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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年11月27日 O.A.

#85 ミンスク発バイソンの森と湖を巡る

ベラルーシ

地図

今回の舞台は、旧ソ連の国ベラルーシ。国土の半分近くを森林が占めるという緑豊かな国土をもち、スラブ語で「白いロシア」を意味するこの国は、 独立から20年以上がたった今も日本からは“知られざる国”のままです。いったいどんな出会いが待っているのでしょう。

まずは首都のミンスクに降り立ち、レーニンの巨大な銅像が立つ独立広場から旅を始めます。 ソ連時代の“スターリン様式”と言われる建物が建ち並ぶミンスクの市街地は、ロシアよりも社会主義の香りが色濃く残るちょっと不思議な街。 激しい戦火につつまれたという、第二次世界大戦にまつわる記念碑や広場が多く残っています。

そんなミンスクの公園で、偶然出会った三姉妹は、今ベラルーシで人気だという“モデルさん”を目指していました。

これからモデルの学校に行く、という彼女たちに誘われて、ウォーキングの稽古を見学。 4歳から15歳までの子どもたちが熱心にお稽古しています。 重厚な趣のソ連レトロな街並みと、世界へ飛び出そうとする少女たち…。 ベラルーシの過去と未来を同時に目の当たりにしたような一日でした。

翌日は街で勧められた世界遺産の森“ベロレージの森”と“ブレストの要塞”へ。 冷房もない小さなバスは時速130キロのスピードで南西に走ります。 ポーランドとの国境に接する“ブレストの要塞”とは、巨大な石像が立つ、かつての戦場でした。 第二次世界大戦で要塞となった城跡が今は観光地となっているのです。 この国が戦争で負った大きな傷跡を思いながら、ブレストのバスターミナルからベロレージの森に向かいます。 世界遺産にも指定されたこの森は、ポーランドとベラルーシに広がるヨーロッパ最大の自然森です。 野生動物を管理する動物学者と出会い、バイソンの観察に同行させてもらいます。しかし、広大な森の中で簡単には見つかりません…。 日も暮れて、視界が悪くなってきました。この日は森の中にある動物学者のご自宅に泊めてもらうことに。 手料理を頂きながら森での暮らしを垣間見ました。

翌朝、何とか朝日の中でバイソンの群れに出会うことができ、一家に別れを告げて再びブレストのバスターミナルへ。

ベラルーシの西部最大の街グロドノを目指します。 街をぶらぶらすると、お花屋さんの市場に遭遇。 そこで出会った一家に招待してもらい、郊外の別荘“ダーチャ”へ向かいます。

ベラルーシの人たちがソ連時代から親しんできたという夏の別荘ダーチャでは、花の手入れやバーベキューをして夏の一日を過ごします。 なるべく自然の中で過ごしたい、というベラルーシ人の生き方にふれ、この日はダーチャに一泊させてもらいます。

翌朝は、グロドノからベラルーシ最大の湖があるナロチへ向かいます。 避暑地として賑わうナロチの湖では、出会った漁師さんにナロチ名物の日の出を船の上から見せてもらい、旅のしめくくりとしました。 自然とともに暮らすベラルーシの人々の素朴なあたたかさを感じた旅でした。