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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年11月13日 O.A.

#83 アムステルダム発 風車の村へ

オランダ

地図

運河の都アムステルダムからオランダ南西部を目指す旅。 目的地は同国最大の風車網が広がるキンデルダイクです。

旅の初日、アムステルダムの広場で奇妙なイベントに遭遇しました。 女装したゲイのイベント「ドラァグクイーンオリンピック」。 大勢の見物客から歓声を浴びる中、出場者たちはハイヒール徒競争やハンドバッグ投げ競争など、ユニークな種目で競っていました。 オランダは世界で初めて同性婚が認められた国。偏見や差別に負けず個性をいかす『自由な風』を感じました。

翌日、オランダの南部へ向かう途中、バスの乗客に「素敵な町」と薦められたユトレヒトで降りてみました。町を散策していると、横断歩道の信号灯にウサギのマークを発見。これは世界的に有名なキャラクター・ミッフィーではありませんか!ユトレヒトは、その生みの親・絵本作家ブルーナが暮らす町だったのです。

次に途中下車したのはアウデワーターという小さな町。この地域はゴーダチーズで有名なゴーダ地方です。ここでは、昔からの製法でチーズ作りを続ける農家の夫婦に出会いました。農場では牛の乳を搾り、息子を愛でるようにしてゴーダチーズを作っていました。奥さんは「辛いと思ったことはないわ」と微笑みます。チーズ作りを見学した後、夫婦の朝食に招かれました。テーブルに並ぶのはたっぷりのゴーダチーズ。搾りたての牛乳もいただいて、贅沢な一日の始まりでした。

旅の最終地、キンデルダイク。国土の4分の1が海面よりも低いオランダでは、風を遮る丘陵がすくないため、「風の国」とも呼ばれています。昔から、大地を駆け抜けていく風を風車で受け止め、排水干拓によって国土を維持してきたのです。キンデルダイクで出会った男性に、ご自宅へ招待して貰うことになりました。なんと彼の住まいは、風車の中。古い風車の内部を改造した2階建ての民家です。1階には食堂やミニキッチン、2階には広いリビングがあり、爽やかな風に吹かれながら、素朴で充実した生活を送っていました。