毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
まず、向かったのはルーマニアのブラン城。なんと、あのドラキュラ伝説を生んだ城と言われているんです。モデルとなったのは15世紀にワラキア公国の王だったヴラド・ツェペシュ、通称ドラキュラ公。オスマン帝国から国を守った英雄なのですが・・・。その反面、敵国には厳しく、残忍なふるまいも多かったそうで、その血塗られた伝説がやがて吸血鬼伝説を生むきっかけのひとつになったのだとか。そんな王が砦としていたのがブラン城です。天然の岩を利用して建てられた孤高の城で、中には当時、公が使ったと言われる秘密の隠し階段があったりと見応えは十分。そんなブラン城が最も輝くのは満月の夜。今にもドラキュラが現れそうなほど妖しく輝くのだそうです。さっそく城を見渡せる丘の上で夜を待つことに。やがて姿を見せたのは真円の満月。その淡い光が、ライトアップされたブラン城を照らし出します。まるで中世の時代へとタイムスリップしたような・・・そんな不思議な気持ちにさせられる特別な絶景でした。
続いて訪れたのは王の庭と呼ばれるフランス・ロワール地方。無数の古城が点在するこの地域の中で最大を誇り、最も豪華絢爛と言われているのがシャンボール城です。建設を命じたのはルネサンス期を代表する国王フランソワ1世。芸術を愛し、あの天才レオナルド・ダ・ヴィンチをフランスに招いたことでも有名な王様です。左右均等のフォルム、そして白亜の美しい壁を持つこの古城は、16世紀に興ったルネサンス建築の最高傑作と呼ばれ、さらに城内にはダ・ヴィンチによって生み出されたすごい仕掛けが残されているんですよ。そして、クライマックスは気球に乗ってシャンボール城の真上を空中散歩。王の庭と呼ばれる広大なロワールの森に、堂々と君臨する白亜の城。さながらそれは、王が自分一人のために造り上げた壮大な舞台のような、完璧な美しさでした。
最後はドイツ一美しいと賞され、世界中から訪れる人が絶えないノイシュヴァンシュタイン城。バイエルンアルプスを背に無数の尖塔がそびえる、白鳥のように真っ白なロマンチックなお城です。その外観が美しいこともさることながら、人々を惹きつけてやまない理由がもう一つ。それはこの城を建てた19世紀のバイエルン国王、ルートヴィヒ2世の生涯です。「メルヘン王」と呼ばれた彼が城の中に築いたのは、まさに夢の世界。憧れだった中世の王を描いた壁画や、趣味のために作り上げた人工的な洞窟など、城の中は奇想天外に満ちていますが、どこか憂いを帯びた優美さを残しています。そしてお城を見る絶景ポイントで欠かせない場所があります。それはお城の真横に架かるマリエン橋。そこから見るノイシュヴァンシュタイン城は、まるで断崖絶壁の岩山で羽を休める一羽の白鳥のよう。やがて、辺りはアルプスから下りてくるうっすらとした霧に包まれます。大自然の中にまさに「幽玄の城」が浮かび上がった瞬間でした。