毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
今回の舞台はリトアニア。ロシアの西、バルト海に面した小さな国です。年に一度の大切なお祭り、夏至祭を見に行きます。旅の始まりは、首都ヴィリニュス。中世の面影を残す旧市街を歩けば、入り組んだ路地に素敵なお店がたくさん。伝統工芸の工房やリネンショップを訪ね、丁寧なものづくりの伝統が受け継がれていることを知りました。街歩きの後は、気球に乗りこみ空の散歩。森に囲まれた美しい街の姿を楽しみました。
2日目は、ヴィリニュスから北へ200kmほどの聖地“十字架の丘”へ。大小様々な十字架が5万本以上も立ち並ぶ光景に圧倒されます。始まりは、1850年。支配されていたロシアに蜂起し、処刑された人達を弔うための十字架が建てられました。1961年にはソ連政府によって破壊されますが、それでも十字架を置きにくる人々は絶えなかったそうです。いまでは国や宗教も問わず、すべての人の願いを受け入れる場所に。ドイツの人が虐殺されたユダヤの人々への謝罪を込めて建てた十字架もありました。“ここは、怒りを忘れる場所”。地元の人の言葉が胸に残りました。
最終日は、夏至祭。一番盛大な祭りが開かれるという遺跡・ケルナヴェに向かいます。一年で一番太陽が長く輝く「夏至の日」を迎えるため、古代から行われてきたお祭り。集まった人たちは、野の花を摘んで花冠をつくったり、草原に寝転んだり。のんびりと夜を待ちます。そして夜8時。民族衣装に身を包んだ人々が古いリトアニア語の民謡を歌い、沈んでいく太陽を見送ります。秋の豊穣と、幸せを願う夜。“明日から新しい一年が始まるの。夏に迎える新年よ”。大学生の女の子が教えてくれました。陽が沈むと、大きな焚き火に火が灯されます。そして迎える、夏至の朝。ばら色に染められた空を見上げる人たち。自然と寄り添い、自分たちの文化を大切に生きてきたリトアニアの、素顔を見せてもらったようでした。