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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2016年4月28日 O.A.

#253 東西の文化が交錯する不夜城

マカオ
地図

今回の舞台は、世界最大のカジノ都市として有名なマカオ。かつての宗主国ポルトガルの文化を色濃く残し、美食が集う街マカオをバスで旅します。旅の起点はマカオ半島を見渡せる、マカオタワーからの絶景と絶叫の眺望。地上から233メートルにあるタワーの外周を、気さくなインストラクターの案内の元、楽しみました。彼から、まず向かうべきは、世界遺産が多く集まるセナド地区周辺と聞き、早速バスで向かうことに。そこは、美しい石畳が並び、ポルトガル時代の面影を残すカラフルな建物が並び立つ、マカオの中心部。旧正月前で買い物に興じる多くの観光客を抜けた先には、マカオ観光の象徴とも言うべき聖ポール天主堂跡が。その彫刻には、かつての日本人が込めたと言われる、ある逸話がありました。近くの通りで何とも美味しそうな匂いに惹かれて入った路地は、通称「おでん屋横丁」。今やマカオB級グルメの代表格ともなった“カレーおでん”は絶品。小腹を満たしたところで、早速バスに乗り込むことに。

バス車内で出会ったのは、地元の美人女子大生。話してみると、ホスピタリティー学科に通い、地元マカオの観光を学んでいるとのこと。女性の厚意で、マカオ案内をしてもらうことに。連れていってもらった先は、「スタジオシティ・マカオ」と呼ばれる、高級統合リゾート施設。カジノは勿論、ホテルやショッピング、レストランにアミューズメントが全て揃っており、スタジオシティ・マカオは昨年秋にオープンしたばかりの最新施設。美味しい食べ物が大好きという女性と、施設内を巡り、珍しいアイスクリームを堪能。そして夜も更けたころ、世界初の8の字観覧車「ゴールデン・リール」で、美しい夜景を楽しみました。別れ際、さらに美しいマカオの夜景を楽しめる方法があると教えてくれたのは、オープントップバスでの観光ツアー。24時間営業のカジノ施設が街に溢れるマカオは、まさに眠らない街。その煌びやかで美しい街並みを堪能して1日目は終わりました。

翌朝は、タイパ地区の散策からスタート。わずか150メートルほどの通りに、沢山のお土産物屋さんや飲食店が並ぶ官也街(クンヤーガイ)を歩いていると、公園でポルトガルダンスの一団に遭遇。その心地よい軽快なステップとアコーディオンの音色にしばし身を委ねました。踊り子さんに話しかけ紹介してもらったのは、ダンスのオーガナイザーを務めるという女性。実は彼女はマカオ料理のお店も持っているとの事で、ご馳走してもらうことに。彼女自ら料理してくれた家庭料理ミンチと、伝統の煮込み料理タッチョは、まさにお袋の味。マカニーズと呼ばれる、ポルトガルの子孫である彼女は、マカオ人としてのアイデンティティーも話してくれました。別れ際、彼女が教えてくれたマカオのオススメスポットは、コロアンと呼ばれるマカオ南端の地区。そこに、マカオを代表するスイーツ、“エッグタルト”発祥のお店があるということで、向かってみることに。

コロアンは、昔ながらの漁業を営む方も住む、静かで穏やかな地区。その中に、行列ができたエッグタルトのお店はありました。長年エッグタルト作りに励んできた職人さんや、お店のオーナーから直接話を聞くこともできました。そして頂いた出来立てのエッグタルトの味はまさに、とろけるような味わい。オーナーが別れ際に教えてくれたのは、近くの海辺から見えるサンセット。かつて遥か西方からやってきたポルトガルの文化に思いを馳せながら、沈み行く美しい夕日に魅せられました。マカオのB級グルメ、マカオの家庭の味、そしてマカオのスイーツと、美味しいマカオを味わい尽くす旅となりました。