毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
北インド、ラジャスタン州。広大な砂漠が広がり、日中は40度を超える猛暑。しかし空気が乾燥しているため日影は涼しく、朝晩は寒いくらい。今回はこの風が爽やかなラジャスタンの不思議な、三つの、街を巡ります。
その旅のスタートは首都デリーから飛行機で1時間、ジョードプルという町。インド最大の砂漠、タール砂漠への玄関口の町です。「ブルーシティ」と呼ばれる美しい街を見るために、真っ先に訪れたのが130mの垂直に切り立つ崖の上にそびえ立つ古城。ここから旧市街を見下ろすと・・・、文字通り「青い街」が広がる絶景にびっくり。何百軒の家々が鮮やかなブルーに染められ、街全体が輝いています。一体、なぜこんなに青いのか。ブルーシティの中を散歩中、お邪魔した一軒のお家のご主人に訊ねると、ヒンズー教の神、シヴァ神の体の色に合わせほとんどの家で壁を青く塗っているのだとか。信心深いインドならではの理由に納得。
黄金の町・ジャイサルメール。タール砂漠の真ん中に忽然と現れるこの街は12世紀に造られ、シルクロードの中継点として栄えた古い街。昔からほとんどの家は、ここの山からとれる黄色い砂岩で建てられており、太陽に照らされると、黄金に街全体が輝きます。ジャイサルメールの「宝」とされている黄金の砂岩が生まれた砂漠に行ってみました。するとどこからともなく音楽が聞こえてきます。砂漠の民、ジプシーです。少女たちは色鮮やかな衣装を見にまとい、演奏にあわせてくるくると舞います。まるで蜃気楼を見ているようです。そして彼らのステージである黄金の砂漠は、夕日を浴びるとされにキラキラと輝きます。太古から変わらぬ黄金の光に包まれた、流浪の楽士たち。その情景は、本当に、幻想的でした。
そして、最後は「ホワイトシティ」ウダイプルへ。ここはインドのベニスと呼ばれるほど美しい、湖に囲まれた街。良質の大理石が掘り出される街としても有名で、数々の宮殿や家々が、白く輝く大理石で建てられています。なかでも最も有名なのが18世紀にマハラジャによって湖の中に建てられた、巨大な宮殿、レイクパレス。白亜の宮殿が、青い湖面に映えています。実は、今回この街を訪れたのは、メイワール祭りと呼ばれる、女性だけのお祭りを見たかったから。鮮やかな民族衣装をまとった何百人もの女性たちが、湖で体を清め、ひたすら祈り、神に見立てた人形と一緒に、踊ります。彼女たちは、自分の夫を想い、夫の健康と幸福を祈り続けるのです。愛する人のため、神に何度も何度も、頭を下げます。それは、悲しくも、美しい、絶景でした。