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2004年2月15日(日) テーマは
『かくれ脳梗塞 』


今週のドクター 今週のドクターは、
日本医科大学付属 多摩永山病院
脳神経外科

林 伸吉先生



【略歴】

’91年   日本医科大学医学部卒業。
医学博士 脳神経外科専門医
脳卒中の外科学会、脳腫瘍の外科学会、
神経外傷学会所属。
現在   日本医科大学多摩永山病院 医長

【ドクターの一言】
パターンにとらわれない 個人個人にあった医療をめざす。


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
病気の症状とメカニズム歩いていると、突然、どうも足に違和感が・・・。足がしびれている。お茶を飲もうと湯のみを持ち上げようとしたら、力が入らず、しっかり持てない・・・。さらに、おしゃべりをしようとしても、上手く話せない・・・。でもしばらくして時間がたつと・・・。不思議なことに、普段の状態に戻ってなんとも無くなった。病気の症状とメカニズム実は、「足のしびれ」や「力がはいらない」などの症状は、脳梗塞の前触れである、かくれ脳梗塞の典型的な症状なのです。「かくれ脳梗塞」とは、脳の血管全てが塞がってしまうわけではなく、一部分だけが塞がっていて血流が少なくなっている状態、あるいは、一度血管を塞いだ血栓が、血圧などの影響により、移動した状態のことを指します。病気の症状とメカニズムこれは実際、かくれ脳梗塞を起こしているところです。このように、血液の流れが悪くなっているのがはっきりとわかります。このため、一時的に「足のしびれ」や「脱力感」、「記憶障害」などの症状が現れます。しかし、症状が一時的なものといっても油断は禁物。こうしたかくれ脳梗塞のおよそ3〜4割が、やがて命をおびやかす、重度の脳梗塞に、つながってしまうのです。かくれ脳梗塞の原因は、脳の血管を詰まらせ、血流を滞らせる血栓です。実は、私達の体の中には、病気の症状とメカニズム血栓を作り出す、血栓の巣があるのです。血栓を作りだす巣の1つが、アテローム性動脈硬化です。人間の動脈は、耐えず血液が行き来しています。そのため血圧の変化などで血管の内膜は、傷ついては修復という、繰り返しをしています。ところが、肥満などで血液中の中性脂肪や「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLが増えてしまうと、血管の傷に入りこみます。やがて溜まった脂肪は、酸化して有害な物に変化。病気の症状とメカニズムこれを取り除こうと、白血球が集まってきます。しかし、処理しきれなくなると白血球が死んで、血管の内壁に入り込みます。酸化した脂と白血球が交じり合い、血管壁を盛り上げてしまうのです。アテロームは、黄色い脂肪の固まりです。このアテロームに、病気の症状とメカニズム血液中の成分、血小板が集まります。この血小板が固まって大きな血栓となるのです。ご覧下さい、手前に見える黄色いものがアテローム。奥にある赤いものが血栓です。この血栓が血圧の変化で剥がれ落ちます。そして脳の血管へと移動して、その途中で血管を詰まらせてしまうのです。これが「かくれ脳梗塞」が起こるメカニズム。特に、アテローム性動脈硬化が多いのが首の頸動脈です。血栓の巣のもう1つが、病気の症状とメカニズム実は心臓。心臓は規則正しい拍動で全身に血液を送っています。これは心臓の洞結節から出る刺激によって、コントロールされているからです。ところがこの刺激が、洞結節ではなく、心房と呼ばれる、心臓の上にある部分から出てしまうことがあります。これが不整脈の一つ、心房細動。心房細動が起こると、心臓は細かく震えるような動きになり、心臓の中に送り出せなくなった血液が、溜まってしまいます。この溜まった血液が、煮詰められたように濃度を増し、やがてドロドロとなった血液の中に、血栓ができてしまいます。この血栓が血圧の変化によって、脳の動脈へ運ばれて血管を詰まらせます。こうしてかくれ脳梗塞が起きてしまうのです。頚動脈にできるアテローム性動脈硬化と心房細動が、かくれ脳梗塞を引き起こす、やっかいな血栓の巣なのです!更に、私達日本人に最も多い、「かくれ脳梗塞」があります。病気の症状とメカニズムそれが微小脳梗塞とも呼ばれる、ラクナ梗塞です。ラクナ梗塞は、脳の深部にある細い動脈に、血栓が詰まってしまう脳梗塞です。この白い小さな部分がラクナ梗塞を起こしているところ。ラクナ梗塞はほんのわずかな範囲だけしか、脳細胞が死滅しないため、症状が現われにくく、現われても軽い症状しか出ません。しかし、このラクナ梗塞に気づかず長年放置して、その数が増えて行くと、少しずつ脳の萎縮が始まり、重い痴呆症状が起きてしまいます。少しでもかくれ脳梗塞の症状が出たら、危険なサイン。そのまま放置しておくと、命の危機を迎える可能性があるのです。
EXAMINATION 検査

EXAMINATION 検査

FRONTIER 最先端技術

突然襲う、命に関わる危険な病気、脳梗塞。この脳梗塞の治療は、脳細胞へのダメージを少なくすることが重要となります。脳梗塞は命の危険はもちろん、運良く一命を取りとめたとしても、麻痺や記憶障害などの重い後遺症が現れる事も少なくないからです。実はこうした様々な後遺症を引き起こし、脳細胞にダメージを与えるのが活性酸素です。血栓によって血流が止まると、脳細胞に活性酸素が大量に発生します。最先端技術この活性酸素の発生を抑えることが、後遺症を少なくする事につながるのです。そこで近年開発された画期的な新薬が、フリーラジカルスカベンジャー、脳保護薬です。使用法は、脳梗塞発症後、24時間以内に静脈に注入します。フリーラジカルスカベンジャーはイオンバランスを調整して活性酸素を無毒化する薬です。活性酸素による最先端技術脳の神経細胞のダメージを極力減らし、後遺症を残さないようにします。脳梗塞の患者41人に投与したところ、32人は介助の必要がない程度まで回復し、うち14人は症状がなくなったという結果報告があります。後遺症も怖ろしい脳梗塞。それを軽減する、この新薬にかかる期待はかなり大きいようです。

FRONTIER 最先端技術
かくれ脳梗塞は症状が出ても気付かないことが多い病気。そのため初期の段階で見逃さないことが大事になります。そこで家庭で手軽にチェックできる方法を紹介しましょう!

自己管理 自己管理
自己管理
自己管理

自己管理


自己管理

【チェック1】
目を閉じて右手を斜めに掲げてください。手を握り人差し指を立て鼻に向けて持って行きます。しっかりと鼻を触れれば大丈夫。もしも、全く違う場所を触ってしまうようならば、要注意、かくれ脳梗塞の可能性があります。

【チェック2】
目を閉じて両手を左右に広げます。人差し指を立てて、左右の指を目の前でくっつけるようにします。一度で出来なくても大丈夫!!ただし、何度やっても、大きくずれてしまう時は、これもまた要注意ですので、早めに受診してください。
【チェック3】
病院の検査でも行った方法です。両手を前にして手の平を上に向けます。このままの姿勢を保てれば大丈夫。ただし、どちらかの腕が下がるようであれば、麻痺の疑いがあります。
【チェック4】
手を前にして、親指と他の指を順番に結んでいきます。ゆっくりで大丈夫です。これを左右両方行ってください。もしもうまく出来なければ注意してください。「かくれ脳梗塞」の疑いがあります。病院での診察を受けるようにしましょう。

かくれ脳梗塞の症状を見逃さないために、普段の生活でチェックするよう心がけましょう。

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