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2004年3月28日(日) テーマは『血液の病気』

今週のドクター今週のドクターは、
日本医科大学 第3内科

檀 和夫先生



【略歴】

’73年   東京医科歯科大学医学部を卒業し、同大学第一内科に勤務
’80年  

日本医科大学第3内科に移り、血液内科創設に携わる

’90年   同内科助教授
’95年   教授となり現在に至る

【ドクターの一言】
科学的根拠と適確な技術のもとで、患者さんが納得のいく説明と治療、そして全てのことに最善を尽くし、自分の行為に責任と誇りを持つプロフェッショナルとしての意識が医療には不可欠です。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
病気の症状とメカニズム体中をかけめぐる「真っ赤な血液」。その量は大人の場合、体重の8%。体重70kgの人なら5〜6リットルの血液が全身を流れていることになります。この血液を顕微鏡でのぞいてみると・・・酸素を全身に運ぶ「赤血球」。細菌などから体を守る「白血球」。「血小板」は血を止める働きをしています。生命を維持する為に体の中を駆け巡っている「血液」!そう、病気の症状とメカニズム血液はまさに「動く臓器」なのです。生まれたばかりの赤ちゃん・・・その血液は、体中の骨の中にある骨髄で造られています。しかし、成長するにつれて体の中心から遠いところの骨髄から徐々に、血液を造る力は失われていきます。大人になると血液が作られる場所は「胸骨」「背骨」「骨盤」などが主となります。病気の症状とメカニズム中央がくぼんだ赤い円盤は「赤血球」。私たちが呼吸をすると、酸素が肺に送られます。この酸素を体のすみずみに運ぶ役割を担っているのが赤血球。つまり赤血球は、「酸素の宅配便」。まず肺で酸素をキャッチした赤血球は、血液の流れにのり、酸素の足りない場所で、酸素を切り離し、再び血液の流れにのって病気の症状とメカニズム肺に戻ってくるのです。続いて、白っぽい丸い球の「白血球」。細菌やウイルスなどが体内に侵入すると、病気にならないように病原体を攻撃して排除しようとするのが白血球の働きです。いわば、白血球は「体内の防御軍」。そして、かけらのような病気の症状とメカニズム小さな細胞が「血小板」ケガなどをして血管が破れると、血液中に流れている血小板は、破れた血管の周りにあるコラーゲンとくっつきます。次から次へと血小板とコラーゲンがくっついて、傷口から血液が流れ出るのを食い止めてくれるのです。血液検査で採取した血液。時間がたつと…三つの層に分かれます。病気の症状とメカニズム一番上の薄黄色い膜が「血小板」、その下にある白っぽい膜が「白血球」、一番下の赤い部分が「赤血球」です。これらの血液の成分が多くなったり、少なくなったりすると、体には様々な病気が起こります。その一つが「貧血」。赤血球が減少して起こる病気です。赤血球はゴム風船のような袋になっていて、中にはヘモグロビンというタンパク質がつまっています。このヘモグロビンが肺で受け取った酸素と結びついて、酸素を体の隅々に運んでくれているのです。実はヘモグロビンは「鉄」を材料にしてつくられます。だから、体の中の鉄が不足すると…。ヘモグロビンは少なくなり、病気の症状とメカニズム十分に酸素を捕まえることが出来なくなります。貧血の人の赤血球は、鉄が不足すると小さくなり、また中央のくぼみが大きくなって、体内が酸素不足になります。心臓や肺が酸素不足を補おうとすると「動悸や息切れ」筋肉が酸素不足になると「全身がだるく疲れやすい」そして、酸素不足が脳に起こると「立ちくらみやめまい」など貧血の症状が現れます。「白血球」が原因で起こる病気が血液のガン「白血病」。白血病というと単に「白血球が異常に増える病気」だと思っていませんか?病気の症状とメカニズム実は、白血球の元となる細胞が異常を起こす。これが「白血病」なのです。私たちの骨の中にある「骨髄」にはゼリー状の液体「骨髄液」が入っています。この骨髄液にはs血液を産み出す母親のような役割を果たす「造血幹細胞」という細胞があります。血液の母、「造血幹細胞」から生まれた「芽球」という状態の病気の症状とメカニズム赤ちゃんが「白血球」「赤血球」「血小板」へと成熟していきます。これは顕微鏡で見た「正常な白血球の芽球」。いわば白血球の赤ちゃん。濃い紫色をした核は成熟するにつれてだんだん小さくなっていきます。この状態になると一人前の白血球として血液という社会に飛び出していきます。「白血病」の白血球。「芽球」の段階で細胞に異常が起こり未成熟なまま血液に流れ出た「白血病細胞」です。成熟した、病気の症状とメカニズム正常な白血球と比べると「白血病細胞」は未成熟だということがわかります。白血病の原因はまだハッキリと解明されてはいません。しかし、遺伝子を中心とする研究の進歩により、徐々に原因が特定されてきました。白血病の原因として考えられるのは…「発ガン性を持つ物質」や「放射線」そして「ウイルス」です。それらが原因となって遺伝子に異常が起こり、造血幹細胞や芽球がガン化してしまうのです。白血病は、発生の仕方の違いによって急性と慢性に分かれます。全体の7・8割を占めているのが「急性白血病」。造血幹細胞から生まれ、白血球になりきる前の細胞である「芽球」がガン化してしまう病気です。白血病細胞は正常な白血球と違い、細菌やウイルスを殺す力がありません。そのため、気付かないうちに病気の症状とメカニズム細菌に感染して突然「高熱」を出すことがあります。白血病が進行すると血液の製造場所である「骨髄」が白血病細胞に占拠されてしまいます。そうすると、白血球だけでなく正常な「赤血球」「血小板」も造ることはできなくなります。赤血球の減少で貧血をおこしたり、血小板の減少により病気の症状とメカニズム出血がしやすくなることも。「貧血」「高熱」「出血」が急性白血病の代表的な症状です。さらに白血病細胞が増殖を続けると「脾臓」「肝臓」「リンパ節」に入りこみ、これらの臓器が腫れることがあります。白血病細胞が粘膜に入り込むと、歯茎などが腫れてきます。脳に入り込むと、頭痛や意識障害が起こることもあるのです。急性白血病とちがい、目だった自覚症状がないのが「慢性白血病」。未成熟な白血球がガン化するのが病気の症状とメカニズム「急性白血病」でしたが、「慢性白血病」は、未成熟な白血球だけでなく、成熟しているように見える白血球までもがガン化してしまう病気です。成熟しているいように見える白血球は、ある程度の働きができます。そのため、発症がゆるやかで「微熱がある」「だるい」「疲れやすい」など気づきにくい症状しか現れないため、健康診断で始めて発見されるケースも少なくありません。血液のがん、白血病を早く発見するためにも体が発信するいつもと違うメッセージに注意を払うようにしてください。

EXAMINATION 検査

EXAMINATION 検査

FRONTIER 最先端技術

最先端技術白血病を完治させる治療法、「骨髄移植」。しかし、骨髄を提供するドナーの数が少ないのが現状です。その理由のひとつがドナーの負担が重いこと。そこで、考えられたのが、「末梢血 幹細胞移植」これまでは、ドナーには全身麻酔をして、腰の骨から専用の針を左右数カ所に刺し、骨髄液を採取していました。新しく考えられたのは、透析のように血液から造血幹細胞を集めるという方法です。これなら、全身麻酔を行わないため、最先端技術ドナーへの負担が少なくてすみます。そして、患者さんにも朗報。骨髄移植を受ける患者さんへの負担を軽くするのが「ミニ移植」。「ミニ移植」は移植前に行なう抗がん剤の量を少なくして、白血球の一つ「リンパ球」の免疫作用を利用して白血病細胞を攻撃するという方法です。最先端技術往来の骨髄移植は大量の抗がん剤を投与し、白血病細胞を破壊して、骨髄の中をからっぽにしてから、ドナーの造血幹細胞を移植します。最近の研究で、白血病細胞を死滅させる働きは、抗がん剤だけでなくリンパ球の働きも大きいことが分かってきました。ミニ移植ではドナーから移植された骨髄液のなかにあるリンパ球が白血病細胞を攻撃します。移植前に白血病細胞を攻撃するために使用する抗がん剤の量を減らし、患者さんへの負担が軽減されるのです。「骨髄移植」と同じ方法で移植。ドナーの骨髄液にいるリンパ球が白血病細胞を異物として認識し、こうげきを始めます。1〜2ヵ月後、患者さんの造血幹細胞は徐々にドナーの造血幹細胞と入れ替わり、正常な働きをします。往来の骨髄移植は抗がん剤の副作用が強く、高齢者などは移植を受けることができませんでした。抗がん剤による副作用が少ない「ミニ移植」は高齢者などの人にも移植を受ける道を開いた画期的な治療法なのです。

FRONTIER 最先端技術

自己管理




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自己管理
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「血液にまつわるウソ?ホント!」
★傷口にツバをつけると血が止まりやすい?
これはウソ!唾液には血液を固める作用はありません。むしろ、唾液の中には、たくさんの細菌がいるため、かえって傷口を化膿させてしまう危険もありますよ。小さな傷口の血液を止めるには軽く圧迫することが有効です。
★低血圧の人は貧血になりやすい?
これもウソ!低血圧と貧血はまったく関係ありません! 貧血は酸素を運ぶ赤血球の量が減少して、体内が酸素不足の状態のなること。酸素不足が脳に起これば、めまいや頭痛が起こります。低血圧というのは、血液そのものは正常ですが、その血液を前へ押し進める圧力が弱いこと。症状として、「たちくらみ・めまい」などが現われるため同じような症状の貧血と混同されることが多いのです。
★いつも顔が青白い人は貧血?
これは半分正解。血液の赤い色は、赤血球に含まれているヘモグロビンがもとになっています。貧血は、そのヘモグロビン、つまり赤血球が減った状態。皮膚の赤みがなくなって青白く見えることがあるのです。ただし顔色に出ない人もいるので顔色だけでは判断できません。
★貧血予防に一番効く食べ物はレバー?
これは正解。レバーに限らず、鉄分が多く含まれている食品を積極的にとることは貧血の予防にもつながります。ただし「鉄欠乏性貧血」と診断されている方は、レバーをたくさん食べても治すことができないため、鉄剤を服用して補う必要があります。体重の1割弱を占める血液。生命を支える血液について、私達はもう少し知っておく必要があるようです。

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