「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#287 エトナの巨大火口群(イタリア) 2015/12/25 O.A.

カターニア

今回の舞台は世界中の観光客を魅了し続ける、シチリア島。そのシンボルというべきエトナ山の絶景を巡る旅です。エトナ山はヨーロッパ最大の活火山で、世界で最も活発な火山として有名。そして、その美しさから、古くからシチリア島の人々の守り神のような存在でした。旅の始まりはシチリア島、第2の都市カターニア。エトナ山の麓の町。威勢のいい声が飛び交う有名な魚市場に行ってみました。観光客も多く、たくさんの人で賑わっています。市場を抜けた大通りからは、エトナの姿もうっすらと見えています。街の建物は白や黒、灰色を基調にしたものが多く、シックでとても印象的な景観です。実はこの統一された建物の色には理由があり、なんとエトナが噴火したときに流れてきた溶岩や火山灰を利用して造られているんです。ここはエトナの噴火で何度も倒壊し、その度にエトナの力を借りて何度も建て直してきた復興と再生の街なんだとか。カターニアからはエトナの周りを一周できる「エトナ周遊鉄道」も出ていると地元の人に教えてもらい、さっそく乗ることに。エトナを挟んでちょうど反対側にある街、ブロンテへ行ってみることにしました。ブロンテへ行けば、よりエトナが近くで見られるみたい。楽しみです。

ブロンテ

ブロンテの街で降りたものの、建物に囲まれてエトナがどこにあるのか見失っちゃった…。立ち往生していると、偶然ブロンテで民宿を営む親子に出会いました。もう日暮れも近づいているので、今晩1泊させてもらうことに。すると、民宿のお父さんがエトナが見えるオススメの場所まで連れて行ってくれました。シチリアの人って、みんな親切!お父さんのとっておきの場所は、草木の繁る豊かな草原でした。そして正面には、雄大にそびえ立つエトナが…。わぁ、思ったよりもすごく大きい。間近に見えるエトナは、カターニアにいたときとは全く見え方が違います。雪を被った姿がとっても綺麗。エトナの周りに広がるたくさんの畑は、ピスタチオやブドウ畑なんだそうです。「エトナの火山活動のおかげで、豊かな土壌ができ、草木や果物もよく育つんです」。宿での夕食はもちろん、エトナの恵み尽くし。穫れたてのピスタチオのパスタと、火山の恵みがたっぷり凝縮された赤ぶどうのワインを振る舞ってくれました。「私たちはみんなエトナに感謝しているんですよ」と言う民宿の親子。エトナは街を壊すだけではなく、反対に、人々に豊穣をもたらしていたんですね。

エトナ登山

翌朝、民宿まで迎えに来てくれた山岳ガイドのマルコさんと一緒にエトナを登ることに。頂上に向かう途中、衝撃的な光景がありました。13年前の噴火により、溶岩で埋まってしまったホテル。今はもう屋根しか見えません。周囲には溶岩がかたまり、木もなぎ倒されたまま。痛々しい爪痕がたくさん残されていて、どれだけの噴火だったか想像するだけで恐ろしい…。しかし、不思議なことにエトナはどんなに大噴火を起こしても死傷者は出ないそうです。「エトナは優しい巨人なんです」というマルコさん。危険性があるため、一番上までは登ることはできず、ヘリコプターの遊覧飛行で更に上へ行くことにしました。溶岩の大地をどんどん通り越し、山頂を目指します。山頂よりも高くのぼったとき、噴煙を激しく吐き出し、今にも暴れ始めるのではないかと感じさせるほどの巨大なエトナの噴火口と出会いました。底知れぬパワーを感じさせられます…。「地球の偉大さを感じるでしょう?」とパイロットさん。ええ、本当に。激しさとやさしさをあわせもつエトナ。そのいくつもの顔を知った、ダイナミックな旅でした。