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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2016年5月12日 O.A.

#255 麗江発 雲南の理想郷 シャングリラへ

中国
地図

今回のバス旅の舞台は中国雲南省。古都麗江を出発し、秘境・チベット族自治州へ。道中では、「理想郷」と呼ばれる街シャングリラで、雲南省最大のチベット寺院を見学。世にも不思議な「一妻多夫」の村を訪問するなど、チベット族の文化に触れます。そして未踏峰の聖山 梅里雪山へ。世界中から訪れるチベット族が6700mの壮麗な姿に向かって一心に祈りを捧げていました。

麗江

雲南省の古都・麗江が今回の旅の出発点。1997年に世界遺産に登録された麗江古城(旧市街)は800年の歴史があり、瓦屋根の民家や音楽などナシ族独特の文化を残していて雰囲気バツグン。「麗しい水の街」と呼ばれる麗江は街中に川や井戸があり、地元の人が貴重な水源を守りながら暮らしている。昼食どころを探していると…なんと火鍋レストランでロボットが働いている!店の売りとして導入されたらしいけど、まさか古都にこんな最新のロボットがいるとは、中国の発展ぶりにビックリ!

香格里拉(シャングリラ)

バス乗り場で次の行き先としてオススメされたのは、香格里拉(シャングリラ)という街。チベット族が多く住み独特の文化風習が残っているという。しかもシャングリラって「理想郷」の意味らしい。それは行くっきゃない!バスで標高3000mの山道を駆け上がること4時間。着いてみると…あれ?意外と都会。でも街中を散策してみると、アジア最大のマニ車や黄金のチベット寺院などがあり、地元の人々の信仰が根付いている場所だと実感。カラフルなチベットの経典「タルチョ」を作るおじいさんと出会い、お家にお邪魔することに。今では少なくなってしまったという手摺りの木版で、一枚づつ心を込めてタルチョを刷るおじいさんを見てなんだか神聖な気持ちになりました。

徳欽

タルチョ作りのおじいさんに薦められて、チベット族の聖地・梅里雪山を次の目的地に決めました。最寄りの街 徳欽へ向かうバスで、正月休暇で実家に帰るという青年と仲良くなり、彼の家に立ち寄らせてもらうことに。徳欽から車で20分程の谷あいにあるのが彼の村。
早速ご家族を紹介してもらうと…あれ??お父さんが二人いる!? なんとこの村は「一妻多夫」の習慣があって、兄弟全員で家を継ぎ、そこに奥さんが一人嫁ぐのが伝統なんだって!“兄お父さん”と“弟お父さん”という2人の父がいるなんてビックリしたけど、役割分担をしつつ家庭を守る2人の父の姿は頼もしく、みんな幸せそう。とってもステキなご家族でした。

梅里雪山

梅里雪山は朝日が美しいと聞き、徳欽で宿を探し明日に備えることに。翌朝、宿の近くにある展望台に向かうと、早朝から祈りを捧げる人々がいた。梅里雪山は世界中のチベット族が一生に一度は訪れたいと願う聖地で、数多くの巡礼者が参拝に来ていた。五体投地をする人、祈りの歌を捧げる人、お経を唱える僧侶。彼らの祈りを聞きながら、標高6700mの主峰が朝日に照らされる姿は驚くほど神々しく壮麗だった。人々の信仰を見届けながら、僕も手を合わせて祈りを捧げた。