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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2014年2月6日 O.A.

#145 ロッテルダム発 海抜下の大地を行く

オランダ

地図

今回の旅の舞台はオランダ。
第2の都市ロッテルダムから北上し、世界最大の締め切り堤防までバスを乗り継ぎます。

ロッテルダム

旅の始まりは高層ビルが建ち並ぶ世界屈指の港湾都市、ロッテルダムです。中央駅でバスのICカードを購入し、まずは近代的な町並みを散策します。そこでサイコロを斜めに並べたような不思議な形の分譲アパートに遭遇しました。ロッテルダムは建築の町としても有名なのだそうです。そのアパートの部屋を博物館として開放している方に、中を案内してもらうことになりました。なるほど階段を上っていくと、部屋の天井や壁は全部斜めで狭いのですが、人の心を惹きつける遊び心で溢れていました。

ハーレム

次はオランダの歴史的建造物のあるハーレムに向けて北上することに。あいにくの雨で町中は人通りもまばら。雨宿りに入った教会でパイプオルガンの奏者に出会いました。この教会は1500年代に建てられた物。特に彼が弾いているパイプオルガンは、モーツァルトが10歳のときに弾いたという歴史もあるそうです。その夜はそのままハーレムでバックパッカー用の安宿に泊まることに。そして同じ部屋に泊まる仲間たちと一緒にバーへ繰り出しました。オランダのコロッケをおつまみに、乾杯を重ね、1日目の夜が更けていきました。

アウトゲイスト

翌朝バスに乗ると、アウトゲイストの排水施設で働く男性に出会いました。彼から「オランダ国土のほとんどは海抜より低く、雨が降ったときは干拓地から水を吸い上げるんだ」という話を聞きました。ちょうど仕事に向かう途中だという男性について行き、排水施設を見学することに。排水ポンプが動き出すと、干拓地の水は吸い上げられ隣の運河へ排出されていきます。この水は北に運ばれ、最終的には巨大ポンプでワッデン海に排出されるそうです。そのワッデン海には、沿岸の町が洪水にならないように全長32キロの大堤防があるそうです。今回の旅のゴールは、その世界最大の大堤防に決めました。

ホールン

途中で立ち寄ったアイセル湖沿岸のホールンでは、サンタクロースのモデルになった聖二コラのイベントが開催されていました。オランダでは、聖二コラはスペインから船でやってきて、子どもたちの靴にプレゼントを入れていくと信じられているそうです。港に子どもたちが集合すると、船の汽笛が鳴り、聖二コラと彼の従者ピートたちが湖から現れ、町ではパレードが始まりました。子どもたちは白馬に乗った聖二コラを歓迎し、ピートたちからお菓子をもらって喜んでいました。

大堤防

そして最終目的地、大堤防へ。大堤防の上には車道が走っていて、途中の展望台までバスで行けるそうです。展望台の前でバスを降り階段を上ると、展望台からの風景は圧巻でした。左手にはワッデン海、右手にはアイゼン湖が広がり、それを仕切る大堤防が真っ直ぐ地平線まで伸びています。再びバスに飛び乗ると、大堤防の向こうへ出発することにしました。