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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2013年12月26日 O.A.

#140 コーチン発 最果ての海の聖地へ

インド

地図

今回の舞台はインド。第2の都市ムンバイから、さらに南に約1500キロにある西海岸の港町コーチンがスタート地点。地元の人が南インドの見所を教えてくれました。ひとつ目は、コーチンから東に向かった山奥にあるムナール。紅茶の里として有名で、絶景の茶畑が見られるとの事。もうひとつが東海岸にあるダヌシュコディ。ヒンズー教の聖地と美しい海だそうです。

まずは、紅茶の里ムナールを目指しますが、直通バスはないので、途中のエルナクラムまで。バスに乗車すると、驚いた事に窓にガラスがありません。しかも、南インドのほとんどのバスは、ガラスがないそうです。「雨が降ったらどうするの?」と乗客に聞くと、窓枠の上に布が丸めて畳まれており、雨が降ると、その布を降ろすんだそうです。

途中乗り換えするエルナクラムで伝統舞踊のカタカリを見学。舞台前のメークを誰でも見る事ができます。びっくりしたのは、目の中にケシの花の粒を入れ、目を充血させる方法。こうすると、目を見開いた時に迫力が増すんだそうです。

再びバスで紅茶の里ムナールを目指します。道中、大荷物を持った4人の青年たちと出会います。聞くと「ムナールに半年間の出稼ぎ」という事なので、一緒に下車。しかし、よくよく聞いてみると、そこはムナールではなく、ムナールより約30キロ手前の町でした。青年いはく「最終的にはムナールに行く」というこだったのです。

青年たちと別れ、再びバスへ乗車。山奥に入ると、広大な絶景の茶畑が見えてきました。「ムナールの茶畑だよ」と乗客が言います。バスを降りて、茶畑を歩いていると茶摘みをしている女性と出会い、しかも紅茶をごちそうしてくれました。

ムナールに宿泊した翌日、今度は東海岸にあるヒンズー教の聖地ダヌシュコディに向かいます。直通バスはなく、何度もバスを乗り継いでいきます。
途中、マドゥライという町で下車。さらに先に進むためには、降りたバスターミナルでなく別の場所にあるバスターミナルまで歩いていかなければなりません。マドゥライの町を歩いていると、奇妙な掛け声を出す団体に遭遇。聞けば今日からダサラーというインドの三大祭りだそうです。鬼気迫る踊りをする巫女や、針を頬にさせた苦行者など、インドの祭りに圧倒させられました。

そして、最後はダヌシュコディ。バスは砂浜を走り、到着すると最果ての美しい海が広がっていました。観光客が多いなか、儀式を行っている家族と出会います。この儀式は、先祖の魂を花に込め、それを海に流し、魂を浄化するというものでした。しかも、一生に一度しか行わい神聖な儀式だったのです。厳かな中、儀式は滞りなく行われました。最果ての聖地ダヌシュコディには、先祖を敬うインドの人々の心がありました。