毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅の始まりはルーマニアの首都ブカレストの中心部から。朝の通勤ラッシュの人々の波の隙間から巨大な建築物が見えました。それは「国民の館」。ルーマニアが社会主義だった時代、故チャウシェスク大統領の宮殿として贅を尽くして建てられたそう。国民の冨を奪って建設されたことから負の遺産なんて呼ばれているみたいです。そんなルーマニアの歴史に思いを馳せながら、石畳の古き良き東欧の町並みが残るエリア(旧市街)を散策していると、なにやら人だかりを発見!皆の視線の先には、一体の石造りの肖像が・・・。実は、この人物はドラキュラ公(ヴラド・ツェペシュ)。吸血鬼ドラキュラのモデルになった実在の人物。ルーマニアにはこのドラキュラ公にまつわる遺跡がたくさんあって、中でも小説「吸血鬼ドラキュラ」の舞台になったブラン城という古城が国内随一の観光スポットとして人気なんだそうです。観光案内所で聞いてみると、ブラン城は森の中に佇む妖しげな美しさを放つとっても魅力的なお城みたい。特に、月夜のブラン城は絶景なんだそうです。ドラキュラ伝説と月夜に輝くブラン城。今回の旅はこれで決定!
ブカレストから電車とバスを乗り継いでおよそ3時間。ドラキュラグッズが並ぶ土産物通りを抜けると突如現れたのは、岩の上にそびえ立つブラン城。600年の歴史を生きてきた城砦です。確かに、ちょっと怖い感じ。吸血鬼ドラキュラのモデルになったのもうなずけます。ガイドのマテイさんの案内で、お城の中を探検です。マテイさんの話では、敵から身を守るためドラキュラ公もブラン城には実際に何度も訪れたことがあるそうです。ドラキュラ公が隠れる時に使っていたといわれる“秘密の階段”や彼が仲間の裏切りによって投獄されていた“地下牢”へ案内してもらいました。ドラキュラ公がいかに残忍な支配者として恐れられていたかというエピソードを聞きながら見学したもんだから、やっぱり怖かったです。ドラキュラ公の実際の恐ろしい伝説とこのお城の持つ妖しい魅力が合わさって「吸血鬼ドラキュラ」のお話が生まれたのも納得。そして、月夜のブラン城をみたいと思っていたらなんと明日は満月!最高の絶景がみれることを祈って眠りにつきました。
翌日、天気は快晴。ブラン城が空から楽しめるパラグライダーツアーがあると聞いてもちろん挑戦です。森を抜けて、山を抜けて、まるで鳥になった気分!上から見るとブラン城は一際高いところにあって、大自然の中にそびえる高い岩山と同化したみたいに凛とたたずんでいました。お城の丘は、まるで村の玉座のようです。遠い時代にここに君臨した君主たち。彼らに代わって、今も主のように、村を見守っています。そして、いよいよ満月の夜。お城の麓の村の長老の案内で一番お城が美しく見えるというテラスへ・・・。暗闇の中、ライトアップされたブラン城。満月に照らされたお城は妖しい光をまとったドラキュラ城そのものです。夜が更けるにつれて、時間が過去へと巻き戻っていくような気がしました。そう、伝説が生まれた、中世の時代へと…