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2004年2月8日(日) テーマは 『心筋梗塞 』

今週のドクター 今週のドクターは、
東京女子医科大学付属第二病院
心臓血管外科
新浪 博先生



【略歴】

’86年   群馬大学医学部卒。東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科入局。
米国、オーストラリア留学を経て
’99年   東京女子医科大学付属第二病院心臓血管外科講師
’04年1月   東京女子医科大学付属第二病院心臓血管外科
助教授

【ドクターの一言】
大動脈や心臓血管の手術では、切開を小さくしたり麻酔方法を工夫するなど、できるかぎり患者さんへの負担を軽くし、早期退院早期会社復帰ができるようにしています。

【著書】

「循環器疾患 最新の治療 96 〜南江堂97」 

  (分担執筆) 安田 寿一 監修
「心臓外科学-The 21st century」 自然科学社
  (分担執筆) 小柳 仁 監修
「Diseases of the Aorta」
  (分担執筆) University of Moron アルゼンチン


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム
病気の症状とメカニズム突然襲う激しい胸の痛み!まるで心臓を鉄の爪で引き裂かれるかのような、激痛が襲う!「このまま死んでしまうのではないか!」と思う恐怖感と共に・・・。こんな、突然の発作を起こす病気があります。それが「心筋梗塞」です!この心筋梗塞は、放っておくと心臓が停止してしまい、死に直結するという、怖ろしい病気です。これら心筋梗塞を含む虚血性心疾患は現在も増え続け、病気の症状とメカニズム実は日本人の死因で2番目に多い病気でもあるのです。心筋梗塞になる人は年間、実に15万人以上!その多くが何の前触れもなく突然の発作により起こります。症状の多くは「激しい胸の痛み」。そして、噴き出す「冷や汗」。更に、「呼吸困難」に陥ります。心筋梗塞の発作は、「もしかしたらこのまま死ぬのではないか」と思うほどの、激しい痛みなのです。しかも発作は30分以上、時には1時間以上も続きます。そして、最後には意識を失い死に至るのです。心臓のまわりには、心臓全体をぐるりと取り巻くように、冠動脈が走っています。この冠動脈は心臓が動くように、酸素と栄養を運ぶ大切な動脈です。この動脈が詰まり、心臓に血液が流れなくなってしまい、病気の症状とメカニズム心筋梗塞が起きてしまうのです。写真の左側が、心筋梗塞を起こした冠動脈です。丸の部分が動脈が詰まってしまった場所。右側は治療後の映像です。赤い部が血流が回復した冠動脈です。心臓を取り巻く冠動脈は大きく3本に分かれています。 病気の症状とメカニズム右冠動脈は、心臓の右側の筋肉に血液を送っています。そしてこの場所は心臓の鼓動のリズムを司る部分でもあり、この動脈が詰まると心臓は正常に動きません。左冠動脈回旋枝は、心臓の左側と後ろ側に血液送っている動脈です。この動脈が詰まると、この僧帽弁が閉じにくくなり、血液が心臓内で逆流してしまうのです。そして最も重要なのが前下行枝。この動脈は他の冠動脈よりも、心臓の広範囲に血液を送る動脈です。右冠動脈と左回旋枝は、片方が詰まったとしても、もう一方が補うことが出来ますが、前下行枝が詰まると、他の冠動脈では補いきれないのです。冠動脈が詰まってしまう原因が、生活習慣病のひとつ動脈硬化です。病気の症状とメカニズム動脈硬化は血管の内膜にコレステロールが溜まることで起きます。内膜にはそもそも血液を固まらせずに、スムーズに流れるようにする役割があります。ところが、コレステロールが溜まることで、内膜はダメージを受け、そこに血液が付着して、血栓が出来てしまうのです。この血栓が更に大きくなり、冠動脈を完全に塞いでしまうと、心筋梗塞を起こしてしまいます。また血管が完全に塞がっていなくても、血管の収縮で塞がる場合もあります。病気の症状とメカニズム血管の収縮をコントロールしているのは自律神経です。副交感神経が優位だと血管は拡張しますが、交感神経が優位になると血管は収縮します。例えば、暖かい所から、急に寒いところに出た時などは、交感神経が優位になり、血管が収縮します。そのため心筋梗塞の発作は、暖かい所から寒い場所に移動した時に発生するケースが多いのです。また病気の症状とメカニズム心筋梗塞の発作が集中する時間帯は、朝の9〜10時の間。さらに曜日でいえば月曜日。季節では、12〜3月です。「副交感神経より交感神経の働きが強くなった時」に、心筋梗塞を起こしやすいのです。冠動脈が詰まると15分ほどで心臓の筋肉は壊死が始まり、1時間で心筋は完全に壊死してしまい、もう元には戻らなくなってしまいます。そのため、ショック状態になったり、不整脈、心不全を起こし、命を落としてしまうのです。冠動脈が完全に詰まる前に気が付けば…。実は、心筋梗塞を起こした人のおよそ 病気の症状とメカニズム半数が以前に狭心症を起こしていたのです。狭心症は冠動脈が狭くなり、心筋が必要とする量の血液が送られてこないために起こります。痛みは心筋梗塞ほど重くはなく、「胸がグーっと押される感じがする」「締め付けられる」という程度です。また発作が起きても安静にしていれば、長くても15分程度で発作は治まります。ただし、そのまま放っておくと病気の症状とメカニズム血管が詰まり、ついに心筋梗塞を起こしてしまうという可能性もあるのです。また心筋梗塞を起こした人のうち、10人に1人は、胸の痛みがない、全くの無症状の人もいます。その多くは糖尿病を患っている人、そして高齢者です。心筋梗塞は一刻を争う病気。発作を起こした場合4分の1は、発作直後か病院に到着した時点で、命を落としているのです。
EXAMINATION 検査

EXAMINATION 検査

FRONTIER 最先端技術

心筋梗塞を完治するためには、バイパス手術が行われます。最先端技術手術の際には全身麻酔を行わなければならず、患者の体に大きな負担がかかります。そこで、数年前より切開部が小さな、患者の体に負担の少ない、新しいバイパス手術が行われるようになりました。手術は、負担の少ない局所麻酔で行い、さらに切開する大きさも小さくする。そのため手術中に患者は意識があり、自分で呼吸することが出来るため、酸素吸入器で声帯を痛めることもありません。切開し、心臓をスタビライザーという器具で固定し、詰まった冠動脈を切開します。そこにバイパス用の動脈をつなげます。これで詰まった先の冠動脈に血流が回復するのです。切開する範囲もおよそ6センチと小さく行えるのです。切開部を医療用接着剤でくっつけて手術は終了。1週間で退院が可能です。このバイパス手術は、局所麻酔と小さな切開部で、患者の体に負担の少ない手術法なのです。

FRONTIER 最先端技術

自己管理心筋梗塞の発作を起こした人の半数は、「胸が締め付けられる」など心臓に違和感を感じる、狭心症を起こしています。そのため、突然死をまねく心筋梗塞では、狭心症の症状を見逃さないことが重要となります。狭心症の発作が起きたとしても症状は15分以内で治まるため、心臓に異常があると気づかない人も多いのです。では、具体的にどういったことが、狭心症の症状なのでしょうか?狭心症の症状で一番多いのが胸の痛みです。自己管理胸の中央部からみぞおちにかけて、漠然とした痛みが生じます。痛み方は「押されるよう」、「締めつけられる」、「息が詰まる」、「焼けるよう」「重苦しい」と人によって千差万別です。この狭心症の発作は、頻繁に起こることもあれば、実は、年に1,2回しか起こらない場合もあるので見逃さないことが大切です。自己管理また狭心症は心臓とは一見関係ないような場所に痛みが起こることがあります。例えば左肩、あごや歯に痛みが走ったり、しびれ感を覚えたりすることもあります。実際、歯が痛くて歯医者に行っても、どこにも異常がなく、実は狭心症だったなんてことがあるのです。そしてもし安静時に動悸が起こるようなら注意が必要です。運動の後や緊張状態、自己管理驚いた時以外に動悸がするようなら狭心症の疑いを持っていいでしょう。そして、「息切れ」も狭心症のサインです。ただしこの場合の息切れとは、少し体を動かしただけで息苦しくなり、ハァ ハァと臓に十分な酸素が送れないため、少し体を動かしただけで息が上がってしまうのです。「たいしたことない」なんて甘く考えている症状が、実は狭心症や心筋梗塞の危険信号。それを見逃さず、早期治療することがなにより大切です。


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