毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅のはじまりは首都ストックホルムから。まずは旧市街を散策します。カラフルな石造りの建物が並ぶ旧市街では、まるで中世に迷いこんだような気分になります。町の中心にある市庁舎の展望台に上ってみると、眼下には水に囲まれた美しい街並みが広がっていました。ストックホルムは、バルト海とメーラレン湖に浮かぶ、およそ2万4千もの小さな島からできているのだそうです。そこで町の中心からさらに足を伸ばし、島へ渡ってみることにしました。船でおよそ30分、フェーデルホルムという緑がいっぱいの島に到着しました。島で出会ったのは、木工アーティストのピエールさん。独創的なデザインのインテリアや雑貨など、木製のモノならなんでも作ってしまう凄腕の持ち主です。ピエールさんの案内で、彼が島で一番好きな場所へ向かいます。緑が茂る小道を抜けると、そこは海辺の大きな岩場でした。岩場には、やさしい日差しが辺りを包んでいました。「太陽は神様みたいなものさ」とピエールさん。冬、太陽がほとんど出ないスウェーデンでは、夏のうちに日光浴をして太陽をたっぷりと浴びるのだそうです。太陽を大切するスウェーデン人の暮らしを垣間みました。
ストックホルムから飛行機でおよそ1時間、内陸のエステルスンドという街へ到着しました。この街には、夏の間だけ走る観光列車「インランスバーナン」の始発駅があります。旅の目的は、この観光列車に乗ることでした。列車は途中、食事休憩や名所に立寄りながら、のんびりと進みます。目指すは、およそ700キロ先の北の町、イェリヴァーレ。車窓を彩るのは、森と湖が広がるスウェーデンの原野です。突然、列車が駅のないところへ停車しました。乗客の歩く方へ着いていくと、なんと「北極圏」の看板が…。北極圏に入った喜びを乗客みんなで分かち合いながら、看板の前で記念撮影をしました。日が暮れるころ、列車は最後の絶景ポイントへ辿り着きました。乗客たちが見つめる先には、大きな湖を赤く染める夕日がありました。夏の終わりに太陽が精一杯の輝きを見せてくれたような壮大な風景でした。
旅の最後に、ノルウェーとの国境近くにある、アビスコ国立公園にやってきました。ここでは観光ガイドのティムさんのすすめで「王様の散歩道」と呼ばれる世界屈指のトレッキングコースを歩くことになりました。「王様の散歩道」は、スウェーデンの山脈を3週間ほどかけて歩く、およそ450キロのコース。トレッキングの聖地なんだそうです。今回は、コースの始めの部分を1日体験します。ベリーやキノコ摘みをしながら、大自然の散歩道を満喫しました。さらに、ティムさんおすすめの絶景スポットへ。標高1169メートルのヌオーリヤ山の展望台へ向かいます。しかし頂上は、霧に包まれ、まったく何も見えません。しばらくすると、眼下に大きな湖が現れ、神秘的な光景が広がりました。ここは、真冬なると大空一面にオーロラが現れるんだとか。白夜から、太陽が昇らない冬へ。移ろう季節の狭間で、淡い光が、極北の原野をそっと包んでいました。