毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅はフランス南西部の玄関口トゥールーズから始まります。町を歩くと目を引くのは至る所に立ち並ぶレンガ造りの建物です。このレンガ、実はトゥールーズを流れるガロンヌ川からとれた粘度で造られていて他の地域より色が濃く、赤いのが特徴なんだそうです。そのためトゥールーズは「バラ色の町」と呼ばれているんだとか。もちろん、この町では歴史的な建物もレンガ造りです。町のマダムに聞いて訪れたのは12世紀に建てられた「ジャコバン修道院」。ここはレンガの外観が特徴というだけでなく、なんと天井を支える柱がヤシの木状の装飾になっているという、何ともユニークな造り。ガイドさんによると、こうした珍しい装飾は「当時、如何にこの修道院が力を持ち、栄えていたか」を象徴しているんだそうです。そしてこの修道院は12世紀、この地域に多くいたキリスト教異端派を撲滅する拠点として建てられたと言います。美しい内装に影に秘められた意外な歴史。これをヒントに、今回の絶景への旅が始まります。
トゥールーズを後に、翌日からはヨーロッパ最大級と言われる城塞都市「カルカソンヌ」を目指します。カルカソンヌは二重の城壁に囲まれていて、なんと総延長は3kmもあるんだそうです。電車に乗ること40分、スペイン国境近くのカルカソンヌに到着です。駅から城塞都市を目指して歩くこと10分、突然、川の向こうに巨大な城塞都市が現れました。その存在感たるや、まさに圧倒されるほど。さっそく、迷路のような城塞都市の中にあるコンタル城へ。実はこのお城こそ、13世紀にキリスト教異端派と十字軍の戦いが行われた砦。ガイドさんに中世の防衛システムについて教えてもらいながら、歴史に思いを馳せます。そこで知ったのはなんとカルカソンヌの始まりは中世ではなくローマ時代ということ。一枚目の内側の城壁は3千年前、ローマ人が建てたものでその後、中世になりフランス国王が2枚目の外側の城壁を建てたのでした。カルカソンヌの遥かな歴史に思いを馳せた一日でした。
翌日は城塞都市の中を散策しながら、更なる絶景の情報収集です。立ち寄ったお土産屋でカルカソンヌで作られているワインを発見。実はカルカソンヌの麓には一面ブドウ畑が広がっていて、この二つは大昔からここの象徴的な風景なんだそうです。そうと聞いたら早速行ってみなければ…ということで、城塞都市を出て麓に広がるブドウ畑へ。畑ではブドウがたわわに実り、ちょうど収穫が始まったばかりでした。畑で4代に渡り農家を営むアリノさんによると、「カルカソンヌでは斜面と地中海からの風を利用して2千年前からワイン作りが行われていた」んだそう。そして夕方、アリノさんオススメの絶景へ…。そこで待っていたのは広大なブドウ畑の先に佇む巨大な城塞都市。遥か昔、2千年前から変わらないブドウ畑とカルカソンヌという象徴的な風景。日没後、城塞都市がライトアップすると、かつての繁栄の歴史がよみがえるように黄金色に輝きだすのでした。