毎週水曜日よる9時オンエア
地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)
まず訪れたのはインド北部、ガンジス川のほとりに拓けたバラナシです。迷路のような狭い路地を抜けると、ガンジス川が現れます。この全長2500kmの大河はヒンドゥー教の聖地。ここでは一日中沐浴をしながら祈りを捧げる人の姿が絶えません。そんなガンジス川の一番美しい時間帯は日没後。プジャーと呼ばれるヒンドゥー教の儀式が開かれます。祈ることで罪を清め、来世も人間に生まれ変われると信じられているんだそうです。修行僧の笛の音とともに始まる儀式、やがてガンジス川が美しい金色の灯りに照らされ、そこに集う人々の大きな祈りに包まれるのでした。
続いて訪れたのは中国、雲南省の羅平です。時は旧正月。実はこの時期にだけ羅平では菜の花が満開に咲くんだそうです。さっそく菜の花畑へ向かうとさすがに観光客で溢れていました。そして目をやると一面に咲き誇る菜の花!気持ちよい程満開です。畑を歩いていると養蜂家の家族に出会いました。そんな彼らの一番のおすすめの絶景ポイントへ連れて行ってもらいました。急勾配の山を登ると目に飛び込んできたのは菜の花の大パノラマ!まさに黄金の花の海です。一年でわずかの時期しか咲かないという菜の花。素敵な絶景に出会うことが出来ました。
大雲海が素晴らしいと聞いて訪れたのはタイ北部の町、プーチファーです。プーチーファーは標高1600mの山。町の人に雲海について話を聞いてみると実は一年でも見られるのは本当に数回程度しかないとのこと。頂上付近が寒い時にだけ奇跡のような雲海が広がるんだそうです。朝日が昇る瞬間が一番美しいと聞き、翌朝はまだ夜も明けきらぬうちに頂上を目指します。ガイドさんとともに暗闇の中を歩き続け、ようやく頂上に到着。すでに大勢の人が朝日の瞬間を待ち構えていました。そして東の空に陽がのぼる頃、姿を現したのは目の前に広がる大雲海!陽の光を浴びてキラキラと輝いています。それはまるで天国かと錯覚させるような、胸に迫る美しさでした。
中央アジアの大国、カザフスタン。平原を走り続けた先にウスチュルト大地はあるそうです。たどり着くと、そこは一面に広がる真っ白な大地。実はこれ、全て塩湖なんだそうです。なぜこのような絶景が生まれたのか、ガイドさんに聞くとここは太古、海だった場所だったそうです。今のカザフスタンには海はありません。ウスチュルト大地は地殻変動生まれた、まさに海の置き土産なのです。そして真っ白い大地に水が覆うと、まるで水面が鏡のように地上の風景を映し出します。まるで空中を歩いているかのような不思議な感覚にとらわれました。
次の目的地はジャワ島東部にある「イジェン火山」。夜な夜な現れるという幻の青い炎を見るため、ガイドさんと標高2400mの頂を目指します。山頂へ登ると、まず出迎えてくれたのは巨大なカルデラ湖。ミルクを混ぜたような美しいエメラルドグリーンに輝いています。これはここで採れる硫黄が生み出した色なのだそうです。さらに、ここでは硫黄を採って運ぶ人々の姿もありました。イジェンの硫黄は質が良く、様々な商品に使われているとか。そしていよいよ日没後。目当ての青い炎を探します。すると現れたのはカルデラ湖のほとりから、力強く燃える炎…。驚く程美しい青色をしています。ガイドさん曰く、実はこの色を生み出しているのも硫黄。しかしそれは夜にしか見ることができないという、幻の炎でもありました。
次に目指したのはタイとの国境沿いにあるカンボジア、プレアビヒア寺院。標高700mの頂に建つ世界遺産です。プレアビヒア寺院の歴史は古く、その始まりは9世紀と言われています。ところがその端々はだいぶ崩れてしまっています。ガイドさん曰く、20世紀後半に起こった内戦や世界遺産を巡る隣国タイとの争いが原因とのこと。ただ、寺院の深部には1000年以上前の状態をそのまま残している部分もありました。美しく繊細な彫刻。争いがありながらも人々にとって、この遺跡がいかに大切なものであったか伝えています。そして最大の見所は標高700mの寺院から見下ろす緑の大平原。この寺院が天空の遺跡と呼ばれる所以です。現在は多くの人が訪れるプレアビヒア遺跡。千年の時を超えてようやく訪れた平和が、寺院の光を見せてくれました。
最後に訪れたのはタイ。ピン川のほとりに拓けた町チェンマイです。この日は雨季明けの満月。実はタイ全土で行われるロイカートンというお祭りの日なのです。ロイカートンでは水の精霊に感謝をし、罪や汚れを川清めるため川に灯籠を流します。さっそくチェンマイ在住のサネーさん家族と一緒にお祭りに参加することに。まずはピン川に手作りの灯籠を流し、みんなでお祈りをします。クライマックスは夜。コムローイと呼ばれるランタンを人々が一斉に空に放つのです。サネーさん家族もそろってランタンにコムローイに火をつけます。そしてお祈りの後、ゆっくりと夜空へ…。暗闇に浮かぶ温かいオレンジ色の光…。満月の夜空が幻想的に輝きだします。一人一人の願いが全て叶いますように…。そう思わずにはいられない、チェンマイの夢の一夜でした。