「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#296 光の風景画 インレー湖(ミャンマー) 2016/3/4 O.A.

仏教国ヤンゴンでトマトに出会う

旅の始まりは、ミャンマー南部最大の都市、ヤンゴンから。強い日差しの中、日陰を求めて歩いていると、歩道いっぱいに広がった露店街を発見。生地屋にカバン屋…そして晴れているのに傘屋。聞けば、雨傘を日傘代わりに使うのがミャンマー流。勧められるままに傘を購入して散策を続けます。市場を訪れると色鮮やかな野菜がたくさん。目が合った八百屋のおばさんからイチ押しのトマトを一個いただき話しを聞くと、インレー湖が産地とのこと。浮き畑という水に浮く畑で栽培していると教えてもらって、興味津々!風景もキレイでミャンマーに来たなら絶対にいくべき、と強く勧められて行くことにしました。夕方、ライトアップが美しいと聞いた、シュエダゴン・パゴダへ。黄金の屋根が更に輝く美しいお堂を訪れて旅の安全を祈りました。

母なる恵み、インレー湖での生活

ヤンゴンから飛行機に乗って1時間、ミャンマー北部のシャン州にやってきました。ここからタクシーで湖の玄関口となる村、ニャウンシュエを目指します。村からはボートをチャーターしていざ、インレー湖へ。細いボートに乗った漁師や船で湖上の家を行き来する子どもたちなど、湖での生活を垣間見ながら進んでいくと、目前に不思議な光景が広がりました。無数の棒が立った緑色の塊…これこそがヤンゴンで教えてもらった浮き畑でした。近づいてみると、トマトがなっています。作業中の若い夫婦に聞けば、浮き畑は水草で作った土台を竹で湖の底に固定させてあるのだそうです。また、ここのトマトはミャンマー中に出荷される名産品だそうで、浮き畑はインレー湖全体の40%を占めているんだとか。水かさによってトマトの味が決まるそうで、インレー湖は母親のような存在だと言っていたのが印象的でした。

厚い信仰心が生んだ絶景

インレー湖での最終日。まずは朝ならではの風景を見に連れていってもらいました。湖の一角にあったのは、朝日を浴びて咲く蓮の大輪。その横で作業をしている人を発見。なんと、蓮の茎で糸をとって織物にするのだそうです。全て手作業で作られる織物はもともと僧侶に献上するものとして作られた大変に特別なもので、インレー湖でしか作られていない貴重なものでした。インレー湖の絶景について尋ねると、夕暮れの浮き畑が美しいとのこと。そこで夕暮れまで水上寺院とその横で開かれている市場を訪れてみることに。水上寺院では、金箔を貼られて元の姿が分からなくなってしまった5体の仏像のことを聞き、ミャンマーの人々の厚い信仰心について知りました。市場では、インレー湖周辺の村ごとの名物が多く並んでいて目を楽しませてくれました。ここで、インレー湖の夕日を眺めるなら、湖に立つ塔を目指せばいいと教えてもらって早速向かいます。この塔は、水上寺院にあった仏像の1体がその昔沈んでしまった場所だと教えてもらいます。沈んだ仏像は見つからず、人々が諦めて寺院に戻ると他の4体と共に鎮座していた、という不思議な言い伝え……そして、夕日が辺りを金色に染め始めた時分かったのです。浮き畑や漁師の船、インレー湖の全てが詰まった風景がそこにはあるのでした。今回の旅で出会った温かい笑顔を思い出しながら、仏さまは、この場所の美しさを伝えたかったのかな…と。