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シリーズ当初、新進気鋭の監督たちによる演出ということに注目が集まった「ケータイ刑事」。もうひとつ、特筆すべきなのがシリーズを通して行われた実験的な手法である。全編ワンシーンワンカット、公開収録、ミュージカル、そして時代劇。決して現在の立ち位置に安ずることなく、積極的に新たな表現方法に取り組んできたことが、このドラマをより魅力的なソフトに成しえたのだ。今回の映画化に関してもそのチャレンジャースピリッツは健在。よりコミカルに、よりスピーディーに、そしてよりダイナミックに、物語を一層盛り上げている。
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「ヒロインを選ぶのに妥協はしたくない」とは、シリーズを立ち上げた丹羽プロデューサーの言葉。その思いはドラマを“登竜門”的存在へと押し上げた。第2作「銭形舞」で初主演を果たした堀北真希は放送終了後、すぐにドラマ「人間の証明」のレギュラーに。2005年は映画『HINOKIO』『逆境ナイン』『ALWAYS 三丁目の夕日』、ドラマ「電車男」と、引っ張りだこの活躍。シリーズ最長の第3作「銭形泪」を演じた黒川芽
以は、この作品を機に演技の幅を広げた。コミカルな芝居はもちろん、ホラー映画『怪談新耳袋・劇場版「幽霊マンション」』に主演するなど、女優としての成長がうかがえる。そして第4作「銭形零」で本格的女優デビューを果たした夏帆も、早くもブレイクの兆しが。「エンジン」「女王の教室」と2本のドラマにレギュラー出演。映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』も公開待機中とあり、現在最も飛躍が期待される女優のひとりだ。そんな彼女たちの成長を確認できる、これも『ケータイ刑事THE MOVIE』の見どころである。
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主題歌「ひこうきぐも」を歌うのは「銭形泪」をきっかけに歌手デビューを果たした経緯を持つ黒川芽以。実は堀北真希の写真集のタイトルと同じ名前を持つこの曲には、これで「ケータイ刑事」シリーズを“卒業”となる2人の気持ちが込められている。歌詞に散りばめられた惜別の思いが、映画に「泪」の色合いを加えていることは間違いない。シンガーとしてのブレイクも期待される黒川の非凡な歌声を、この機会にぜひ味わってほしい。
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とにかく“初物”が好きな「ケータイ刑事」、この映画版でも初めての試みを行った。まず、零役の夏帆はヘアースタイルを一新。“初めての表情”をいくつも見せ
てくれる。次に舞役の堀北真希は世界各国のダンスに初挑戦。エキストラも動員した大がかりな舞の数々は、ストーリーを離れた楽しみを作るのにひと役買っている。そして泪役の黒川芽以は五代と高村、ダブルパートナー
で本編中の事件に挑む。果たしてどちらを立てるのか、それともどちらも立てないのか、予測不能の事態が巻き起こる。さらにもうひとつ付け加えるなら、堀北真希と夏帆は初めての夏服バージョン! 3者3様、銭形姉妹
の“初めての姿”にも目を奪われることだろう。
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