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2004年3月21日(日) テーマは『虫歯』

今週のドクター今週のドクターは、
東京医科大学 口腔外科

金子 忠良先生



【略歴】

’81年   日本大学歯学部卒
’85年  

東京医科大学大学院終了

’91年   同大学講師
’00年   明海大学歯学部講師兼任
’02年   東京医科大学病院口腔外科外来医長
日本口腔外科学会指導医

【ドクターの一言】
口(口腔)は体の鏡といわれるように全身の状態を反映しやすく逆に口腔も全身の一器官である為全身状態を考慮した治療を心がけています。治療の信条「患者様のニーズに応じた最善な治療を施す」

【著書】
「診療科目別治療薬禁忌集」 朝倉書店

 


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
病気の症状とメカニズムおやつを食べていたら…。あれ、何か変…あいたたたた。歯がズキズキと痛む!もしやこれは?虫歯か?皆さん1度は、こんな経験ありますよね。歯は毎日磨いているのに、どうして虫歯になってしまうのでしょうか?実は統計によると、日本人のおよそ98%が毎日歯を磨いています。しかし、12歳まで子どもの虫歯の平均本数は、ほかの国と比べても多い困った状況。大人も、日本人一人当たりの虫歯の数は、永久歯28本15,6本。半数が虫歯になってしまうという、虫歯行進国です。たかが虫歯なんて思っていませんか?虫歯から危険な病気になることもあるのです。虫歯は、歯を磨かず、口の中を不潔にしていたり、甘い物を食べ過ぎたりするとなってしまう。・・・そう思っていませんか?病気の症状とメカニズム実は虫歯は、細菌の感染による感染症の一種なのです。口の中に虫歯を起こす細菌がなければ、虫歯にはなりません。これが虫歯を起こす元凶、「ミュータンス連鎖球菌」です。このミュータンス連鎖球菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。では、この細菌はどこから忍び込む病気の症状とメカニズムのでしょうか?何とミュータンス菌は、母親の口から子どもの口の中へと感染します。母親の口移しや、キスによって、ミュータンス菌に感染してしまうのです。親から子へずっと、感染が繰り返されている。そして赤ちゃんの頃に感染したミュータンス菌を持ったまま人は成長していきます。ではミュータンス菌は、どのように虫歯を作るのでしょうか?私達の歯の表面は、エナメル質という、とても固い物質でできています。病気の症状とメカニズムこのエナメル質は物を噛んだりする物理的な力には強いのですが、酸には弱い性質をもっています。酸に弱い、これが虫歯の鍵です。私達の口の中に食べ物が入ると、ミュータンス菌などの細菌類が、食べ物に含まれる糖分を分解して、酸性物質である、乳酸を作り出します。この乳酸が歯のエナメル質を溶かしてしまう。普段私達は気づいていませんが、実は食事の度に、歯は溶けているのです。しかし、歯は1度溶けてしまったら、溶けっぱなしというわけではありません。病気の症状とメカニズム溶けてしまった歯を元の状態に戻してくれる、強い味方があります。それが、唾液です。唾液には、カルシウムとリンが含まれています。このカルシウムとリンが付着して、歯を再生させてくれる。このように歯が溶ける事を脱灰再生することを再石灰化といい、日常的に、これを繰り返しているのです。たとえ口の中で乳酸ができても、歯磨きで乳酸を洗い流したり、十分に唾液が分泌されれば歯は再石灰化し再生します。ところが、食事の後にちゃんと歯を磨かなかったり、しっかりと唾液の分泌されないと、病気の症状とメカニズムミュータンス菌は、口の中の食べカスを分解して、乳酸を作り続けることになります。さらにミュータンス菌が、長時間口の中にいるとバイオフィルムという膜を作りだします。この膜の中で、ミュータンス菌は増殖を繰り返し、その数を着々と増やしていくのです。この増殖したものが、いわゆる歯垢、プラークです。このプラークが多い場所が、歯の付け根歯の間、そして歯の溝です。この細菌の固まりであるプラークが出きると大変です。増殖したミュータンス菌が、乳酸を大量に作り出してしまうのです。そのため、唾液の作用で再石灰化しようとしても、とても再生が間に合いません。結果、歯が溶けて、その中に細菌が入り込んでしまう。これが虫歯です。こうしたメカニズムによって出来た虫歯。その進行度合いによって、症状が少しずつ変わってきます。病気の症状とメカニズム虫歯の初期。歯の表面のエナメル質にできた虫歯です。歯科医が言う、C1という段階です。しかし、このエナメル質には神経が通っていません。つまり、このC1の虫歯は、痛みがなく、自覚症状がない。そのため、気づかないうちに悪化してしまうのです。虫歯の中期、C2。病気の症状とメカニズムミュータンス菌が増殖して、エナメル質の下の、象牙質まで達した状態です。ここで初めて痛みが現われます。エナメル質よりも柔らかい象牙質で虫歯が一気に広がり、このような形になります。象牙質は管状になっている組織。その中を神経線維が走って歯髄につながっています。そのため、冷たい水を飲むと、この管を通って神経を刺激します。病気の症状とメカニズムたい物を飲むとズキッとしみるあれです。これがC2の特徴的な症状なんです。虫歯後期、C3。症状が進行し、象牙質の下にある神経を含む、歯髄にまで虫歯が広がった状態。激しい痛みがでます。冷たい物だけでなく、温かいものでもしみるようになったら、虫歯の後期、C3まで進んでしまった表れです。虫歯末期、C4。象牙質まで溶けて、神経が剥き出病気の症状とメカニズムし、歯根部まで、広がった状態。歯は完全に死んでしまっています。虫歯は放っておけばこのように、悪化の一途を辿ります。でも、たかが虫歯なんて思っている方いませんか?とんでもありません!虫歯を放置したままでいると、命に関わる重大な事態に陥るのです。C4の段階まで放置したままだと、細菌が、歯根部から顎へと移動し、炎症を起こします。さらに顎から首、そして胸へと移動。各部に炎症が発生。最も危険なのが心臓や肺が収められている病気の症状とメカニズム胸郭の炎症、縦郭炎です。この状態になるとまず命は助かりません。更に細菌が血液に乗って全身を巡る、致命的な敗血症も併発してしまいます。虫歯を甘く見てはいけません。歯を守ることは、あなたの生命を守る事でもあるのです。
EXAMINATION 検査

EXAMINATION 検査

FRONTIER 最先端技術

最先端技術虫歯の治療は痛いから嫌だ、そう思っている人多いですよね?今、その痛みを感じさせない新しい治療法が開発されています。それが、「無痛治療」です。実際に治療を行っているのが、松本教授です。従来のドリルを使った治療は虫歯だけでなく、健康な部分も削り取ってしまいます。しかし、カリソルブという薬を使った治療は痛みもなく、虫歯のみを取り除きます。これがその薬です。治療前にこの2種類の薬を混ぜ合わせます。混ぜ合わせた薬を、専用の器具で虫歯に塗るのです。すると、最先端技術虫歯の部分だけが溶けてしまうため痛みを感じずに治療も簡単というメリットがあります。まず、カリソルブを虫歯に垂らしたら、およそ30秒間、歯に浸透させます。そもそも虫歯は、健康な歯の象牙質が虫歯菌の出す酸によって溶かされたものです。虫歯には、コラーゲンというタンパク質が含まれています。カリソルブは、そのコラーゲンを溶かす働きがあるのです。虫歯が薬で溶けた最先端技術ら、後は専用の器具で残った虫歯を除去し、穴の開いたところを埋めれば治療は終わりです。虫歯が取り除かれた後にできた穴にはレジンをつめます。そして特殊な可視光線を当て成形し、虫歯の穴がきれいに埋まります。すると治療後は御覧のように全く虫歯を治療したとは思えない完璧な歯として蘇るのです。こうした新たな治療法の開発によって、虫歯の治療は痛いという常識が少しずつ変わっていくかもしれません。

FRONTIER 最先端技術
自己管理痛みだけでなく、危険な病気を引き起こす可能性もある虫歯。この虫歯を減らし、丈夫な歯を保つためには、どうしたら良いのでしょうか?大事なポイントとしては、虫歯菌のエサである食べカスを減らす事と、歯の再石灰化のために、唾液の分泌を促す事です。虫歯菌を増殖させる諸悪の根源が間食なんです。お菓子など、ひっきりなしに口の中に食べ物を運んでいませんか?こんな習慣がある人は絶対に改めてください。いくら一度に食べている量が少なくても、これは虫歯の元であるミュータンス連鎖球菌に頻繁に自己管理エサを与え続けているような物。歯が再石灰化する間もありません。虫歯を減らして、歯を守るには、唾液の分泌を促すことです。歯は乳酸によって溶け、その溶けた歯を再生してくれるのが唾液です。この大切な唾液を分泌するのが、耳下腺顎下腺舌下腺などの唾液腺です。そこで唾液の分泌を促す、唾液腺マッサージを紹介しましょう。
自己管理
自己管理
自己管理
自己管理
唾液腺主にこの三つ。まずは、耳下腺をマッサージ。続いては顎下腺。ゆっくりまわすように。最後は舌下腺。痛くない程度に軽く押しましょう。また唾液分泌を促す有効な手段がガムを噛むことです。おすすめなのがキシリトール配合のガム。このキシリトールはとうもろこしの芯や白樺からとれる、天然の炭水化物です。糖分とミュータンス菌の結合を阻害し、歯を溶かす乳酸の発生を防ぎます。食後やおやつの後にキシリトール入りのガムを噛めば、唾液の分泌が促進され、乳酸の発生も抑えられます。ガムは目安として食後5分間ほど噛めば、効果が期待できます。間食は避け、マッサージやガムで唾液の分泌を促して、虫歯のない、丈夫な歯を作りましょう。

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