毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回はカナダ、アルバータ州の旅。ロッキー山脈の玄関口としても知られるカルガリーが旅の出発地点。1988年の冬季オリンピックや石油産業で急成長を遂げたこの街は200m近いビルが所狭しと立ち並ぶ大都会。でも街を歩いているとよく出会うのがカウボーイの姿をした人やオブジェ。警察官の帽子までカウボーイハットです。なんでもカルガリーはカウタウンと呼ばれるほど、昔は街をカウボーイたちが闊歩していたそうです。今でも郊外には多くのカウボーイが牛や馬と暮らし、大草原を駆け巡っているそうです。車を走らせること1時間。今回訪れたのは乗馬体験ができるという牧場。広大な敷地にはフェンスがなく、馬たちは自由に歩き回り、のんびりと草を食んでいました。なんだかカルガリーとは時間の流れが一気に変わったような気がします。早速そのうちの一頭、ウィスパーという馬に乗って散歩をします。この牧場の主人のマックさんが連れて行ってくれたのは、ロッキー山脈が見渡せる草原。風がそよぎ草木が揺れる。雲がくっついてはまた離れる。マックさんは言いました。「どんなに世の中が発展しようとも、世界には変わってはいけないものがある。それがこの景色だよ」当たり前のような風景こそ、私たちが一番大切にしなければいけない、かけがえのないもの。そんな絶景が、このアルバータには多く残されているそうです。
アルバータ州を南に縦断すること3時間。あたりの景色が変わってきました。一面の小麦畑から、でこぼことした奇岩の世界へ。ここドラムヘラーは、何千年も前に氷河によって削られた地。そのまたさらに大昔には恐竜が暮らしていたそうです。およそ6500万年前に絶滅したと言われる恐竜の化石発掘体験ができるとのことで、世界遺産にも指定されている州立恐竜公園へ。まるで迷路のような奇岩の大地を歩いていると、ガイドさんが言います。「これは恐竜の足の骨で、あれはあばらの骨です」なんと探すまでもなく、辺りは化石で埋め尽くされていました。一見ただの石のように見えて、落ちているのは貴重な歴史の手がかりばかり。ここは地球のルーツを探る大切な場所でした。
最後に訪れたのは、アルバータ州の最南端、アメリカにまたがるウォータートン国立公園。ここは1つの公園を2つの国が管理している、世界でも珍しい場所。公園の中には小さな街とキャンプ場があり、アメリカからの観光客も多く訪れます。ウォータートンの魅力は迫力あるロッキーの山並みと大きな湖。その絶景を見渡せる場所があるというので早速行くことに。街のすぐそばにある登山口からベアーズ・ハンプと呼ばれる丘の頂上を目指します。登ること40分、かなり急な坂道で足はパンパン、のどはカラカラ。想像以上に疲れましたが、その景色を見た瞬間、何もかもが吹き飛びました。岩肌をむき出しにした荒々しいロッキーの山がひとたび湖に映ると、青く輝く水面が山を優しい表情に変えてしまいます。思わず私の顔もほころんでしまいます。これこそが牧場でマックさんが言っていた、「変わってはいけない景色」、ずっと眺めていたい絶景です。