今週のドクターは、 新山手病院 外科 西連寺 隆之先生 【略歴】
【ドクターの一言】 地域に根付く医療を展開し、地域の皆様に少しでもいい医療を提供していきたい。一家に一人、「何かあったらあの先生に…」となる よう日々努力できれば幸いです。
腹痛には恐ろしい病気が隠れています。それを探り出す大きな手がかりとなるのが触診です。触診ではお腹を9分割して、病気を起こしている内臓を絞り込みます。右上腹部に痛みがあれば、胆石症。中央や左側では、すい臓の病気が考えられます。中腹部の左右、どちらかに痛みがあれば、尿路結石。右下腹部の痛みは、虫垂炎です。さらに、左右どちらかに痛みがあれば、卵巣腫瘍が疑われます。そして腹部全体に痛みがあるときは、腸閉塞や腹膜炎など命の危険な状態ということになります。これら以外にも長期の便秘をひきおこしているものがあります。便秘の影には、腸閉塞が隠されている可能性があります。実は、便を滞らせ、腸を閉塞していたのが、大きくなったがんだったという場合もあります。このように、腸閉塞の影には大腸がんが隠されている可能性もあるので、早急に詳しい検査を受ける必要があります。長期の便秘が続いている方は病院での検査をうけましょう。腹痛はお腹のなかだけで起こるのではありません。熱もなく、下痢もしていないのに、みぞおち周辺に腹痛が起こる。心臓の病気、狭心症の可能性があります。実は、この腹痛を起こしやすい病気があります。それが、生活習慣病である糖尿病。糖尿病の患者さんの腹痛を調べると、高い確率で狭心症が見つかります。腹痛は、お腹の中の危険だけを知らせるサインではありません。