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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2016年4月21日 O.A.

#252 喧噪と混沌の街を行く

香港
地図

今回の舞台はアジアが誇る国際貿易都市・香港。ディープで、ローカルな香港の素顔に迫ります。経済の中心地区・中環(セントラル)を全長800メートルに渡って続く世界最長のエスカレーターから旅はスタート。かつて有名な映画の舞台にも選ばれたこのエスカレーターに乗りながら街並みを眺めます。そこから街歩きする中で見つけたのが、香港の最新スポット“PMQ”。ショッピングやアート、スイーツが楽しめるお店が100軒ほど集まり、ショッピング天国香港を満喫しました。

行き先を決めずに乗り込んだバスで聞いた地元の方から教えてもらったのは、銅鑼灣(コーズウェイベイ)と呼ばれる、香港島随一の商業地区。渋谷のスクランブル交差点を彷彿させる人混みを抜けて出会ったのは、打小人(ダーシウヤン)と呼ばれる、一種の厄除け儀式を行う女性。旅の安全祈願ということでお願いすると、災厄を追い払うために、大きな音で靴を叩きつけ始めてビックリ。聞けば古く、唐の時代から続き、香港の無形文化遺産にも指定されているのだとか。進むべき方向も併せて聞くと、思うがままに進みなさいとのアドバイスをもらい、中環で出会った工事現場の男性から聞いた、香港ならではの竹足場の訓練センターへ向かうことにしました。

教えてもらった場所は葵涌(クワイチョン)という、住宅地が集まるローカルな街。バスを降りて出会ったのが、訓練学校で教官を務める男性で、許可をもらい訓練の様子を覗いてみることに。中は竹と金属で出来た足場で出来た、まるでジャングルジム。そこでは足場職人の基本である結束の練習に励む若者たちがいました。そして教官であるワンさんからは大事な教訓を教えて頂きました。時間も夕方になり、宿泊場所が集まる地域を聞くと、尖沙咀(チムサアチョイ)を教えてもらいます。海辺からは香港島の高層ビル群の夜景を拝めると聞き、早速向かいました。

尖沙咀についたものの、香港名物でもある突然の雨に見舞われてしまいます。ところが、教えてもらった夜景スポットには、雨にも関わらず人だかりが。眼前には、世界新三大夜景にも選ばれた“香港100万ドルの夜景”が広がります。と、突然大音量と共に、ビル群のライトアップが始まりました。実は、“シンフォニー・オブ・ライツ”と呼ばれるギネスにも登録された、世界最大の光と音のショーでした。足場職人さんの支えでそびえ立つ香港のビル群、その美しいライトアップで1日目を締めくくりました。

翌朝出会ったのは、香港の朝の名物、太極拳。誘われるがままに参加し、見よう見真似で体験しました。そこの師範に教えてもらったのは元朗と呼ばれる、香港の新旧を味わうことができる街。着くやいなや、またまた突然の雨に見舞われ、雨宿り先として飛び込んだのは地元の市場。そこで出会ったのは、“私房菜”と呼ばれるプライベートキッチンを開く女性。話をすると、香港の旧正月やめでたい日には欠かせないという“盆菜”と呼ばれる料理の準備をしており、振る舞ってくれるとのこと。秘伝のタレで煮込まれた鶏肉を始め、豪華な食材がこれでもかと盛りつけられます。旅の最後にようやく美食の都・香港の味に舌鼓を打つことができ、香港に別れを告げようと思っていたところ、彼女から思わぬマカオ行きの提案を受けます。船で約1時間と近く、またポルトガル料理などのグルメも豊富と聞き、足を延ばしてみることにしました。