毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
島最大の都市・アレシフェは、ランサローテ観光の玄関口。目抜き通りは、地元の人や観光客で大賑わいです。年間300日が晴天だというランサローテ。町中の市場では、この島で太陽の光を目一杯浴びて育てられた野菜や果物がずらりと並んでいます。町を散策した後は、観光案内所で旅のプランを練ります。聞けば、島一番の美しい風景は、島最南端のパパガヨの海に沈む夕日なのだとか。旅の最終目的地はパパガヨに決まり。しかし、その前に、火山島の魅力を感じられるという2つのスポットへ行ってみることに。観光客にとって一般的な交通手段だというタクシーでこの島を巡ります。まずは一つ目、ハメオス・デル・アグアという洞窟湖へ。その昔、溶岩流が洞窟を形成し、そこに大西洋の海水が流れ込んだことにより、現在のような姿になったのだそうです。岩の天井の割れ目から差し込んだ光が、その水面を青く美しく輝かせます。火山の噴火がつくり上げた風景に出会いました。
翌日は火山島の本当の姿が感じられるもう一つの場所、ティマンファヤ国立公園へ。ここは島内で一番火山が集中している、大火山地帯なのだそうです。公園内を走る専用バスに乗り換え、火山ツアーが始まります。広漠とした大地には、いくつものクレーターが。聞けば、18世紀の大噴火により、この島は壊滅的な被害を受けたのだとか。この辺り一帯は火山灰に覆われ、まるで月面のような灰色の大地と化しました。これもまた、火山が生んだこの島ならではの風景でした。国立公園を後にパパガヨへ向かう道中、ブドウ園と塩田に立ち寄りました。噴火によって火山灰に埋め尽くされ、不毛の地になったかと思われたランサローテ。しかし、先人たちは試行錯誤を重ね、その絶え間のない努力が、火山の島を恵みの大地へと変えていったのだそうです。火山の島で暮らす人々の営みを感じることができる、特別な場所でした。
いよいよ最終目的地、パパガヨに到着です。透き通るように青い海に、きめ細かい砂。手つかずの自然が残る、何とも美しい浜辺です。聞けば、パパガヨの浜辺は“奇跡の楽園”と呼ばれているのだとか。なんと、この火山島で噴火の被害を逃れた唯一の場所なのだそうです。300年前の大噴火を逃れ、島に残されたたったひとつの原風景。島の礎を築いた先人たち、そして今を生きるこの島の人々にとって、ずっと変わらないこの海辺は、かけがえのない場所なのかもしれません。そして旅のクライマックス。斜陽が空と赤々と染め、水面がキラキラと輝きだしました。刻一刻とその美しさを増していく海辺の風景。ランサローテの人々の希望の光ともいえる太陽は、やがて地平線の向こうへと沈んでゆきました。静寂に包まれた穏やかな海辺で、今回の旅を締めくくりました。