今週のドクターは、 医療法人仁明会 安部医院 院長 安部 浩一先生
【略歴】 '86年 東邦大学医学部卒業。同大学耳鼻咽喉科、国立国際医療センター、国立身体障害者リハビリセンターを経て'94年より医療法人仁明会 安部医院 院長。
【ドクターの一言】 くしゃみ、鼻水、鼻づまりが治らない。アレルギー症状が長く続く と集中力がなくなり思わぬ失敗にもつながりかねません。 早期治療がまず第一、ぜひ一度耳鼻咽喉科の専門医へ。 https://www.ambe-clinic.com
結核予防のために使われるワクチンはおなじみ、BCG。どんなBCG接種を経験したかで年齢がわかるとも言われていますが、みなさんはご自分のBCG、覚えていらっしゃいますか。実は、この「BCG接種」が、アレルギー性鼻炎の新しい治療法として注目をあびています。京都大学が調査したところ、ツベルクリン反応がずっと陰性の生徒の16%がアレルギー性鼻炎を経験しているのに対し、陽性の生徒では9%と少なかったのです。つまり、結核菌に感染している人が、アレルギー性鼻炎を起こしやすいのです。実は、病原体を攻撃するヘルパーT細胞にはI型とU型の2種類があります。T型とU型はシーソーのようにバランスをとりあって免疫力を維持しています。体内に細菌が侵入すると、感染を防ぐために攻撃するのは「T型」。そして「U型」には、花粉やダニが侵入したときに攻撃するという働きがあります。結核菌に感染すると、ヘルパーT細胞のT型が強くなり、花粉を攻撃するU型が弱くなり、アレルギーの症状も弱くなる。つまり、結核菌が、アレルギーの症状を抑えるのではないかと考えたのです。去年の7月、千葉大学付属病院で、130人が「BCG接種」を受けており、臨床試験としてその結果がまとめられているところです。BCG接種による アレルギーの治療。今後の研究に大きな期待がよせられています。
鼻炎薬は主に2種類。鼻づまりの症状をいち早く直すには「鼻炎スプレー」が効果的。一方「錠剤」は薬によって、その成分が違います。改善させたい症状によって薬を選ばなければいけません。鼻詰まりを改善したい時は、塩酸プソイドエフェドリン。鼻水を抑えるのは、ベラドンナ総アルカロイドです。くしゃみには、メキタジン。鼻炎の薬には、これらを中心にして4〜6種類の成分が配合されています。しかし、成分が多いだけに「眠気」「血圧上昇」「排尿困難」などの副作用も多く、「緑内障」「前立腺肥大」などの疾患を持っている人は注意が必要です。薬を買う時は薬局で良く相談して下さい。説明書を必ず読んで、1回の使用量や1日の使用回数は守るようにして下さい。点鼻薬の主成分である血管収縮薬は、交感神経を刺激して血管を収縮し、鼻づまりの症状を軽くしてくれます。けれども、長い間、続けて点鼻薬を使っていると、回数や量をどんどん増やさなければ鼻づまりがとれなくなってしまいます。これは、鼻粘膜の自律神経のバランスがくずれ、循環障害に陥いるからなのです。かえって鼻づまりがひどくなってしまうことになります。「点鼻藥鼻炎」という言葉があるくらいです。鼻炎スプレーを使うときは…まず、軽く鼻をかみます。つぎに容器をよく振ります。そして、片方の鼻の孔をふさぎ、もう一方の鼻の孔に容器の先を入れて、軽く吸いながら噴射します。アレルギー性鼻炎でお悩みの方、薬を上手に使うことで、鼻炎のストレスが少しでも減ることを祈っています!