毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回の旅の舞台はイタリア。地中海の真ん中で輝く太陽の島、シチリア島を巡ります。1日目、旅の始まりは美食の古都・カターニア。シチリア最大規模を誇る魚市場のすぐ近くで、行列が出来ているお店を発見。聞くと地元に愛される絶品グルメなんだとか。カターニアで愛されるフィッシュフライ、“カルトッチョ”に舌鼓をうちました。その後、電車で向かったのは“シチリア一美しい町”と評判高いシラクーサ。地中海の風が吹き抜ける世界遺産の町です。古代ギリシャ人が作った植民都市で、その歴史は3000年といわれます。この日、見どころが多いという旧市街を案内してくれたのが、“ミス・シラクーサ”に選ばれたこともある美女・シルビアさん。シルビアさんによると、町に残る古代ギリシャ神殿の跡地は、古来より様々な国に支配されてきたこの町の名残なんだそう。地中海の真ん中にあるシラクーサは、周辺国にとって魅力的な都市だったといいます。シルビアさんおススメの絶景カフェでひと休みした後、彼女が恋人を伴って連れていってくれたのが、町を一望する絶景ポイント。周囲を分厚い壁で囲まれたまるで石の軍艦のようなこの町が、真っ青な海に今にも乗り出していきそうな絶景に出会いました。
2日目も、シラクーサにいます。モッツァレラチーズや野菜など、シチリア産の食材で作られた名物サンドウィッチ“パニーノ”で腹ごしらえをした後、町で見つけたのが小さな工房。そこはシチリアの人形劇“プーピ”の人形を作る工房なんだとか。“プーピ”はシチリアで19世紀初頭に生まれた伝統ある人形劇で、世界無形文化遺産にもなっているそうです。その後、町のシンボルである大聖堂がそびえる旧市街の中心広場へ。歩いていると、1人の男性に出会います。なんでも、すぐ近くに家族と暮らしており、自宅から大聖堂がきれいに見えるそうで案内してもらうことに。案内されたその場所は、バルコニーから大聖堂を一望する素敵なお部屋。最後はシラクーサ産のぶどう酒で乾杯します。夜空に浮かび上がる、ライトアップされた大聖堂を前に、贅沢な時間を過ごしました。
最終日は、シラクーサから電車で南西に1時間、内陸の小さな町・ノートへ。シチリア島南東部にある7つの町とともに世界遺産になっています。町を彩る石造りの建築群は、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで流行した建築様式、バロック建築で建てられたものだそう。なんでも、ノートは1693年に起きたイタリア最大級の地震のあと、バロック建築によってゼロから再建された町なのだといいます。再建時に建物に使われた独特の色をした石が、夕暮れ時には黄金色に染まるそう。まずは地元の地質学者・ヴィンチェンツォさんに、現在の町からおよそ10キロ離れたかつてのノートの町に案内してもらいました。その場所は、人口の25%が亡くなった地震の悲劇を忘れないために遺跡公園となっていました。町の移転に際しては、この土地に残りたいと訴えた人々もいたといいます。ヴィンチェンツォさん、見せたい風景があるといい、夕暮れ時に再び現在のノートの町へ。高台に着いて目の前に現れたのは、夕焼けで黄金色に染まるバロック建築の町並でした。300年前の大地震の後も、この町が輝き続けているのは、もうこの場にはいない人々の強い思いが、今もそこにあるから。そんな気がしました。