「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#56 神々の島 バリ(インドネシア) 2011/5/27 O.A.

一面のライステラス

今回やって来たのは、インドネシアのバリ島。島の玄関口、デンパサールの街を歩くと、至るところで大きな鬼の人形を見つけました。街の人に聞いてみると、旧正月の前夜祭に出るおみこしなんだとか。訪れたのは、バリの旧正月を1週間後に控えた時期。バリ特有の信仰バリ・ヒンドゥー教に基づく、お祭りや儀式に出会えるチャンスのようです。
バリを象徴する絶景といえば、海を思い浮かべがちですが、実は山の方にも絶景があるんです。山間部のタバナン地方は、島有数の稲作地帯。斜面を利用した棚田「ライステラス」が広がっています。中でも、特にきれいなライステラスが見られるというブルランという小さな村に行ってみました。村に足を踏み入れると、まだ若い稲の緑が、一面の大地を覆っていました。斜面にあるライステラスでは、米作りは機械を使わず手作業がほとんど。しかも収穫は年に2回。そんな一年中、忙しい農家の人たちを癒すのが、田んぼの真ん中に沸き立つ小さな温泉。ライステラスを臨む露天風呂では、ここがリゾートアイランドとは思えないほど、のんびりとした時間が流れていました。

タナロット寺院のサンセット

バリで旧正月を迎えようとするこの時期、必ず行われる行事の一つがムラスティというもの。村に伝わるご神体を海まで運んで、お清めするというバリ・ヒンドゥー教の儀式だそうです。
そこで、島の各地からご神体を運ぶ大行列が集まってくるというタナロット寺院に行ってみることにしました。南西部にあるタナロット寺院は、インド洋の荒波に洗われる岩山の上に立つ、バリ有数の絶景ポイントでもあります。やがて、ムラスティの行列が楽器を打ち鳴らしながら、次々とやって来ました。行列に着いていってみると、岩山にある小さな洞窟にたどり着きました。人々が目指していたのは、ここに湧き出ている聖なる泉。新しい年を迎えるため、人々はこの聖水をふりかけて、お清めの儀式をしていました。
そして、ムラスティの行列が去った後、一転して静けさに包まれたタナロット寺院で見られる絶景は、インド洋に沈みゆくサンセット。岩礁に立つ寺院の背後で、水平線がゆっくりとオレンジ色に染まっていきました。

「オゴオゴ」街に鬼があふれるお祭り

オゴオゴは、旧正月の前夜に一年の厄を落とすお祭り。バリ・ヒンドゥーの人々にとっては最大のイベントで、恐ろしい形相をした鬼のおみこしが街中を練り歩きます。この日のために、それぞれ地域の若者は、競い合って躍動感溢れるポーズを決めた鬼を作り上げてくるそうです。しかし、その恐ろしい鬼をかつぐ人々の表情は、なぜか楽しそう。オゴオゴでは、人々が鬼と一緒に、笑い、踊り、大騒ぎすることで、悪いものを追い払うという、不思議なお祭りなんだそうです。  夜の9時過ぎ。あと数時間で日付が変わろうとする頃、雨が降ってきました。それでもオゴオゴの喧噪は増すばかり…。神々の島の新しい一年が始まろうとしていました。