- 2016年3月9日放送 #253 「千年の歴史を運ぶ大河・ボルガ川」
- ロシアを流れるボルガ川は、ヨーロッパ最長を誇る川です。全長は約3,690km。モスクワ北西部から染み出し、その流れは大河となってイラン北部のカスピ海に注ぎます。冬の間は厚い氷に閉ざされるこの川では、夏の短い一期間、待ちかねたようにクルーズ船が水面を揺らします。旅の友はロシアの偉大な冒険家の名を冠(かん)した「アファナシー・ニキーチン」。ボルガ川を河口からさかのぼり、かつて人々が豊かさを運んだ歴史をたどります。出発の地アストラハンは、カスピ海のチョウザメから捕れる高級キャビアの生産地。この地はシルクロードとつながり、絹や金、毛皮、塩などが行き交うコスモポリタンでした。船は穏やかな川の流れに助けられ、ゆっくり川上を目指します。ゲストは第二次世界大戦中、多くの犠牲を出したスターリングラード攻防戦の地を訪ね、激戦で命を落としてしまった兵士に花を手向けます。また、船はヴォルガ河畔の街、サマーラに碇をおろします。ここはロシアを代表する画家・レーピンの名画「ヴォルガの舟曳き」の舞台となった場所。かつてこの地で重労働を行った船曳き労働者たちに思いを馳せます。また、地下深くに築かれたスターリンの地下掩体号(えんたいごう)を探検したり、世界初の有人宇宙飛行に成功したガガーリンゆかりの地を訪ねます。千年の歴史を運ぶ母なる大河、ボルガ川を遡る旅が始まります。