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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2014年4月10日 O.A.

#154 ミラノ発 青碧のリグーリア海岸へ

イタリア

地図

今回の旅は、イタリア北部ミラノから地中海に面したリグーリア海岸を目指します。海岸沿いにはチンクエ・テッレ(イタリア語で5つの村)と呼ばれる、小さな集落が点在するイタリア屈指の景勝地があります。燦々と降りそそぐ太陽と紺碧の海に抱かれて暮らす人々と素敵な出会いがありました。

旅の始まりは、北部イタリアの最大都市のミラノです。ミラノ市内を散策するつもりが、生憎の雨。運良く見つけた二階建てバスは屋根がとりつけられ、雨に濡れることなく町巡りを楽しむことができました。夜は、偶然出会った恋人たちとアペリティーボを楽しむことに。彼らに話を聞くと、チンクエ・テッレと呼ばれるリグーリア海に並ぶ集落へ行けば、風光明媚な景色を楽しめると聞き、行ってみることにしました。

翌朝、ホテルの人に教えてもらいチンクエ・テッレ行きの直通バスがあるというジェノバへ向かいます。しかし、ジェノバのバスの運転手にチンクエ・テッレに行くには、ジェノバからいくつもの路線バスを乗り継がなくてはいけなく、少なくとも6時間はかかる大変な道のりだと教えられます。とにかく、この日は行けるところまで行くことに。絶品のパスタ料理があるという海沿いの町、ラパッロを目指します。

翌朝、ラパッロを散策すると、海沿いに小さなお城がありました。地元の人に聞くと1600年代にアラビア人から町を守るために建てた城塞だとか。そしてこのお城をモデルにしたパスタを作るお店があると聞き、連れて行ってもらうことになりました。パスタ屋さんで、伝統の料理の作り方を見せていただくと、店主の息子さんに昼食を招待していただきました。子ども3人、家族団らんの一時を共にしました。

その後、バスを乗り換えること5回。
なんとかチンクエ・テッレの一つ手前の町、レバントに到着しました。しかしここまできて、チンクエ・テッレに向かうバスがないことを知ります。山の上までバスで行けばそこからチンクエ・テッレの最西の村、モンテロッソ・アル・マーレまで歩いていけると教えてもらい一安心。なんとか、村内を巡回するバスに乗り込むことも出来、美しい海岸へ到着します。
町を歩いていると、広大な斜面に広がる段々畑がありました。1100年頃に人々が山を開拓し、石垣を作り、長年守ってきたという伝統のブドウ畑です。そこで偶然、ワイン工場のオーナーと出会います。長く続いた雨を心配して、畑を見に来たんだとか。ワインは飲めないけど、工場へ案内してもらいチンクエ・テッレ名物のシャケトラを少し味見させていただきました。琥珀色に輝く貴重なワインは、甘い芳醇な香りが広がり、旅の疲れを解き放ってくれるようでした。ワイン工場の人の勧めで、そのまま防波堤の上へ移動しました。リグーリア海に沈む輝く夕日。黄金色に照らされた小さな村がとても美しく、素晴らしい思い出になりました。