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2004年5月30日(日) テーマは『むくみ』

今週のドクター今週のドクターは、
東京女子医科大学 腎臓内科
土谷 健 先生


【略歴】

’82年   新潟大学卒。東京女子医科大学で研修終了後、腎臓内科学を専攻
’89年  

米国エール大学留学。生理学、分子生物学を通して、腎臓を中心とした体液の恒常性維持を研究

【ドクターの一言】
患者さんとできるだけお話をすすめながら診療を組み立てていきたい。診療の場では、患者さんには「ゆっくり急いで」頂ければ良いなと思っています。

【著書】
「腎臓病を防ぎましょう」 東京法規出版 監修

CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
Medical Topicsほくろを解析」!年々増えている皮膚がん。そのひとつである悪性黒色腫、メラノーマ。このメラノーマは、メラニン色素を作る細胞の異常で起こります。皮膚がんのなかでも悪性度が高く、日本でも年間2000人以上が、発症しています。このメラノMedical Topicsーマは初期段階では、ほくろにとてもよく似ているのです。このメラノーマの発見に効力を発揮するのが、ダーモスコープ。皮膚科の専門医ならば、この機器を使い、ほぼ9割方診断が可能ですが、専門外の医師では、区別が難しいのが現状です。そこで現在、慶応大学の研究グループは、イタリアとの共同で、このメラノーマを早期発見するための画期的な画像診断システムを開発中です。メラノーマは早期発見できれば、手術により、およそ9割が治ります。しかし、発見が遅れてしまい、他の臓器に転移してしまうと、Medical Topics治療も難しくなってきます。つまり早期発見が何より大事。そこで、メラノーマとほくろを見分けられるシステムを作り上げました。ダーモスコープの画像をイタリアなどから集め、形や色などを数値化します。Medical Topicsこれをコンピューター処理するのです。皮膚科以外の個人病院や一般の方から、メラノーマの疑いのある画像がEメールで送られ、その結果が返信される、ネットワーク診断システム。実際の方法は、気になるほくろの画像に、年齢などの条件を加え、サーバーに送信します。すると数秒後に、結果が送られてきますMedical Topicsこちらの場合は、メラノーマではなく、正常なほくろでした。しかし、もしメラノーマの疑いが強い場合は、このように診断が下されます。携帯電話で画像診断。そんな時代が近い将来、訪れそうです。有酸素能力。生活習慣病のひとつ、「糖尿病」。Medical Topicsこの糖尿病の発症には、食生活だけでなく、実は普段の運動量も大きく関わっていました。東京ガスはこのほど、男性社員4747人を14年間に渡り調査してきた結果を発表しました。健康診断時に自転車エルゴメーターを使った、運動負荷テストを行い、有酸素能力を調べます。有酸素能力とは、一定時間に取り込んだ酸素を効率良く利用できる能力のことです。Medical Topics有酸素能力は、定期的な運動により高まります。つまり継続的にスポーツを行っている人は、有酸素能力が高いのです。この有酸素能力の高さによって、4つのグループ分けをしました。各グループの飲酒率や喫煙率に、大きな差はありません。14年間の調査期間中に糖尿病を発症したのは、4747人中280人。最も有酸素能力のMedical Topics低いグループで糖尿病を発症した人は128名。有酸素能力が高い順にしたがって発症人数は減っていき、有酸素能力が高いグループは33名でした。つまり、定期的に運動をしている人は、糖尿病にかかりにくいことがわかったのです。糖尿病予防のためには、定期的な運動を心がけましょう
EXAMINATION 検査
Sign of Illness朝起きた時の顔の「むくみ」や、夕方の足の「むくみ」。皆さん経験されていると思いますが、どうしてむくみが起きるのか、ご存知でしょうか?たくさん水分を摂った翌朝は、よくむくみが起こりますよね。口から入った水分は、大腸で吸収され、血管を通って全身へと運ばれます。この時、水分が血管に多くなりすぎると、Sign of Illness血管の壁から余分な水分が滲み出ます。この水分が、皮膚の下にある組織にどんどん溜まってむくみが起こります。実は、この水分は細胞と細胞をつないでいるコラーゲンのある場所に溜まるのです。こうして溜まった水分がむくみの犯人なのです。むくみは塩分の摂り過ぎによっても起こります。塩分の摂りすぎによって、血管内で濃くなり過ぎた塩分濃度を薄めるため、本来、汗や尿となる水分が血液中に大量に集められます。Sign of Illnessこうして集まった水分が、今度は血管の壁から漏れだし、むくみが起きるのです。こうした、水分や塩分の摂り過ぎによるむくみは、一時的なもの。いわば、誰にでも起こる自然なむくみです。自然なむくみの原因は、水分や塩分の取りすぎだけではありません。長時間立ちっぱなしだった時などに起こる足のむくみ。実は、重力が大きく関係しているのです。長時間立っていると、体内の水分は重みで徐々に下半身へと移動します。溜まった水分が足にむくみを起こします。このむくみは、Sign of Illness朝の顔のむくみにも関係しています。水の入ったびんを足に水がたまった身体だと思ってください。びんを横に倒すと、びん全体に水が広がります。同じように、身体を横にすると、足に溜まっていた水分が全身を巡るため、朝起きたとき、一番目立つ顔が、むくんでしまうのです。むくみを起こしやすいのは、Sign of Illness実は女性です。体内の水分調節には、いくつものホルモンが関わっています。女性は、月経の周期に合わせて、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを分泌しています。このように周期的に変化するホルモンのバランスがむくみの原因のひとつと考えられています。Sign of Illness特に、月経の10日前、エストロゲンが減少し、プロゲステロンが活発な時期になると、体内の水分が増え、むくみやすくなります。また更年期になり、急激にエストロゲンの分泌が減ると、むくみが起こりやすくなります。このような、女性特有のホルモンバランスが関係したむくみも、周期的に解消される、ごく自然なむくみです。しかし、こうした、自然なむくみとは呼べない、危険なむくみがあります。例えば、一週間以上もしつこくむくみが続いているケース・・・。Sign of Illness更に、倦怠感やめまい、息苦しさなどの症状がある場合は、要注意です。心臓の病気が原因のむくみかも知れません。血管を通る水分には、酸素や栄養が溶け込んでいます。この水分は、血管の壁を通り抜けて、細胞に酸素や栄養を送り届け、再び血管内に戻るという働きをしています。この働きに大きく関係しているのが心臓です。Sign of Illness心臓が正常に働いていれば、送り出した分と同じ量の血液が心臓に戻ります。しかし、心臓が血液を充分に送り出せなくなると、身体の至る所で血液の流れが滞ります。すると、細胞に酸素と栄養を運んだ水分が、血管内に戻れなくなるのです。こうして、Sign of Illness戻れなくなった水分が、細胞と細胞の間に溜まり続け、むくみが起こります。このむくみを引き起こす病気が、慢性心不全です。こちらは、正常な心臓を超音波エコーで捉えた映像です。Sign of Illness心臓がリズミカルに血液を送り出しています。一方、慢性心不全の心臓は、動きが弱く、血液を充分に送り出せません。また、こんな症状がある時も、注意が必要です。夜中、トイレに行く回数が増えた。しかも一週間以上もずっとむくみが取れない。Sign of Illnessこれは、腎臓の病気が原因で起こるむくみかもしれません。腎臓は、血液中の塩分を排泄する働きをしています。腎臓の機能が低下して、血液中の塩分濃度が濃くなると、塩分を薄めるため、水分量が増加します。この増加した水分が血管から滲み出し、むくみが起きてしまうのです。さらに、腎臓は、血液中のたんぱくを調節する働きもしています。特に、むくみと大きく関係するのはアルブミンというたんぱくです。Sign of Illnessアルブミンは、血管から滲み出た水分を血管内に戻す働きをしています。腎臓の働きが低下すると、血液中のアルブミンがどんどん尿として排泄されてしまうのです。アルブミンの不足によって、血管内に戻れなくなった水分が溜まり続け、むくみが起こります。こうしたむくみを起こす病気が腎炎です。Sign of Illness更に、意外な臓器が原因で起こるむくみがあります。それは沈黙の臓器と呼ばれる、肝臓です。むくみに大きく関係している、アルブミンという血液中のたんぱくは、実は、肝臓で作られています。肝臓の働きが低下すると、アルブミンが十分に作られなくなるのです。そのため、本来血管に戻るはずの水分が戻れなくなり、むくみが起こります。この時、肝臓は、Sign of Illness肝硬変を起こしています。こちらは肝硬変の肝臓。肝硬変は、症状が現れにくい病気です。むくみが出てきた時にはすでに、肝硬変が進行し、肝臓の機能が低下しているサインなのです。むくみは自然なものばかりではなく、恐い病気が隠れている場合が多いので注意が必要です。
Sign of Illness
Sign of Illness
EXAMINATION 検査

Self Medication

FRONTIER 最先端技術
The serious 一週間以上もむくみが取れない。加えて、こんな症状があったら?身体を横にすると呼吸が苦しくなる。これは、慢性心不全によるむくみです。心不全は、心臓が血液を送り出すポンプの役割を十分に果たすことがThe serious出来なくなり、身体のあちこちで血液の流れが滞る病気です。正常な心臓に造影剤を流すと、・・・このように、造影剤は血液とともに送り出され、すぐに消えて見えなくなります。しかし、心不全の場合は、心臓が血液をうまく送り出せないため、The serious造影剤はいつまでも残っています。血液の流れが滞ると、水分が血管に戻れなくなり、むくみが起こります。この心不全の最も特徴的な症状が、身体を横にすると呼吸が苦しくなるという症状。身体を横にすると、全身に滞っていた血液が心臓に戻り始めます。しかし、慢性心不全の心臓には、戻ってきた大量のThe serious血液を再び全身へ送り出す力がありません。そのため、血液は肺の周りに滞ります。すると血管内の水分が肺の中に漏れ出し、呼吸が苦しくなってしまうのです。慢性心不全が悪化すると、心臓がほとんど働かなくなるため、生命の危険にもつながります。むくみに加え、トイレに行くThe serious回数が増えるという症状がある場合、腎炎や腎不全の悪化によるネフローゼ症候群が疑われます。尿はまず腎臓の糸球体で血液をろ過して作られます。糸球体は、毛糸を丸めたような毛細血管の塊。The serious糸球体は尿細管という管とつながっていてこの一まとまりをネフロンと呼びます。ネフロンは左右の腎臓に100万個ずつあります。血液が、糸球体でろ過されると、尿の素、原尿が作られます。この原尿には、身体に必要な水分やたんぱくが大量に含まれています。The seriousその水分やたんぱくを再吸収して尿を濃縮するのが尿細管です。ネフローゼ症候群とは、尿が濃縮されず、たんぱくを含んだまま大量に排泄される状態の事です。たんぱくの一種であるアルブミンも大量に排泄されるため、The serious水分が血管に戻れなくなります。これが、ネフローゼ症候群による足のむくみです。溜まった水分で体重も増加します。ネフローゼ症候群が悪化すると、腎臓の代わりに人工透析によって血液をろ過する必要があります。現在、The serious人工透析を必要とする患者数は、およそ23万人週3回、1回の治療時間は4,5時間かかるなど、日常生活が大きく制限されてしまいます。むくみは重大な病気を含む場合があります。違和感のあるむくみを察知したら、なるべく早く、病院で診察を受けるようにしましょう。

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