抗するためのSign of Illnessホルモン、コルチゾールが副腎から大量に分泌されます。コルチゾールというのは、通常、ストレスを和らげるため血圧を上昇させる働きをします。しかし、大量に分泌され過ぎると・・・脳の活動が障害を受けてしまうのです。脳の神経は、互いに信号を送りながら全身の情報を受け取り様々な指令を発しています。この働きがコルチゾールによって上手く行かなくなります。だるくて集中力が衰え、何だか仕事がはかどらない・・・まるで激しい運動をしたあとのように、体が重い・・・ いくら寝てもスッキリしない・・・何をしたわけでもないのに疲れやすい・・・Sign of Illness多少、無理を重ねると起こるこうした倦怠感。誰もが経験しているのでは?しかし、普通なら十分な休息を取っていれば、倦怠感は自然と解消されます。しかし!!しっかりと休息をとっているはずなのに一ヶ月以上も倦怠感が続く場合は・・・そこに、病気が隠れている可能性があるのです。Sign of Illness鏡を見て、あっかんべーをしてみてください。白目が、黄色くにごっていませんか?そんなときの倦怠感は、肝臓の病気が原因で起こっているのかもしれません。肝臓の働きが低下してくると、体に必要な物質の分解や合成が出来なくなります。本来ならば、疲労物質である乳酸の一部は、肝臓で分解され体のエネルギーへと作りかえられますが・・・肝臓の働きが低下すると、分解されるはずの乳酸が増え続け、体に必要なエネルギーも合成されなくなります。疲労物質乳酸が増え続けエネルギーは作られない。これでは、Sign of Illness休んでいないのと同じこと。この他にも、体の機能回復に必要なさまざまなタンパクやアミノ酸も作られなくなります。そのため、肝臓が障害を起こすと、体は慢性的に疲れた状態となるのです。肝臓の障害、例えば慢性肝炎・・・そして恐ろしい肝硬変なども・・・ まず最初に現われる自覚症状は倦怠感です。さて、さらに倦怠感に加えてこんな症状はありませんか?Sign of Illness急に体重が減ってきた・・・。やたらと喉が乾く・・・そんな時の倦怠感には、糖尿病が隠れているかもしれません。糖尿病になると、体にとって最も大切なエネルギー源、血液中の中のブドウ糖が上手く使われなくなります。Sign of Illness本来、ブドウ糖は、すい臓から分泌されるインスリンの働きによって細胞に取り込まれていますが・・・糖尿病になると、インスリンの効きが悪くなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなります。これがインスリン抵抗性。十分なエネルギーを作ることができないため体は常にエネルギー不足の状態となります。糖尿病からくる倦怠感は、体重の減少や喉の渇きといった症状の後で現れてくることが多いという特徴があります。もし、一ヶ月以上の倦怠感に加えてこんな症状があったら・・・Sign of Illness少し歩いただけで息が切れる。胸が苦しくなる・・・。その倦怠感には、貧血が隠れているかもしれません。貧血というのは、全身に酸素を運ぶ赤血球の働きが低下し、体に必要な酸素が不足する病気です。実は、体の色々なところに溜まっている疲労物質乳酸は、その酸素によって分解されています。ですから貧血になり、酸素が十分に送れなくなると、たまった乳酸が分解されず・・・体のだるさ、Sign of Illness倦怠感が慢性的に続きます。女性の場合は、生理の周期にあわせて倦怠感が強くなったり弱くなったりする事があるので、自分が貧血だと気づかない事も多いのです。気の持ちようなどといわれ、病気とは言い出しにくい倦怠感。しかし、そこに隠された重大な病気を見逃さないように体の発する倦怠感という危険信号をきちんとキャッチすることが大切です。

Sign of Illness
EXAMINATION 検査

Self Medication

FRONTIER 最先端技術
The serious厚生労働省によると、糖尿病の患者数は、現在およそ740万人!!可能性のある予備軍と合わせると、なんと1620万人にものぼります。日本における成人の6人に1人は、糖尿病が、その予備軍なのです。糖尿病で最も恐ろしいのは、いわゆる三大合併症。目の毛細血管がダメージを受ける糖尿病脳膜症The seriousこれは、緑内障や白内障を上回り失明原因のトップになっています。さらに、腎臓の毛細血管の異常によって起こる糖尿病性腎症。人工透析が必要な人のうち、実に3割はこの合併症を原因としています。そして糖尿病性神経障害。これは、糖尿病による合併症の中でも最も発症しやすくちょっとした傷からも壊疽を起こしてしまうこわい病気です。The seriousそもそも糖尿病とは、体内に取り込まれたブドウ糖がうまくエネルギーとして使われなくなる病気です。糖尿病の初期に起こる特徴的な症状は、体重の減少。  食べ物から入ってきたブドウ糖がインスリン抵抗性によって上手くエネルギー源として細胞に取り込まれなくなった時、代わりのエネルギーThe serious源として脂肪が使われ始めます。食べても食べても痩せてしまうのです。この時、ほぼ同時に喉の渇きや尿の増加が起こります。体内で使われず行き場を失ったブドウ糖は、血液中にどんどん増え始めます。これが糖尿病で典型的な「高血糖」の状態です。この高血糖を解消するため、体はブドウ糖を「尿」としてどんどん排泄しようとします。こうして自然と尿の量は増えてゆくのです。大量の尿の排泄により、体は脱水症状となり喉の渇きが起こります。糖尿病からくる倦怠感はこうした症状よりも後で出てくる事が多いのですが・・・The seriousもし気付かないでいると・・・あの恐ろしい3大合併症を招いてしまいます。特に注意が必要なのが、糖尿病患者の2割が発症する糖尿病性神経障害。実は三大合併症の中でも最も早い時期に現われるという特徴があります。The serious特に腰から足まで伸びている長い末梢神経が、障害を受けやすいとされています。神経障害では感覚も鈍り、例えば小さな靴擦れでも痛みがわからずに悪化、潰瘍につながります。一方、こちらはこたつの熱が感じられずに起こった低温やけど。では、なぜ末梢神経に障害が起こるのでしょうか?はっきりとした原因は明らかになっていませんが、その犯人のひとつがThe serious糖化タンパクと考えられています。糖化タンパクは、ブドウ糖とたんぱくが結合して生まれるもの。この現象が赤血球のたんぱくで起きると酸素を運ぶ役目が阻害されるのです。血液中にブドウ糖が増えると、赤血球のたんぱくと次々に結合して糖化たんぱくが生まれます。増えすぎた糖化たんぱくは、酸素の運搬を妨げるだけではなく、神経の障害も引き起こします。その結果、神経細胞にThe serious栄養が行き渡らず痛みなどの感覚が鈍るのです。同時に足などの細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、小さな傷からも潰瘍や壊疽を引き起こしやすくなるのです。もし、このような壊疽を起こすと、足を切断しなければならなくなる可能性があります。そのため、重傷になる前に原因となるタコやイボを取り除くなどの治療が病院で盛んに行われています。タコやイボができると肌が傷つき、細菌感染しやすくなります。こうしてかのうから壊疽が引き寄せられます。倦怠感の症状に潜む恐ろしい病気は糖尿病だけではありません。一ヵ月以上の倦怠感に加えて、白目に黄疸がある・・・。The seriousこんな倦怠感には慢性肝炎が隠れています。特にどうしようもないだるさを引き起こすのは、B型・C型の肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎や、お酒の飲みすぎによるアルコール性肝炎です。急性肝炎であれば倦怠感と共に、発熱、そして嘔吐などといった激しい症状が現れます。慢性肝炎で恐ろしいのは肝硬変から、肝がんへと進行する可能性があることです。The serious実は、肝がんによる死亡原因のうち70%が、C型肝炎の進行によるものなのです。厚生労働省の調査では、現在、日本全体で160万人もの人がC型肝炎ウイルスに感染していると考えられています。少しだるい・・・とてもだるい・・・さらにだるくてたまらない倦怠感。その陰には、取り返しのつかない病気が潜んでいることもあります

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