毎週金曜日よる9時オンエア
あなたに見せたい風景がありました。あなたに聞かせたい、小さな物語とともに…地球は絶景の美術館です。世界にたった1つの絶景をご案内します。(旅人:森高千里)
トップページへ戻るギリシャ、イタリア、フランス、スペイン…憧れの地中海を巡る、ひと夏だけの夢の旅をお送りします。今回はギリシャ&イタリアの2か国を巡る2時間の特別編です。
旅はギリシャの古代都市アテネから始まります。新鮮な地中海の幸が並ぶ市場でリカヴィトスの丘の上に絶景が楽しめるレストランがあると聞き、早速向かうことにしました。丘に登るケーブルカーはなんと夜の2時30分まで動いているとのこと。夜景を楽しむ人が多いと聞き、期待が高まります。レストランではアテネ市内と地中海の眺望を楽しめる特等席のテラスを独り占めして、お薦めのタイのグリルを注文しました。脂はたっぷりのっていて、とろけるような柔らかさです。さて目的の景色はというと…刻一刻と夜の帳が落ちていき、地中海は真っ暗に。代わりに町に明かりが灯り、まるで星屑を撒いたようにきらびやかになりました。その中心でパルテノン神殿は神々しく輝いていました。
翌日は地中海を身近に感じようとポロス、エギナ、イドラの3つ島を巡る人気のエーゲ海クルーズツアーに参加することにしました。各島は首都アテネとは違い素朴な印象ですが、紺碧の海を見渡せる時計台やアフェア神殿、階段だらけの真っ白な家並み、自動車の代わりに人や荷物を運ぶラバたち、迷路のように入り組む路地など、見どころがたくさん。フェリーが出航する時間いっぱいまで駆け足で回りました。移動中のフェリーではビュッフェのランチをツアー客のみんなと堪能し、ギリシャの伝統都的なダンスを習って参加者たちで踊ったりと、普段経験できないような時間を過ごすことができました。アテネに戻ったのは夜8時。充実した1日を過ごすことが出来ました。
ギリシャの最終日は世界一美しい夕日が見られるというサントリーニ島に決めました。島では13世紀に建てられた城でギリシャの伝統楽器を作るヤニスさんに出会い、ツァンブーナというヤギの革袋と竹を使ったバグパイプの演奏を聴かせてもらいました。夕日を見るならばとお薦めされたイアという町に移動すると、展望台にはすでに多くの人が場所取りに集まっていてひしめきあっています。どうにか場所を見つけ、静かなその時を待ちます。やがて町や空、そして紺碧の地中海がオレンジのベールに包まれます。夕日が地中海に沈むそのとき、大きな歓声が沸き上がりました。人の心を虜にする金色の魔法。地中海の旅はまだまだ、始まったばかりです。
地中海を巡る、ひと夏だけの夢の旅。続いてはイタリアです。
旅はグルメな港町ナポリからです。まずはムール貝、エビ、アサリ、イカなど地中海の幸をふんだんに使ったピザで腹ごしらえすると、サンテルモ城からナポリ市内と地中海の眺望を楽しみます。そして青の洞窟のあるカプリ島へ。カプリ島ではレモンが特産品とのことで、まずは名物のレモンチェロというレモンの皮を使った酒を試飲させてもらい、レモンの木の下のレストランでレモンやレモンの葉を使った料理をいただきました。さすが美食の国イタリア。誘惑が多いのですが、そろそろ目的の青の洞窟へ向かいます。船をチャーターしてさらに小舟に乗り換え、細い岩の隙間から洞窟に入ります。真っ暗な洞窟の中、振り向くと、小舟の通ってきた道だけが青々と光り輝いています。地中海の奇跡。まるで夢のような世界でした。
イタリアの地中海の旅、最終目的はアマルフィ海岸の絶景に決めました。ガイドのソッシオさんからのお薦めで、まずはアマルフィ海岸沿いにある秘境、エメラルドの洞窟に立ち寄ることに。エレベータで地下に移動して鍾乳石の洞窟の中で小舟に乗り換え、急きょ探検の始まりです。薄暗い洞窟の奥へ進んでいくと、不思議なことにそこだけ水中から緑色の光の道が注ぎ、まるでエメラルドのように海水をきらきらと輝かせていました。この水中の穴が地中海とつながっているというのです。船頭さんがオールでしぶきをあげると、水滴が宝石のようにきらめきます。ロマンチックな演出に心が躍りました。
1日の締めくくりは夜景が美しいと聞き、アマルフィ海岸の小さな町ポジターノの絶景レストランにしました。地元で水揚げされたタコを使った料理に舌鼓を打ち、その時を待ちます。そして日没、地中海が色を失っていくにつれ、町はどんどん輝きを増していきます。まるで宝石をちりばめたような幻想的な風景でした。
ソッシオさんからアマルフィ海岸を楽しむにはヘリコプターで空から眺めることを薦められました。なんでも、鳥と同じ目線で眺めると一段と美しく、忘れられない経験になるとのことです。翌朝、ポジターノから車で1時間かけてヘリポートへ。空からはまずヴェスヴィオ山の噴火で壊滅したポンペイの遺跡の一帯が上から見ることができました。その規模に当時の火山のすさまじさを感じます。そして紺碧の地中海がまるで絨毯のように眼下に広がり、カプリ島やアマルフィ海岸が姿を現します。ぐねぐねした道を車で回ったアマルフィ海岸。上から見るとさらに海沿いの狭い土地をうまく利用して建物が建っていることがわかります。白壁に赤い屋根の家々がまるでジオラマのように岩壁の崖に貼りついていました。地中海を巡る、ひと夏だけの夢の旅。次週はフランスを巡ります。