「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#67 アンダルシア南の果てへ(スペイン) 2011/8/12 O.A.

アルハンブラ宮殿

今回訪れたのは、スペイン南部のアンダルシア地方。スペインと言えば『情熱の国』。フラメンコや闘牛など、国を代表する文化は、なんとアンダルシアが発祥だそうです。またアンダルシアは8世紀から800年もの間イスラム教徒の支配下にあったため、今も独特な文化が息づいています。今回はそんなアラブの香りのする情熱のアンダルシアを旅します。
旅の始まりはグラナダ。グラナダの大きな特徴は街の作りから見て取れます。メインストリートから小道を入って行くと、すぐに急な坂や階段に遭遇。登って行くとなんだか風景が変わってきました。家々の壁は全て真っ白、そして何本にも分かれた道が方向感覚を失わせます。なんとか見晴らしの良い所までやってくると目の前に飛び込んできたのは、大きなお城のような建物。これがアルハンブラ宮殿です。グラナダはイスラム王朝最後の砦となった街。このアルハンブラ宮殿がその象徴として今も街を見下ろしています。このくねくねとした白い街も、かつては敵を迷わせるために作られたとか。そんなイスラムの時代に思いを馳せているとなんだか軽快な歌声が聞こえてきました。一軒のお店を訪ねるとその歌の正体はフラメンコでした。情熱的でどこか哀しい歌とギターの音色、そして激しいステップで踊るダンサー。華やかさだけではない、彼らの内面から溢れる情熱と哀愁がひしひしと伝わってきました。

ロンダの闘牛場

次に目指したアンダルシアの情熱は、闘牛。グラナダから南西へ2時間半の所にあるロンダにやってきました。この街は近代闘牛発祥の地として知られ、スペインでも最古の闘牛場の1つがあります。そこで出会ったのが、まだあどけなさが残る19歳の新米闘牛士、ルイス君。彼は人生のすべてを闘牛に捧げ日々練習を重ねています。彼の夢は、一人前の闘牛士になり、由緒あるロンダの闘牛場でパフォーマンスをすることだそうです。そんなルイス君の試合が郊外で行われるとのことで行ってみました。300kg以上はあろうかという牛と対峙するルイス君。その表情からはあどけなさが消え、命懸けの闘いをする、男の顔になっていました。そして見事牛を仕留め、スタンディングオーベイションに包まれるルイス君。今度会う時は、ロンダの闘牛場でその勇姿を見たいと思いました。

ジブラルタル

最後に訪れたのはイベリア半島最南端の街、ジブラルタル。でも街に入ろうとすると最初に体験するのが入国審査。実は、ここはスペインではなくイギリス領だそうです。飛び交う言葉は英語になり、街を見渡すとダブルデッカーの真っ赤なバスや英国風のパブがイギリスを感じさせます。でもこの街最大の見所はジブラルタル海峡に突き出た大きな岩山、その名も『ザ・ロック』。ロープウェイで上に登ると、その景色に圧倒されます。右を見れば地中海、左を見れば大西洋。二つの海をつなぐジブラルタル海峡のその向こうには、うっすらと山のような陸地が見えます。なんとそれは、アフリカ大陸だそうです。かつてアンダルシアを支配したイスラム教徒の故郷が彼方に見えた時、ここで起きた壮大な歴史のドラマに心が震えました。