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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2013年6月4日 O.A.

#111 ミュンヘン発古城街道

ドイツ

地図

ミュンヘン

旅の始まりは、ドイツ南部最大の都市ミュンヘン。街の広場の一角に、市が立っていました。店先を彩る摘み立ての野菜や果物がじつに鮮やかです。野菜売り場の陽気な女性と仲良くなり、彼女におすすめの観光地を尋ねると、ニュルンベルクという古都を推薦してくれました。その町には、たいそう美しいお城があるらしい。そこで早速バスに乗り込みました。

ニュルンベルク

ミュンヘンから北へ、およそ200キロ。ニュルンベルクに到着しました。バスの中で偶然知り合った地元の女性の案内でお城へ向かいます。姿を現したのは、まるで絵本に出てくるような、カイザーブルクという古城。城内には「騎士の間」と呼ばれる中世の歴史が刻まれた大広間がありました。案内役の女性との別れ際、彼女がドイツ観光街道の大人気ルート「古城街道」を薦めてくれました。その街道には、個性豊かなお城が連なっているのだそうです。 その数、なんと70以上。国境を越えてチェコのプラハまで続いています。 今回の旅は、バスで古城街道を辿り、城めぐりを楽しむことに決めました。

ネッカーズルム

ニュルンベルクからおよそ2時間、古城街道の町ネッカーズルムで下車。グッテンベルク城を訪ねます。城内に一歩足を踏み入れると、そこは中世にタイムスリップしたかのような空間。すると、城の片隅で、鷹を訓練する人々に遭遇しました。この城では、代々城主である貴族が鷹を飼い、鷹匠に世話をさせているのだそうです。この日は、城主である16代目の男爵にも謁見できました。本物のお城で今もその一族が暮らす貴重な姿を垣間見ることができました。

ハイデルベルク

古城街道で最も大きな城があるハイデルベルクに到着。学生街でもある、この町の学生酒場で出会った大学生と一緒に城見学に繰り出します。町の象徴、ハイデルベルク城には、戦争や天災による爪痕が残されていました。幾つもの時代の記憶が刻まれた城の佇まいに圧倒されました。

マンハイム

古城街道の終点、マンハイム。そこには、今まで見てきた城とは違って、新しくて、ゴージャスな宮殿がありました。宮殿の中に入ると、そこには華やかなドレスに身を包んだガイド役の女性が迎えてくれました。聞けば、18世紀からタイムスリップしてやって来たのだとか…。不思議なガイドさんの案内で、豪奢な宮殿の内部を見学。かつて舞踏会が開かれていたという広間では、地元の人々がダンスを披露してくれました。

生真面目だと言われるドイツの人々。けれど今回はちょっと変わったユニークな人たちと出会えた旅になりました。ドイツには、数えきれないほどの城があり、その一つ一つに、様々な物語と地元の人たちの想いが刻まれていました。