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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2014年7月3日 O.A.

#166 マラガ発 美食のシエラネバダ山脈を行く

スペイン

地図

今回の舞台はスペイン、アンダルシア地方。地中海沿いの一大リゾート地から不思議な岩山の町まで、200キロを駆け抜けます。巨匠を生んだ町で出会ったのはとびきりの地中海料理。古都グラナダでは伝統工芸を守る陽気な姉妹にも出会いました。そして最後にたどり着いたのは、洞窟を住居にした岩の街とその絶景でした。

マラガ

スペインの南、アンダルシア地方のマラガ。太陽海岸と呼ばれるリゾート地の玄関口の街。そしてここは画家・ピカソの生まれた街でもあります。ピカソ生誕の家を案内してもらったおじさんが、自宅でパエリアをごちそうしてくれるというのでお家まで。若いころはイギリスのリバプールでスペイン料理のコックをしていた彼の作るパエリアは絶品!すっかりごちそうになってしまいました。おじさんにアンダルシア地方のおすすめの街を聞いてみたところ、「リオフリオ」という町を薦められました。驚くようなものがある、というのですが、いったい何があるのだろう?最初の目的地はその町に決めました。バスターミナルへ行ってみると、とりあえずロハという町で乗り換えるということでバスに乗りました。

ロハ

乗り換え経由地のロハでバスを降りて乗り継ぎバスを探したのですが、なぜか見当たらず。地元の人に聞いてみたら「今日のバスはもう終わりだよ、リオフリオなら歩いて10kmくらいだ」と言われてしまいました。バス停にいても仕方がないので歩き始めたのですが、すぐに陽が落ちてきてこりゃまずい。この町で一泊することにしました。翌日、すこしこの町を散策。なにやら小さな湧水の水飲み場が街中に散見されます。街のおじさんに話を聞くとなんでもシェラネバダ山脈の雪解け水が地下を通ってこの町のあちこちで湧き出しているんだとか。一口飲んでみると確かにおいしい!こんなおいしい水がこの町ではいつでも飲めるんだなあ。

リオフリオ

マラガのおじさんに薦められて到着したリオフリオ。この町の驚くものってなんだろう?町を歩いているとマスの養殖場がたくさん。そして街なかにはなんと「キャビア」の文字。なんとマス以外にキャビアの養殖が盛んだったんです。スペインの田舎町でキャビア?どうやらシェラネバダの水がおいしいキャビアを育てるのにとても適しているんだとか。しかも育てて18年経たないと卵ができないんだとか。綺麗な水で手間暇かけて取り出すからキャビアはすごく高いんですねぇ。ちょっと食べただけなのに2万円くらいかかっちゃった。

グラナダ

アンダルシア地方を旅するなら絶対はずせないのがグラナダ、と行く先々で薦められたので立ち寄ることにしました。丘の上から見るアルハンブラ宮殿は、彼方にシェラネバダ山脈を背負っていてさすがに美しい。街を散策していると、寄木細工の伝統工芸品を売るお店が。立ち寄ってみると、このお店で作っているのだとか。実はここでもう何代も続いている老舗。店主の美人姉妹はこのお店をお父さんから引き継ぎ、技術を継承しているそう。お店を後にしようとしたら、お姉さんに呼び止められ「これからランチで一杯いかが?」え?だってお店はどうするの?「いいのいいの、ランチタイムは閉店よ」さすがシエスタの国。近所のバルで昼ビールで乾杯!話が弾む中で、ここまで来たならグアディクスに行くよう勧められました。洞窟を家にして住んでいる町だという。ちょっと想像できないので、そこをゴールにしてみよう。

グアディクス

シエラネバダ山脈の麓にあるこの町は、一見普通の街並み。でもよく見ると門と玄関の奥は岩肌になっている。建物そのものは岩肌をくりぬいてそこを住居にしている「穴居住宅」と呼ばれる家屋。家のほとんどが地中なのですが、室温は一年中20℃に保たれていて快適。洞窟暮らしというイメージとは全く違う居住環境なのです。シエラネバダ山脈を背景に、岩山と普通の家戸が混ざり溶け合ったような不思議な景色が広がっていました。