- 2016年3月16日放送 #254 「黄金の波間にゆられて・ボルガ川」
- ボルガ川は、ユーラシアの西と東の文化をつなぎ、ロシアに芳醇な恵みをもたらしました。冬の間は厚い氷に閉ざされるこの川では、夏の短い一期間、待ちかねたようにクルーズ船が水面を揺らします。今回は、ボルガ川をさかのぼり、世界遺産都市を訪ねながら、首都モスクワまで旅します。旅の後半、ボルガ川のほぼ中間にあるカザンは、モンゴル帝国の支配を経て独特な文化を作りました。カザンクレムリン(城塞)には、イスラム教モスクとキリスト教聖堂が美しく融合し、見事な景観を放っています。チェボクサルはロシア以前の古い町で、可愛い民族衣装を着た踊り子の歓迎を受けます。「黄金の環」として知られる街ヤロスラヴリは、ロシア美術の宝庫。教会に入ると、壁から天井までイコンとフレスコ画が埋め尽くし、圧倒的な迫力と荘厳な佇まいをみせます。旅の終着地モスクワでは、船を乗り換え、モスクワ川を遊覧。船から見えるピョートル1世の巨大な像や救世主キリスト聖堂、そしてハイライトのクレムリンなどとっておきの景観を船上から楽しみます。ボルガ川は、その長い歴史を見つめながら、今日もまた未来への希望を運びます。