毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
旅のはじまりは台湾の首都・台北のビジネス街、南京東路から。車が右側を走っていなければ日本のどこかと見紛うような大通りを抜けて路地に入ると、ビジネス街で働く人々の胃袋を支える屋台や食堂が軒を連ねていました。その中で行列のできている店を発見。そこは“豚足”の専門店。店主が「心を込めて3時間煮込む」と言うその豚足は、ご飯を入れた弁当箱にドカッと乗せられ、OLやサラリーマンたちがテイクアウトしていました。住宅街に入ると軒先で大量の黄色い紙を燃やしているところに出くわしました。聞けば、これは天国にいる夫にお金を送る儀式で、金や銀を模した黄色い紙を燃やす事で天国に届くと信じられているとのこと。そして旧正月最後の日には平渓区で行われる“天燈(ランタン)”を夜空に飛ばす祭りに参加して夫の冥福を祈るという。ランタンが夜空に舞う姿はとても美しく、一見の価値があると教えてもらいました。
ランタン祭りが行われるのは翌日の夜ということで、観光案内所で勧められた“九份”により道。九份はかつて金鉱が発見され、ゴールドラッシュと共に町が作られましたが、第二次世界大戦後に金がとれなくなると次第に廃れていきました。そのために再開発を免れ、古い町並みが残ったのだといいます。後に台湾映画の撮影地として使われ、スクリーンに映し出されたレトロでノスタルジックな町並みが話題となり、現在は人気の観光地になっています。ここでは、台湾のお茶をほのかに甘い茶菓子と一緒に味わいながらノスタルジックな雰囲気を楽しみました。
ランタン祭りの行われる平家区の“十分(ジュウフン)”にやってきました。駅を出ると、今乗ってきた列車の線路の上でランタンを上げている人たちがいます。周囲にはランタンを売る店がひしめきあっています。店の人に聞くとランタンはいつ上げてもいいそうで、特に旧正月期間には多いんだとのこと。訪れる人々はランタンを買うと、その側面に願い事を書き込み、そして祈りと共に空に放つのです。夕暮れの時間。祭りの会場には大勢の人々がランタンと共に集まります。祭りでは1000個以上のランタンを8回に分けて飛ばします。ひとつ、またひとつ、願いや祈りを込めたランタンに灯がともっていきます。そして数百個のランタンが一斉に夜空へと放たれました。人々の思いが紡ぎ出す、まさに一夜限りの夢の絶景でした。