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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2014年7月10日 O.A.

#167 アデレード発 聖なる岩ウルルへ

オーストラリア

地図

今回は、オーストラリアの南オーストラリア州の州都アデレードから、地球のへそを呼ばれるエアーズロックを目指します。

旅の始まりのアデレードは、あいにくの雨ですが、開拓時代の建物が数多く見られ、落ち着いた雰囲気の街。歩いていると市街を周遊する無料バスを発見。せっかくなので、バスに乗り、町を観光します。バスは無料とあって、観光客だけでなく地元の方も多く利用し、中でも買い物かごを持った人たちを多く見かけます。大きな市場があるとのことなので立ち寄ってみます。野菜、果物、肉など色んな生鮮食品が並ぶ中、発見したのは、カンガルー肉の専門店。新鮮で多くの部位を扱っていることから、地元の人たちが次から次へと買いに来ます。店主の好意で、市場内にある食堂でカンガルー肉を焼いてもらいました。

散策を終えエアーズロックを目指しますが、アデレードからの距離は、およそ1700km。直通のバスはないため、まずは途中のクーバーピディという町で途中下車。ここは、オパール鉱山の町が主要産業ですが、夏場には気温が50℃にもなり、暑さから逃れるため、人々は、砂岩の丘に横穴を掘り、そこに住居やお店を作って生活しています。住民に穴ぐらでの生活について教えてもらい、さらに穴ぐらのホテルに宿泊します。

翌日、エアーズロックの拠点の町アリススプリングスを目指し、広い広い大地を走りま す。道中、故障した車がバスの運転手さんに、途中までの乗車を頼みますが、「それは出来ない」と断ります。しかしバスは、近くの地元警察署へ行き、故障車を発見した事を警官に知らせました。「規則で乗車させるわけにはいかないけど、放っておく事も出来ないからね」と運転手さん。荒野の中で人の温かさを感じました。

そして、アリススプリングスへ到着。この街は、先住民アボリジニのコミュニティがあり、彼らのアートの拠点となっています。街中にあふれる色とりどりのアートはどのように作られているのか…アボリジニの文化とアートに触れるため、一人の女性アーティストの創作現場にお邪魔しました。さらにこの町には、世界一広いと言われる学校があります。この学校は、実はインターネットを利用し、遠隔地にいて学校まで通えない子ども達のために授業を行っています。遠い子どもは何と700km離れた村に住んでいるそうです。昔は、無線による授業だったのが、今はハイテクを駆使しながら子どもたちの教育に力を入れていました。

そして、いよいよ最終目的地、アボリジニの聖地“ウルル”へ。かつてはエアーズロックと呼ばれていましたが、今はアボリジニにとっての正式名称名ウルルと呼ばれる、世界最大級の一枚岩です。このウルルで一番の絶景が夕日。赤く染まる岩肌を見ると神々しさを感じます。さらにこのウルルの下にある泉へ。ここも先住民アボリジニにとって聖なる場所。乾いた大地の中で、かれないと言われる泉の不思議さを感じながら旅は終わります。