「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#53 天を切り裂く龍の舞(マレーシア) 2011/5/6 O.A.

マラッカの夕焼けに上がる凧

今回の舞台はマレーシア。首都クアラルンプールがあるマレー半島は、古くから貿易船が行き交う海の交差点です。街を歩くと、マレー系、中国系、インド系など様々な民族の顔が行き交っています。それぞれに独自の食文化やファッションがあり、エキゾチックな雰囲気が漂っていました。
そして、マレー半島を南下してマラッカへ。世界遺産にも指定されている古い街並を、自転車タクシーのトライショーで散策しました。そこで目を引くのが、カラフルな骨董の食器や、長い長い奥行きの家屋など…。これらはババ・ニョニャと呼ばれる中国系移民と地元マレー人の混血の子孫たちが作り上げた独自の文化だそうです。ババ・ニョニャは、多民族が暮らすマラッカを象徴する存在のように思えました。
マラッカ海峡に陽が沈む頃、ビーチの上空にはたくさんの凧が揚がり始めました。400年の伝統を持つマレー凧は、いつの時代も変わらず、海峡からの風を受けて夕焼け空を舞っていました。

サラワク川の夕景

マレーシアのもう一つの顔に出会うために、マレー半島からボルネオ島へ。最初に訪れたクチンでは、街のあちこちでネコのモニュメントを目にします。「クチン」とは、マレー語でネコの意味。ネコは街の象徴として、人々から大切にされているようでした。
この街で、マレーシアの民族の多様性を感じたのは食文化でした。中国系に人気のライスヌードル「サラワク・ラクサ」、マレー系に人気のカラフルなケーキ「ケ・ラピス」。マレーシアの旅は、おいしいものに出会う旅でもありました。
街の中心部を流れるサラワク川の向こうに陽が沈むとき、街灯りと夕陽の光が水面に溶け合い、一瞬の絶景を見せてくれました。

 

ドラゴンフライ

今回の旅のハイライトは、グヌン・ムル国立公園。広大なジャングルの中を歩いて歩いて、ディア・ケイブという巨大な洞窟にたどり着きました。この洞窟に生息しているのは、数百万ものコウモリ。夕方、コウモリたちはエサとなる昆虫を捕まえるため、洞窟から一斉に飛び立ちます。その大群は一つの黒い固まりとなり、時に旋回し、時に蛇行し、空飛ぶ龍の姿に見えることから「ドラゴンフライ」とも呼ばれています。
あいにくの雨の中、今日はダメかなとあきらめかけたとき、巨大な龍が、空を切り裂くように現れました。その後も次々と現れる龍の舞に、しばらく見とれてしまいました。