毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回の旅はメキシコ・オアハカ。ここで暮す人々のほとんどが先住民族で、昔のメキシコにタイムスリップしたような街です。建物は目眩がするほどにカラフルに彩られ、街全体が世界遺産にもなっているほど美しいんです。そして、そんなカラフルな街がお似合いの、陽気なメキシコ人。市場で出会った底抜けに明るいおばさん達が、絶景を教えてくれました。それは、太陽のように黄色く輝くマリーゴールドが咲き乱れる、花畑。なんでもそのマリーゴールドは、これからあるお祭りに欠かせないものなんだとか…。
その祭りとは…この街で毎年行われる、世にも奇妙な「死者の祭り」。死者 と聞くとちょっとコワい感じもしますが、日本でいうお盆のようなもの。そしてメキシコを代表する陽気な祭りでもあるんです。オアハカの街も三日間、死者を迎えるためのパレードや、イベントが盛大に行われ、大騒ぎ。特にこの街には、美しい墓地がたくさんあり、家族でお墓参りをする人々で沸き返ります。先祖が眠る墓は、色とりどりの花で埋め尽くされ、飲めや歌えの大宴会です。
そして…。無数のろうそくの明かりがそれぞれの墓を照らし幻想的な夜を演出しています。高台から街を眺めていると、本当に死者が降りてきたようです…。
お墓の前で、先祖とともに歌い踊り、語り合う。あくまで楽しく、笑顔で死者を弔うその美しい儀式に、感動せずにはいられません。
死があるからこそ、命が輝く。今を生きていることへの感謝の気持ち。そして、この特別な日に地上に降りてくれた、死者とともに感じる歓びがこみ上げて来るのです。
昔から変わらぬこの心の風景こそ、何よりの絶景でした。