毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
アイガー観光の玄関口となるのは、グリンデルワルトというスイス中部に位置する小さな町。アルプスの山々に抱かれた、景観豊かな町です。年間100万人を上回るという観光客のお目当ては、やはりアイガー。目抜き通りに軒を連ねるのは、アイガーの絵葉書を飾った土産物店や登山用品店。“アイガーの町“と言っても過言ではありません。町中からもアイガーは見られますが、もっと近くで見られる場所があると地元の方に聞いて、行ってみることに。それはメンリッヒェン展望台。ヨーロッパ最長のゴンドラに乗って向かう、標高2225メートルにある展望台です。深緑に覆われた展望台から見えたのは、真っ白な万年雪を被った4000m級の峰々。その中にアイガーがありました。近くで見ると岩壁の絶壁が、よりはっきり見えて、圧巻です。アルプスの中では決して高くない標高3970メートルのアイガーですが、登頂の難しさは一番で、ヨーロッパ最後の難所と言われてきました。巨大な岩壁を間近に見て、登頂の過酷さが改めて実感できました。
翌日は、アイガーの、もう一つの絶景を見に行くことに。 アントゼーヴェンという湖から見られるという“逆さアイガー”です。グリンデルワルトからバスに乗って向かう途中、乗客に聞いてみたところ、その存在を誰一人知りませんでした。不安を抱きながら向かってみると、誰もいない森の奥深くに小さな水辺が。アントゼーヴェンです。草が生い茂る中、一角だけ草の生えていない水鏡を発見。鮮やかに“逆さアイガー”が映っていました。静かで穏やかな湖畔で水辺に映るアイガーは、頂の雪化粧が印象的で、昨日の険しい姿とは全く違って見えます。人知れず、穏やかな表情を浮かべる、魔の山・アイガーの別の顔に出会うことができました。
そして旅のクライマックスを飾るのは、空から眺めるアイガーです。ヘリコプターに乗り、白銀の大パノラマを遊覧飛行。どこまでも連なるアルプスの峰々。そこを這うように流れる氷河が眼下に見られます。山にぶつかる勢いで進んでいくヘリコプターでの空中散歩は、まさに大迫力です。そしてついに、アイガーの上空に辿り着きました。多くの登山家たちが登頂の夢を馳せてきたという北壁が、目の前に現れます。垂直に切り立つ山壁は、アルプス随一の貫禄を誇っているようにも見えます。空から眺める遥かなる頂。様々な角度からアイガーを見つめた今回の旅の締めくくりに相応しい、感動の瞬間でした。