毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
ムルマンスクは、ロシアで最も大きな北極圏の町です。この町では真冬の1か月間「極夜」と呼ばれる季節が続きます…。そこには、どんな絶景が待っているのでしょうか。
旅は、サンクトペテルブルクから始まります。帝政時代、ピョートル大帝が築いた都です。馬車に乗って町をまわってみると、今でも、石造りの重厚な街並みが続いています。この町で最も有名なのは、エルミタージュ美術館です。ここはかつて王家の冬の宮殿でした。足を踏み入れるとまず広がる豪華な階段、威厳溢れる王座、かわいらしい寝室など…かつてのロマノフ王家の人々の息づかいが聞こえてくるようです。そして、日が沈んで夜になると…この建物は、美しくライトアップされます。加えて、町全体も、冬の曇り空を吹き飛ばすかのように、まばゆく光り輝きます。
ここから、寝台列車に乗って、北極圏に向かいます。
寝台列車の途中で下車して、ちょっとひと休み。ペトロザヴォーツクの町です。
この町の背後には、淡水湖としてはヨーロッパで2番目に大きい湖オネガ湖が広がります。子どもたちとそり遊びをしたりしながら、湖にたどり着くと、北風で湖面は波立ち、柵という柵に厚い氷がはりついていました。そこから町の市場に行くと、湖で獲れた魚がたくさん並んでいます。特に人気の魚は、カマスの一種「シューカ」。大きなものは、20キロを超えるそうです。購入したシュ—カを近くのレストランに持ち込み、焼き物やスープなど、シューカづくしの料理をごちそうになりました。
ここから再び、寝台列車に乗って北に旅をします。
寝台列車は北極圏に入り、終着駅は、ムルマンスクです。
ムルマンスクについたのは正午。しかし、町は、夜のように真っ暗です。真冬の1カ月間、まったく太陽が上がらない「極夜」の日々が続きます。町を歩いていると、日本語教室で日本語を学ぶ少女たちに出会いました。暗闇の町でも、彼女たちは明るく学び、将来の夢を語っていました。その一人の少女サーシャさんの家に招待され、魚を使った家庭料理をごちそうになりました。次に、この町の港に足を伸ばしてみました。この港内には、地元の人の足として、小さな渡し船が出ています。その船から見ると、消えることない港の様々な作業の明りが、美しく光り輝いていました。さらに、町が見渡せる高台に向かいました。そこに立つと、湾に広がるムルマンスクの街明かりが一面に広がっていました。北極圏の冬の澄んだ空気の中、この町は、真昼のように輝いていました。