毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅の始まりはイタリアの首都、ローマ。街を見渡せるジャニコロの丘で出会った紳士が言うには「ローマを知るには2年かかる」んだとか。奥が深いローマをとりあえず歩いてみると、バチカンやフォロ・ロマーノなど、歴史的な建物が街にあふれていました。永遠の都らしい街の雰囲気に触れたあと、市場ではおじさんたちにトマトの元祖は黄色だと熱弁されたり、ポルチーニの産地トスカーナを強引におすすめされたりと、ローマのパワフルな一面に圧倒。たしかにローマは、一日では見切れないほどの様々な魅力があるんですね。チーズ屋で見つけたトスカーナの唐辛子入りチーズ。オルチャ渓谷で作られたチーズとのことでしたが、写真が切れていてよく見えません。街で見かけた似顔絵屋さんに思い切ってオルチャ渓谷を描いてもらいました。それが思っていたよりも美しい景色!ということで、オルチャ渓谷を目指すことに。
翌朝、ローマから車でオルチャ渓谷へ。あたり一面緑の景色は、絵で想像していたよりも驚くほど美しい絶景でした。実はここ、世界文化遺産に登録されているイタリアでは有名な場所。「トスカーナ」といえばこの景色が浮かぶそうです。この緑の正体、ただの草原かと思いきや実は麦と牧草なんだとか。ここの麦を使って地元の人がパスタやビールを作っていました。途中に訪れた美しい村、サン・クイリコ・ドルチャには、かつて巡礼者が通ったという巡礼路がありました。ここオルチャ渓谷を通ってローマを目指した巡礼者たち。その歴史ある道も、今では世界中の旅人が踏みしめる観光の道になっていました。
宿へ向かう途中、ドライバーのイラリオさんがこの土地に生える細長い木、糸杉の意味と、歴史を教えてくれました。この景観は、かつて不毛の土地だったオルチャ渓谷を農民が耕し始めたのが全てのはじまり。農耕に向かない粘土質な土地に根ざしたのは、麦やオリーブ、糸杉など、根を深く張るものでした。トスカーナの豊かな食、そして美しい風景は、地元の人の試行錯誤によるものだったんですね。そして翌朝、イラリオさんのとっておきの場所へ。そこはかつてのローマ法王が理想郷として造った村、ピエンツァ。その高台からはオルチャ渓谷が一望できます。そして日が昇る時。朝日が当たると、次第に緑色を増していくオルチャ渓谷。独特な起伏に沿って、光と影の陰影が生まれます。それはまさに朝にしか見られない絶景。そしてこれが人の手でつくられたものだということに、感慨深いものがありました。