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2004年2月22日(日) テーマは『冷え性 』

今週のドクター今週のドクターは、
慶應義塾大学医学部
日本東洋医講座

渡邉 賀子先生



【略歴】

’87年  

久留米大学医学部卒
熊本大学第三内科、近畿大学東洋医学研究所、北里研究所東洋医学総合研究所を経て、
慶應義塾大学医学部東洋医学講座非常勤講師
日本東洋医学会専門医、医学博士

【ドクターの一言】
’97年 北里研究所に開設された「冷え症外来」を担当し多くの女性が抱える冷え症の問題に取り組んできた。今後も女性が健やかで美しく過ごすために役立つよう、漢方の研究と診療にあたりたい。

【著書】
きょうの健康シリーズ「冷え症で悩む人に」(監修) NHK出版
「きれい&元気になる冷え症解消法」(監修) 池田書店


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
私、冷え症なの..」そんな言葉を、よく聞きますよね?そもそも、冷え症とはどのような症状を指すのでしょう?冷え症。それには「冷え」だけでなく、実は「火照り」も含めた二つの基本的症状があるのです。よく手足が火照ったり、顔がのぼせたりするため、病気の症状とメカニズム「自分は暑がりだ」と思っている方がいますね。実は、これが冷え症の始まり!「火照り」や「のぼせ」は血液循環が正常でない証拠。実は、冷えの初期症状である事が多いのです。こうした「隠れ冷え症」の人は、知らずに体を冷やし続けるため、体内に冷えが蓄積。やがては、「本格的冷え症」に陥ってしまいます。私たちの身体。その中でも、大切な臓器のある中心部の温度は37度前後で、ほぼいつも一定に保たれています。しかし、手足・指先など、体の末端では「皮膚温」が大きく上下しています。では、病気の症状とメカニズムどのくらい違うのか?寒い所から暖かい室内に入って30分後の皮膚の温度変化をサーモグラフィーで測定します。岡山大学の実験によれば、健康な人の身体の中心部の温度と、手の皮膚温の差は6度以下。一方、冷え症の人では、何と差が8度。温かい部屋に30分いても、指先など末端の温度は低いままで、サーモグラフィに映りません。身体の中心部と末端で皮膚温の差が6度以下である場合、病気の症状とメカニズム冷え症といえます。冷え症の鍵を握っているのは肝臓と筋肉の二つ。肝臓は、栄養分を分解するなどの活動により安静時、体内で発生する熱のおよそ4割を作っています。一方、筋肉では、体を動かすことで、体内の熱の、およそ6割が作りだされます。こうして、肝臓や筋肉で生み出された熱は、病気の症状とメカニズムそこから、血液によって全身に運ばれ、私たちの体温となります。ところが、熱を作る量が少なかったり、熱をうまく運べない事があると、冷え症となってしまうのです。まず、熱を作る量が少ない原因としては、食事量の不足胃腸機能の不調筋肉の運動不足、この三つが挙げられます朝食を抜いたり、無理なダイエットをしていませんか?食べる量が少なければ、当然、熱を作る材料も体に入ってきませんよね。また、食事の量が十分だとしても、胃腸障害などで、消化吸収の能力が低下していれば、熱を生み出す材料が吸収出来ず、熱量は不足してしまいます。病気の症状とメカニズム更に、筋肉が「体内最大の熱の生産工場」である事もお忘れなく。つまり、運動量が不足している場合、筋肉で熱が作られなくなってしまう訳です。冷え症の原因のもう一つは、「熱を全身にうまく運べない」という事。その源となる「血行不良」には、不規則な生活、激しいストレス、過剰な冷暖房サイズの違う靴や下着で、体を締め付けるなど様々な原因があります。こうした悪しき生活習慣が、自律神経のバランスを乱し、末梢血管を収縮させて、血行を悪くするというのです。病気の症状とメカニズム更に、冷え症には思いがけない原因も!何と、皮下脂肪も冷えを作り出してしまうのです!我々の体の脂肪組織は、元々血管が少なく、血液が流れにくくなっている部分。そのため、たとえ筋肉が熱を作っても、脂肪の多い部分では、熱が伝わらなくなり皮膚の温度も低下して冷えを感じさせてしまうのです。特に中高年で、腰周りやお尻など、皮下脂肪の厚い部分に冷えを感じている方は要注意!あなたの豊かな皮下脂肪が、原因なのかもしれませんよ!更に、「たかが冷え症」と侮るなかれ。病気の症状とメカニズム何らかの病気があるために、冷え症が起きている場合も少なくないのです。冷えに隠されている病気の一つは、貧血。貧血は、血中の酸素量などが減る病気。全身に酸素や栄養が行き渡らなくなり、新陳代謝が低下して、手足が冷える事もあります。手足の冷えに、立ちくらみやめまいも重なるようなら、貧血の疑いがあります。そして、病気の症状とメカニズム冷えに隠されている病気、もう一つが、甲状腺機能低下症。甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝を促進する作用のほか、熱を作る機能を高める働きも持っています。そのため、甲状腺ホルモンが不足すると、全身の機能が低下して元気が無くなり、体全体も冷えて寒さを感じるのです。さらに、体のあちこちがむくむ。少し動いただけで疲れる。何だか急に眠気がさすなどの症状が冷えに伴っていたら甲状腺機能低下症の疑いは強くなります。最近は女性だけでなく男性の冷え症も増えてきました。実はこの男性の冷え症には、特有の病気が、隠されている事が多いのです。それは何と、病気の症状とメカニズム動脈硬化や心臓病!全身に血液を送り出すポンプ。それが心臓の役割。その機能が弱まっていたり、血管が狭くなったり堅くなったりしていると、体の末端まで血液が行き渡らず、冷えを感じる場合もあります。冷えを感じる上に血圧が高い。動悸が2,3週間以上も続く。そんな場合は、動脈硬化や心臓病の危険性があります。一度キチンとチェックしましょう!このように、冷え症には、大きな病気が隠れている事もあります。たかが「冷え」と放っておかず、早めの受診を心がけて下さい。
EXAMINATION 検査

EXAMINATION 検査

FRONTIER 最先端技術

冷え症の治療。それには、末梢の血液循環をよくする事が大切。ヨーロッパ各地で、古くから心臓病など血液循環の病気治療に使われていた温泉。その温泉が、冷えの改善に大きな効果が見られると、最先端技術今注目を集めています。それは「炭酸泉」。北里大学東病院のリハビリテーション科では、この「炭酸泉」を、血行障害の治療に、取り入れようと研究が進められています。「炭酸泉」とは、高濃度の二酸化炭素が溶け込んだ、38〜40度くらいのぬるま湯。足についているこのプチプチした泡が「二酸化炭素」です。この「二酸化炭素」が皮膚に溶け込み、血液循環の改善に、効果を発揮するのです。「炭酸泉」の二酸化炭素が、毛細血管から血液に溶け込むと、血中の二酸化炭素濃度が上がって運動後のような酸素不足になり酸素を取り込もうと血管が広がります。北里大学東病院の研究によれば、1000PPMの「炭酸泉」に入ると、最先端技術脚の血流量は5分後に急上昇。血流量の多い状態も単なるお湯の時より、10分以上長く続きました。しかも「炭酸泉」の二酸化炭素濃度が、高ければ高いほど血管が拡張して血行は良くなり、その状態も長く続きました。腰痛も、血行障害が原因。「炭酸泉」が血行を改善して、治療に効果を発揮したようです。そのほか「炭酸泉」には、関節リュウマチや、筋肉のこわばりを取る効果がある事も分かりました。更に糖尿病が原因で、下肢の血行障害を起こしている患者さんに「炭酸泉」を試したところ、最先端技術なんと22日で血液循環が良くなったという結果も得られています。研究では2〜3日に1回、15分間、「炭酸泉」に入るだけ。これを、1ヶ月続けると、血流改善の効果が、2ヶ月間持続します。日本には天然の「炭酸泉」が非常に少ないため、この治療法はこれまで、ほとんど注目されませんでした。しかし、5年前に天然同様の「炭酸泉」発生装置が開発され、医学的にも俄然注目され始めました。既に現在、この「炭酸泉」システムは、全国の病院や老人ホームに導入されつつあり、治療効果に、大きな期待が集っています。

FRONTIER 最先端技術
冷え症の予防。それは生活習慣を改めること。食生活や運動、入浴方法、ふだんの服装など、毎日の習慣や行動を、少し変えるだけで、症状を和らげる事が可能なのです。そこで、冷え症を予防する五箇条!
自己管理体を温めるには、運動で血行を良くすることが大切。実際に全身運動をすると、3倍以上も熱生産量が増えます。まずは、速足で歩く事から始めてみませんか。冷え症を予防する五箇条・その一、「適度な運動をすること
冷え症予防には、服装も大切です。下着の重ね着にセーター。「寒さ対策はバッチリなのに、まだ冷える...」。そんな方はいませんか?もしかすると、その厚着が冷えの原因かも?冬の室内は、暖房の設定温度が高くなりがち。寒〜い戸外の温度に適した、防寒用の服装のまま、暖房の効いた室内に入ればドッと汗をかいてしまいます。汗とともに、熱も放散されてしまうため冷えを招きやすい訳です。そこで、自己管理冷え症を予防する五箇条・その2。「冬の服装は、下半身は温かく、上半身は重ね着というコーディネートがポイント!上半身に重ね着をする時は、室温の状況によって調整がきくよう、薄い物を重ね、脱ぎ着しやすい服装を、心がけましょう。
次は食事。私達のエネルギー源は3度の食事。エネルギー源なくして、熱は生まれません。私たちのエネルギー源は、3度の食事。エネルギー源無くして、熱は生まれません。自己管理冷え症を予防する五箇条・その3、「三度の食事は、決まった時間に、体の必要としている量を、キチンと摂るように心がけましょう。特に冷え症の方には、この季節、是非とも摂って戴きたい食品があります。それはカブやネギといった、冬が旬の野菜類、そしてゴボウや人参、レンコンなどの根菜類など。これらの食品は、昔から漢方医学で、体を温める効果があるとされています。体を温める食材を、普段の3倍、5日間摂取してから、冷たい水に手を30秒つけた後の、体表温度を測りました。すると食べる前は、22.9度だったのが27.9度まで上がりました。冷え症の皆さん、今晩の食事に、カブやゴボウは如何ですか?
冷え症の人に、ありがちな生活習慣。自己管理それは入浴をシャワーだけで済ませる事。これでは、身体が芯まで温まりませんよ。ぬるめのお湯にユックリ浸かれば、末端の血管も十分広がります。すると体の隅々まで血液が行き渡り、冷え症改善に抜群の効果あり!この方法なら、緊張をもたらす、交感神経の働きを抑え、体ばかりか精神的にもリラックス出来るのです。42度のお湯と、38度のお湯に、それぞれ10分間、浸かった時の体温の変化を比べてみた所、38度のお湯に浸かった場合は、20分経っても、体が冷めませんでした。特に、お湯の量を半分にする「気化熱」で奪われ、自己管理折角の効果も半減するので注意しましょう。「半身浴」が身体を芯まで温めるのでオススメです。但しその際、上半身に「かけ湯」をしてはダメ。上半身にかけ湯をすると、冷え症を予防する五箇条・その4。「入浴はぬるめの半身浴。20〜30分、ユッタリと入って温まる!
自己管理更に、足元を温めることも大切です。冷えを、強く感じる人を検査すると、身体の中心の温度と、末端の皮膚温の差が、何と10度以上、という場合すらあるのです!冷え症を予防する五箇条・その5。「入浴のほかにも、足湯やマッサージなどで、ジックリと足元を温める。40〜42度くらいと、やや熱めのお湯に、20〜30分ほど、足を浸けるのが効果的です。如何でしたか?
衣食住の全ての面で、こまめに生活習慣の改善を心がけ、厄介な冷え症から体を守りましょう!

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