- 2017年11月19日放送 #290 「海に漂う高級旅館!瀬戸内歴史ロマンクルーズ」
- 「せとうちの海に浮かぶ、小さな宿」をコンセプトに、2017年秋、一隻のクルーズ船が世界に類を見ない内海「瀬戸内海」に登場。日本クルーズの新たな幕開けとなる、その船の名は「ガンツウ」。今回はゲストに人気歴史家の磯田道史さんを迎え、瀬戸内海の西廻り3泊4日の歴史ロマンクルーズを紹介します。
今、注目を集める建築家・堀部安嗣が手がけた船は、11種類の木材を贅沢に使用。木の温もりと清々しい香りに包まれながら海を漂う様は、まさに旅する高級旅館そのもの。全19室の部屋は全て海を臨むテラス付きスイートルーム。広さ50~90平米の全ての客室は、贅を極めた空間です。名刹の縁側を彷彿とさせる屋外空間では、穏やかな海を眺める極上の時間が流れます。
発着の港は広島県尾道市のベラビスタマリーナ。尾道は古い歴史と文化が幾重にも重なり合う港町としても知られ、多くの文人や画家に愛された風景が旅人を惹きつけます。磯田さんは、出航前に街を一望する千光寺公園へ赴き敬愛する儒学者・歴史家の頼山陽が詠んだ詩碑を真っ先に訪ねます。「歴史は今を生きる人々の指針となるような重要なもの」との想いを更に深め、いよいよ瀬戸内歴史ロマンクルーズへ。
船上に流れ行く大小様々な多島美は、旅する者に穏やかなで豊かな気持ちを与えてくれます。
「ガンツウ」クルーズの船外体験のコンセプトは、“人知れずある大切なものに、そっと触れること”初日の船外体験は「佐木島」の「磨崖和霊石地蔵(まがいわれいしじぞう)」を見学。満潮時に肩まで浸かってしまうこのお地蔵様は、およそ700年に亘り、瀬戸内の海を見届けてきました。
翌日の早朝散歩は、宮島の世界文化遺産「厳島神社」へ。古くから文人偉人に愛されてきた名旅館も訪ね、そこに残る貴重なお宝の数々と対面します。
大和朝廷の時代から今日まで要衝の地であった瀬戸内。行く先には、潮流が早く、狭い水道が現れます。船は平清盛が造ったとされる「音戸の瀬戸」を通り、更に西へ。この海で名を馳せた村上海賊の光芒を、瀬戸内の絶景に重ね合わせます。
停泊した船には漁船が横付けされ、鯛や蛸など、とれたての魚介類が漁師から届けられ、その場で活け締めされた新鮮な食材が食卓へと並びます。料理はミシュラン2つ星・東京「重よし」が監修。素材の味を活かした四季折々の料理は絶品の一言。三時には、手作り和菓子で抹茶をいただく至福の時間が流れます。
船からしか眺めることのできない瀬戸内の絶景と出逢いながら、ゆっくりと航行する「ガンツウ」。宝石のように美しい海と、古代から今日まで遥かな歴史を紡いできた、海人たちの歴史ロマンに思いを馳せる船旅をお楽しみください。