毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
王の庭と呼ばれるフランス・ロワール地方。無数の古城が点在するこの地域の中で最大にして、最も豪華絢爛と言われているのがシャンボール城です。左右均等の美しいフォルム、そして白亜の古城は16世紀に興ったフランス・ルネサンス建築の最高傑作と呼ばれ、さらに城内にはルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチによって生み出された驚くべき仕掛けが残されていました。クライマックスは気球に乗って空から眺めるシャンボール城。王の庭と呼ばれる広大なロワールの森に、まるで王のごとく君臨する城の姿…。それはまるで、王が森とお城ごと自分のために造り上げた舞台装置のような、完璧な美しさでした。
続いて訪れたのは、イギリス北部スコットランドにあるダノター城、三方を海に囲まれた断崖絶壁の巨大な岩に建つ廃城です。その歴史は古く、14世紀にスコットランドの貴族の居城として建てられました。しかし、長年、イングランドとの戦いの舞台になるなど多くの戦いを経て、17世紀に興った清教徒革命で廃城となってしまったのです。現在では、崩れ落ちた石造りから当時の繁栄を偲ぶことしか出来ませんが、そんなお城が昔の輝きを取り戻す瞬間があります。それは “朝日が昇る”時。暗がりから一日の始まりへと・・・少しずつ空が表情を変えていき、城の後ろから上がる太陽が城のシルエットを徐々に浮かび上がらせます。その瞬間、城はまるで岩と一体となり巨大な城の姿に変わります。それはまさに、かつての輝きを取り戻したような美しい瞬間でした。
ドイツ一美しいと賞され、世界中から訪れる人が絶えないノイシュヴァンシュタイン城。バイエルンアルプスを背景に無数の尖塔がそびえる、白鳥のように真っ白なロマンチックなお城です。その外観が美しいことはさることながら、人々をひきつけてやまない理由がもう一つあります。それは、この城を建てた19世紀のバイエルン国王ルートヴィヒ2世の生涯です。“メルヘン王”と呼ばれた王が、城の中に築いたのはまさに彼の夢の世界。憧れだった中世の王を描いた壁画や、趣味の為に造り上げた人工的な洞窟など、城の中は奇想天外に満ちていますが、どこか憂いを帯びた優美さも残しています。そしてお城を見る絶景ポイントで欠かせない場所があります。それはお城の真横に掛かるマリエン橋。そこから見るノイシュヴァンシュタイン城は断崖絶壁の岩山で羽根を休める一羽の白鳥のよう。アルプスから下りてくるうっすらとした靄に包まれ、大自然の中に、まさに幽玄の城が浮かび上がりました。
“地中海の真珠”とも称えられるヨーロッパの高級リゾート、モナコ公国。そんなモナコのお城は急峻な岩山に建つオレンジ色の大公宮殿です。国の面積がわずか2k㎡しかないモナコの中で、この岩山は国のどんな場所からでも見ることが出来るという、まさにモナコ国民にとって心の中心にもなっています。そして人々が岩山の宮殿を愛してやまない理由の一つに、常に国民との距離が非常に近いという大公一家の存在があります。とくに20世紀最大のシンデレラストーリーと呼ばれたグレース・ケリー公妃の存在は今も多くの国民にとって誇りとなっているのです。クライマックスはグレース公妃も愛したという大公宮殿の日没。岩山にそびえる宮殿が、夕日を浴びてよりオレンジ色を濃くしていき、そして日没後はライトアップされたモナコ中の光に包まれ、岩山全体が宝石のような美しさに変わるのでした。
フランス南部、スペインとの国境沿いにある世界遺産の城塞都市カルカソンヌ。総延長3kmの二重城壁に囲まれた石造りの堅牢な城塞です。その歴史は古く、紀元前にローマ人が造った要塞にまで遡ります。なぜ、こうした要塞が必要とされたのか。それは当時からこの地域が交通の要衝として栄え、食糧品などがここを通して大切に運ばれていたという経緯があります。そのために敵からの攻撃も受けやすく、強固な要塞が必要だったのです。そんなカルカソンヌが最も激しい戦いの砦となったのは13世紀。フランス国王が興したキリスト教徒異端撲滅の為の「十字軍」の戦いでした。城の中には中世の防衛システムが見られ、当時どのようにカルカソンヌがこの地を守っていたか伺うことが出来ます。こうして歴史に翻弄され続けたカルカソンヌは、次第に難攻不落の城塞へと変貌して行きます。
クライマックスは空から眺めるカルカソンヌ。巨大な二重の城壁に囲まれた城塞都市は、あまりにも壮大なスケールの後世の歴史遺産でした。